創業計画書は、事業実績が少ない創業者にとって、「どのような事業を行うのか」「きちんと返済できる見込みがあるのか」を客観的に示すための重要な資料です。
融資審査を有利に進めるためには、各項目の具体例を参考にしながら、自社の強みや事業の実現可能性が明確に伝わる創業計画書を作成しなければなりません。
創業融資を検討している方は、以下のようなお悩み・疑問をお持ちではないでしょうか?
「創業計画書はどうやって書けば良いの…?具体例を参考にして書き進めたい」
「創業計画書には何の項目があるのかな?実際のテンプレートも見てみたい」
「金融機関を納得させる創業計画書を作成するにはどうすべき?成功のコツを教えてほしい」
具体例をもとに創業計画書を作成すると、事業内容や売上の見通しがまとまりやすくなり、審査をスムーズに進められる可能性が高まります。
創業計画書の主な記載項目は、以下の9つです。
創業計画書の記載項目
- 項目1. 創業の動機
- 項目2. 経営者の略歴等
- 項目3. 取扱商品・サービス
- 項目4. 従業員
- 項目5. 取引先・取引関係等
- 項目6. 関連企業
- 項目7. 他行からの借入状況
- 項目8. 必要な資金と調達方法
- 項目9. 事業の見通し
創業計画書を作成する際は、見積書や資金繰り表などの客観的な根拠を示しながら、事業の将来性を明確にアピールしましょう。
ただし、「融資がなければ事業を始められない」のように、融資頼みの姿勢を示すのはできる限り避けましょう。その他のNG例についても解説しているため、ぜひ最後までチェックしてみてください。
筆者は「融資代行プロ」という成果報酬型の「融資コンサル」サービスで、これまで多くの「創業融資」や「創業計画書の作成」をご支援してきました。

- (株)融資代行プロ 代表取締役
- 資金調達・財務コンサル会社の経営者
1.融資コンサル|融資代行プロ
2.財務コンサル|御社の財務責任者
3.社外CFOサービス|御社の社外CFO
4.事業計画書の作成代行サービス - 経営コンサル会社の経営者
新規事業コンサル|(株)Pro-D-use - その他、エクイティ支援実績なども多数
これまでの支援実績
創業前後の個人/法人〜中堅企業
調達額「200万円」〜「9.5億円」
多業界の資金調達 / 財務コンサル実績
本記事では、融資のプロである筆者が、「創業計画書の書き方」や「成功のポイント」等、以下の内容を丁寧に解説します。現場で培ったリアルで濃い内容なので、「ブックマーク」して、あとから何度も読み返すことをオススメします。
- 創業計画書の具体例と書き方のコツ
- 創業計画書のよくあるNG例と改善策
- 金融機関を納得させる創業計画書を作成する成功のポイント
「具体例を見ながら創業計画書を作成したい」「他社とは違う完成度の高い創業計画書を提出したい」とお考えの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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【項目別】創業計画書の具体例と書き方のコツ
金融機関によって様式が異なる場合もありますが、創業計画書に記載する項目は、主に以下の9つです。
本記事では、日本政策金融公庫が公開している創業計画書のテンプレートに沿って、各項目の書き方を具体例も交えながら解説します。
▼日本政策金融公庫の創業計画書のテンプレート

日本政策金融公庫の融資を受ける場合や、銀行・信用金庫から様式を指定されていない場合は、このテンプレートを活用するのがおすすめです。
指定の様式がある場合でも、各項目の書き方のポイントを押さえておけば、担当者に伝わりやすく、納得感のある創業計画書を作成できるでしょう。
なお、「日本政策金融公庫の創業計画書の書き方」を詳しく知りたい方は、以下記事も併せてチェックしてみてください。

項目1. 創業の動機
「創業の動機」は、なぜその事業を始めようと思ったのか、事業を通して何を実現したいのかを記載する項目です。

金融機関は、この項目から「事業への本気度」「事業の継続可能性」「経営者としての資質」を確認しています。
「創業の動機」の具体例は、以下のとおりです。本記事では「内装工事業」を開業するケースを例に、創業計画書の具体例を紹介していきます。
「創業の動機」を記載する際は、これまでの経験や創業に至った背景、「今」開業する理由、事業を成功させられる根拠を明確に伝えましょう。たとえば、「店長として10年間勤務してきた」「前職で築いた仕入ルートを確保している」など、具体的な数字や行動を入れると説得力が高まります。
また、「希望していた駅前の居抜き物件を確保できた」のように、開業準備が進んでいることも伝えれば、計画性の高さを評価されやすくなるでしょう。
一方、空欄を残したり1行だけで終わらせたりすると、担当者に「やる気がない」と判断され、減点対象となる可能性が高まるため注意が必要です。
だからといって、「昔からの夢だった」「世界を変えたい」のように熱意だけを語るのも、「計画性が低い」と判断される原因になりかねません。
「この人なら事業を継続できそう」と評価してもらうためにも、事業の必要性や客観的な勝算を盛り込み、本気度の高さをアピールしましょう。
項目2. 経営者の略歴等
「経営者の略歴等」は、創業者がこれまでどのような仕事を経験し、どのようなスキルや実績を積み上げてきたのかを記載する項目です。

金融機関は、この項目を通して「この人に事業を任せても大丈夫か」「創業後も安定して経営を続けられるか」をチェックしています。
「経営者の略歴等」の具体例は、以下のとおりです。
過去の売上や事業実績がない創業者の融資審査では、「創業者本人のキャリア(同業種での実務経験)」が大きな評価ポイントになります。
それを踏まえ、「経営者の略歴等」を記載する際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 同業種での実務経験が「3〜5年以上(できれば5年以上)」ある場合は必ず記載する
- 売上、客数、管理人数、担当店舗数、改善率などの具体的な数値実績を盛り込む
- 略歴欄に書ききれない内容は、職務経歴書を別紙で添付する
創業計画書の略歴欄は6行程度しかないため、これまでの経験や事業に活かせる強みを書ききれない場合があります。そのため、「経営者の略歴等」には主要な経歴を簡単に記載した上で、「詳細は別紙参照」と添えるのがおすすめです。
なお、未経験の業種で創業する場合、「やる気があります」「頑張ります」と伝えても、十分な評価にはつながりません。
少しでも評価を高めるには、前職で培った「財務管理スキル」「マネジメント能力」を、事業にどう活かせるのかを論理的に説明しましょう。
項目3. 取扱商品・サービス
「取扱商品・サービス」は、開業後に提供する商品・サービスの内容、価格帯、競合との差別化ポイントなどを記載する項目です。

金融機関は、この項目を通して「競合との差別化ができているか」「集客方法に実現性があるか」などを慎重に確認しています。
「取扱商品・サービス」の具体例は、以下のとおりです。
「取扱商品・サービス」を記載する際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 「技術力が高い」「安くて美味しい」と伝えるだけでなく、なぜそれが可能なのかという理由まで記載する
- 挨拶回り、ポスティング、既存顧客への直接営業など、「地に足のついた泥臭い集客戦略」を盛り込む
- インターネットで調べれば分かる市場全体の情報ではなく、出店エリア周辺のミクロな競合調査を記載する
たとえば飲食店を開業する場合、「安くて美味しい料理を提供する」「丁寧な接客をする」と書くだけでは、競合との差別化ポイントは伝わりません。自社の強みを伝えるには、「地元食材の生産者と直接取引することで、競合より原価を○%抑えられる」のように明確な根拠を記載することが大切です。
また、集客方法についても、「Instagramで発信する」「ホームページを作る」といった内容だけでは、「計画が甘い」と見られる可能性があります。そのため、「近隣店舗への挨拶回り」「商圏内へのポスティング」など、実際に足を動かして顧客を獲得する方法もあわせて記載しましょう。
項目4. 従業員
創業計画書の「従業員」欄は、創業時に雇用する予定の従業員数を記載する項目です。

主要な評価項目ではありませんが、金融機関は「事業規模に対して人員計画が適切かどうか」を確認しています。
「従業員」を記載するときの具体例は、以下のとおりです。
「従業員」の項目を記載する際は、収支計画と完全に整合性の取れた「現実的な人数」を記載することが大切です。
たとえば、正社員とアルバイトを雇用する場合は、給与・時給・社会保険料などを踏まえた人件費が、収支計画に正しく反映されていなければなりません。
創業直後から事業に必要な人材を確保するのが難しい場合は、「事業の見通し」や「添付資料」などで、段階的な採用計画を伝えるのもおすすめです。
政府系の金融機関である日本政策金融公庫は特に、「国の政策に基づき地域社会の雇用を創出する事業者」を前向きに評価しています。そのため、自分1人で小さく始める計画よりも、事業規模に応じて従業員を適切に雇用する計画の方が、結果として好印象につながるでしょう。
項目5. 取引先・取引関係等
「取引先・取引関係等」は、商品や材料を仕入れる相手(仕入先)、商品・サービスを販売する相手(販売先)、外注先を記載する項目です。

金融機関はこの項目を通じて、「事業をスタートできる準備が整っているか」「信頼できる取引先を確保しているか」を確認しています。
「取引先・取引関係等」の具体例は、以下のとおりです。
創業期は売上実績がないため、取引先が「未定」「これから探す」となっていると、担当者は特に不安を持ちやすくなります。そのため、「取引先・取引関係等」を記載する際は、できる限り具体的な社名や契約予定の候補先を明記することが大切です。
取引先名には、「前職時代から取引している業者」「知人が経営する卸売業者」といった補足説明も加えましょう。
なお、「取引先・取引関係等」の項目で金融機関の担当者が特に重視しているのが、「回収・支払の条件」です。
事業を安定して続けるには、売上回収をできるだけ早く、仕入代金や外注費の支払いをできるだけ後にすることが基本になります。仕入れが「納品時現金払い」「着払い」になっている場合などは、資金繰り悪化のリスクが高く、審査で不利になりやすいため注意しましょう。
項目6. 関連企業
「関連企業」は、創業者本人や配偶者、法人代表者などが経営している会社の「企業名」「代表者名」「所在地」「業種」を記載する項目です。

金融機関はこの項目を通じて、「創業する事業とどのような関係にあるのか」「関連企業の経営状態が事業に影響しないか」を確認しています。
「関連企業」の具体例は、以下のとおりです。
関連企業と仕入・販売・外注などの取引を行う予定がある場合は、「何を、どの程度、どのような条件で取引するのか」を明確にしておきましょう。
たとえば、「家族が経営する製造会社から商品を仕入れる」のように具体的な取引内容を示すことで、事業の見通しが伝わりやすくなります。
ただし、関連企業との間で資金の貸し借りがある場合や、取引条件が一般的な相場とかけ離れている場合は、不信感を持たれるため注意しましょう。
審査を有利に進めるためには、関連企業と自社との関係性を明確にし、事業にとってどのようなメリットがあるのかを伝えることが大切です。
項目7. 他行からの借入状況
「他行からの借入状況」は、創業者本人が他の金融機関からどのような借入をしているのかを記載する項目です。

住宅ローンやカードローン、クレジットカードのキャッシング、消費者金融からの借入がある場合は、「借入先」「借入残高」「年間返済額」を記載します。
「他行からの借入状況」の具体例は、以下のとおりです。
金融機関はこの項目を通じて、「計画的にお金を管理できる人物か」「無理なく返済を続けられるか」をチェックしています。そのため、消費者金融からの借入やカードローンの残高が日常的にある場合は、審査でかなり厳しく判断される点に注意しましょう。
住宅ローンや自動車ローンについては、身の丈に合った金額であり、一度も延滞せずに返済を続けていれば、あまり問題ありません。
なお、審査で不利になるからといって、消費者金融やカード論の借入を隠し、「借入なし」と記載するのは絶対に避けるべきです。
金融機関は審査の際、「CIC」「全銀協」などの信用情報機関を通じて信用情報を確認するため、虚偽の申告はすぐにバレてしまいます。虚偽の申告が発覚すると、金融機関からの信用を大きく失い、今後の取引も難しくなるため、正しい情報を記載しましょう。
項目8. 必要な資金と調達方法
「必要な資金と調達方法」は、設備資金・運転資金などの開業資金がいくら必要で、その資金をどのように調達するのかを記載する項目です。

金融機関は、この項目を通じて「事業に必要な資金の内訳・金額を正しく把握しているか」「資金計画に無理がないか」を確認しています。
「必要な資金と調達方法」の具体例は、以下のとおりです。
「必要な資金と調達方法」を記載する際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 「必要な資金」と「調達方法」の合計金額を1円単位で一致させる
- 自己資金は借入希望額の3分の1以上を目安に確保しておく
- 自己資金を多く見せかける「見せ金」は避ける
- 税金・家賃・公共料金・クレジットカードの延滞履歴には注意する
- ギャンブルによる多額の引き落とし履歴にも注意する
「必要な資金と調達方法」を記載する上で最も重要なのが、「必要な資金」と「調達方法」の合計金額を一致させることです。ここがズレている計画書を提出すると、金融機関の担当者に「数字の管理が甘い」「経営能力が低い」と判断されてしまいます。
また、親族・知人から一時的にお金を借りて自己資金を多く見せかける「見せ金」は、確実にバレるため避けるべきです。
各種支払いの延滞利益や、ギャンブルによる多額の引き落とし履歴についても、審査上大きなマイナスとなる可能性が高いでしょう。
項目9. 事業の見通し
「事業の見通し」は、創業当初と1年後または事業が軌道に乗った後の売上・経費・利益を記載する項目です。

現時点で想定される売上や経費をもとに、最終的にどの程度の利益を確保できるのかを数字で示します。
「事業の見通し」の具体例は、以下のとおりです。
金融機関はこの項目を通じて、「創業後に安定して利益を生み出せるのか」「売上や経費、利益の仕組みを正しく理解しているか」を確認しています。そのため、「事業の見通し」を記載する際は、できるだけ明確な根拠をもとに売上予測を立てたり、現実的な経費を見積もったりすることが大切です。
たとえば、売上予測については「1日あたりの来店客数×客単価×営業日数」のように、具体的な計算式を明示しておくと説得力が高まります。
一方、「前職で経験があるから月商○万円はいけると思う」といった感覚だけに頼った楽観的な計画は、審査で不利に働くため注意が必要です。
経営能力の高さを評価してもらうためには、競合調査や見積書などの客観的なデータを積極的に活用し、納得感のある数字を組み立てましょう。
創業計画書のよくある4つのNG例と改善策
創業計画書を作成する際は、以下4つのよくあるNG例に注意しましょう。
NG例と併せて改善策も解説するため、ぜひ参考にしてください。
NG例1. 「融資がなければ事業を始められない」と書いてしまう
創業計画書のよくあるNG例の一つが、「融資を受けることができなければ事業を始められない」と記載してしまうケースです。
このような書き方をすると、借入金に頼って創業しようとしている印象を与えるため、担当者から不信感を持たれてしまいます。
特に、「創業の動機」で融資頼みの姿勢が伝わってしまうNG例は、以下のとおりです。
| NG例 |
|---|
| 開業準備については、融資が実行されてから本格的に進める予定です。自己資金だけでは開業が難しいため、融資によるご支援をお願いしたいと考えています。 |
上記のように記載すると、「融資を受けられたら事業を始める」という受け身の印象が強く残ってしまいます。
創業計画書を作成する際は、融資を「事業をより確実に立ち上げるための手段」として位置付けることが大切です。
| 改善例 |
|---|
| これまで飲食店で10年間勤務し、接客・調理・店舗運営に関する経験を積んできました。現在は自己資金として300万円を準備しており、開業予定地の候補選定や仕入先の確認、メニュー開発も進めています。 今回の融資は、店舗改装費や厨房設備費の一部に充て、計画している店舗を安定して開業するために活用する予定です。 |
このように記載すると、創業者自身が計画的に準備を進めていることや、融資の使い道が明確であることを伝えられます。
創業融資は、すでに開業準備を進めている人が、より安定した形で事業を立ち上げるために活用する資金調達方法です。そのため、「自己資金をもとに準備を進めており、融資によって事業の安定性を高めたい」という伝え方を意識しましょう。
NG例2. 経営者の熱意だけで開業しようとしていることを伝える
経営者の熱意だけで開業しようとしていることを伝えるのも、創業計画書でよく見られるNG例の一つとして挙げられます。
創業に対する想いや熱意は、もちろん大切です。担当者も、創業者がどのような想いで事業を始めようとしているのかを確認しています。
しかし、「昔からの夢だった」「絶対に成功させたい」などの気持ちだけに偏ってしまうと、事業として成功する根拠が伝わりません。
そのため、「創業の動機」を書く際は、以下のような書き方に注意しましょう。
| NG例 |
|---|
| 昔からカフェを開くことが夢で、いつか自分のお店を持ちたいと考えていました。お客様に喜んでいただけるお店にしたいという強い想いがあります。地域の方々に愛されるカフェを目指し、精一杯努力していきます。 |
この書き方からは創業者の熱意が伝わるものの、「なぜその地域で開業するのか」「競合とどのように差別化するのか」が分かりません。
事業の実現可能性や継続性をアピールするためには、創業者の熱意に加え、過去の経験や地域の状況、顧客ニーズを盛り込みましょう。
| 改善例 |
|---|
| 開業予定地の周辺には住宅街や小規模オフィスがあり、近隣住民や働く人からは「落ち着いて過ごせる喫茶店が少ない」という声も聞かれます。 そこで、地域住民や会社員が日常的に利用しやすいカフェを開業し、モーニングやランチ、テイクアウトの需要を取り込む計画です。 |
このように記載すれば、創業者の想いだけでなく、客観的な根拠をもとに事業計画を立て、開業準備を進めていることが伝わります。
事業を通じて、顧客のどのような課題を解決できるのかまで伝えれば、担当者にも「安定した事業運営が期待できる」と判断されるでしょう。
NG例3. 過去の経験と事業内容がまったく結び付いていない
未経験の業種で事業を立ち上げる場合は、過去の経験と事業内容が結び付いていない創業計画書になりやすいため、注意が必要です。
金融機関の担当者は、創業計画書を通じて「これまでの職務経験やスキルを事業にどのように活かせるのか」をチェックしています。
そのため、以下のように過去の経験と事業内容の関連性が見えない書き方では、担当者に不安を持たれ、審査でも不利になるでしょう。
| NG例 |
|---|
| これまでは会社員として事務職に従事していましたが、以前から飲食店経営に興味があったため、カフェを開業したいと考えています。飲食業は未経験ですが、人と接することが好きなので、お客様に喜んでいただけるお店を作りたいです。 |
この書き方では、飲食業に関する経験や、事業に活かせるスキルをアピールできていないため、創業計画書全体の説得力が弱くなってしまいます。
少しでも審査を有利に進めるためには、業界未経験であっても、これまでの経験から事業に活かせる要素を具体的に示すことが大切です。
| 改善例 |
|---|
| これまでは事務職として10年間勤務し、売上管理、仕入先とのやり取り、請求書作成、在庫管理などを担当してきました。飲食業での実務経験は長くありませんが、開業に備えてカフェで半年間勤務し、接客や調理補助、レジ対応、仕入れの流れを学びました。 これまで培った数値管理や事務処理の経験を店舗運営に活かし、原価率や売上を適切に管理しながら、地域住民が日常的に利用しやすいカフェを開業したいと考えています。 |
異業種から創業する場合でも、このように過去の経験を事業にどう活かすのかを分かりやすく記載すれば、担当者から前向きな評価を受けられるでしょう。
より評価を上げるには、事前に実務経験を積んだり、研修やセミナーを受講したりして、実際に習得したスキルを創業計画書に盛り込むのも効果的です。
創業計画書を作成する際は、これまでの経験を棚卸しした上で、開業後に役立つスキルは何かを整理し、事業内容と結び付けて説明しましょう。
NG例4. 「事業が上手くいっているケース」だけを想定している
「事業の見通し」や「収支計画」を記載するときは、事業が上手くいっているケースだけを想定しないように注意が必要です。
創業計画書では、開業後にどの程度の売上が見込めるのか、最終的にどれくらいの利益を確保できるのかを数字で示します。しかし、その計画が「想定どおりに売上が伸びる」といった楽観的な予測だけで立てられていると、担当者に「事業の見通しが甘い」と不信感を持たれるでしょう。
「事業が上手くいっているケースだけを想定している」創業計画書のNG例は、以下のとおりです。
| NG例 |
|---|
| 開業初月から1日30人の来店を見込んでおり、客単価1,500円、月25日営業で月商112万5,000円を想定しています。 その後が、口コミやSNSで知名度が上がるため、3か月後には1日50人、半年後には1日70人の来店を見込んでいます。売上は順調に伸びる予定であり、毎月安定した利益を確保できる見込みです。 |
このように、顧客数や売上が順調に伸びることだけを前提に計画を立てると、「競合の出現」「価格高騰」などのリスクに備えられません。また、「口コミやSNSで知名度が上がる」と記載しても、具体的な施策や根拠がなければ、「実現可能性の低い計画」だと判断されるでしょう。
説得力のある創業計画書を作成するためには、売上が想定どおりに伸びなかった場合も想定した上で、現実的な計画を立てることが大切です。
| 改善例 |
|---|
| 開業当初は認知拡大に時間がかかることを想定し、初月は1日平均20人、客単価1,300円、月25日営業で月商65万円を見込んでいます。近隣へのチラシ配布、SNSでの情報発信、開業キャンペーンを実施し、3か月後には1日平均30人、6か月後には1日平均40人の来店を目標とします。 仕入れや人件費については、売上が安定するまで固定費を抑え、必要に応じて営業時間やメニュー構成を見直すことで、資金繰りを管理していく予定です。 |
開業直後から売上が急激に伸びる前提ではなく、段階的に認知度を高めていく計画を示すと、「事業の実現可能性が高い」と判断されやすくなります。
また、売上が想定を下回った場合の対応策も具体的に記載すれば、担当者から「リスク管理能力が高い」「現実的な計画」と信頼感を持たれるでしょう。
より現実的な計画であることをアピールするためには、仕入費や人件費などの経費、借入金の返済額についても、余裕を持って見積もることが重要です。
開業後に起こりうるリスクを踏まえた上で、どのように売上を確保し、返済を続けるのかを示せば、審査をよりスムーズに進められます。
金融機関を納得させる創業計画書を作成する「3つの成功ポイント」
金融機関を納得させる創業計画書を作成するためには、以下3つのポイントを押さえましょう。
- ポイント1.創業計画書全体に一貫性を持たせる
- ポイント2.客観的な資料で事業計画の信頼性を高める
- ポイント3.誰が読んでも理解できる文章を心がける
創業計画書の細かな部分まで精度を高めることで、金融機関からも前向きに融資を検討してもらえます。
ポイント1. 創業計画書全体に一貫性を持たせる
金融機関を納得させる創業計画書を作成するには、計画書全体に一貫性を持たせることが重要です。
創業計画書には、創業の動機や経営者の略歴、取扱商品・サービス、取引先、必要な資金と調達方法、事業の見通しなど、さまざまな項目があります。これらの項目を一つずつ丁寧に書くことも大切ですが、それぞれの内容が噛み合っていなければ、事業の実現可能性や将来性を十分に伝えられません。
そのため、創業計画書を作成する際は、「創業の動機と事業内容がつながっているか」など、各項目の内容にズレが生じていないか確認しましょう。
借入希望額や資金使途、売上予測といった数値についても、各項目の金額が「1円単位」で完全に一致しているかを慎重にチェックすることが大切です。
全体に一貫性のある創業計画書を作成すれば、担当者にも「事業内容をしっかり把握した上で準備している」と評価され、審査を有利に進められます。
ポイント2. 客観的な資料で事業計画の信頼性を高める
創業融資の審査を有利に進めるためには、創業計画書の内容を裏付ける客観的な資料を添付し、事業計画の信頼性を高めることも重要なポイントです。
創業計画書は記入スペースが限られているため、事業の将来性や売上予測の根拠を具体的に説明するのが難しく、担当者を十分に納得させることができません。
そのため、創業計画書を作成する際は、以下のような資料を添付しましょう。
- 月別収支計画書
- 資金繰り表
- 市場調査のデータ
- 店舗や事務所の賃貸借契約書、または物件資料
- 設備や内装工事の見積書
- 取引予定先との契約書、発注書、見込み客リスト
- 許認可証や申請準備中であることが分かる資料
- 資格証明書や実務経験を示せる資料
たとえば、飲食店を開業する場合は、厨房設備の見積書やメニュー表、近隣の競合店に関する調査結果を添付すると、計画の信頼性を高められます。
「事業の見通し」を記載する際も、店舗周辺の人通りや競合店の状況を盛り込めば、客観的な根拠をもとに売上予測を立てていることが伝わるでしょう。
ただし、創業計画書と関連性が低い資料を大量に添付するのは避けるべきです。資料の数が多すぎると、担当者が重要な情報を把握しにくくなり、かえって事業計画の妥当性を正しく判断できなくなる可能性があります。
そのため、創業計画書に資料を添付する際は、それぞれが「どの内容・項目」を補足するものなのか、担当者が分かるように整理しておきましょう。
なお、添付資料の一つである「資金繰り表の作り方」を詳しく知りたい方は、以下記事も併せてチェックしてみてください。

ポイント3. 誰が読んでも理解できる文章を心がける
金融機関を納得させる創業計画書を作成するためには、誰が読んでも理解できる文章を心がけましょう。
金融機関の担当者は、日頃から幅広い業種の創業計画書に目を通していますが、必ずしも自社の業界に詳しいとは限りません。そのため、業界関係者にしか分からない専門用語を多用すると、事業内容や自社の強みが伝わりにくくなってしまいます。
審査をスムーズに進めるためには、難しい言葉を並べるのではなく、誰が読んでもすぐに理解できる表現を使うことが大切です。
具体的には、以下のポイントを意識しましょう。
- 専門用語や業界用語を使いすぎない
- 専門用語を使う場合は補足説明を加える
- 売上、客数、単価などはできるだけ数字で示す
- 5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を明確にする
創業計画書の完成度を高めるには、家族や知人など、業界知識があまりない第三者に内容をチェックしてもらうのがおすすめです。「何をする事業なのか分かりにくい」「数字の根拠が伝わらない」と指摘された部分があれば、原因を明らかにした上で修正しましょう。
事業を成功させるには専門的な知識も必要ですが、創業計画書においては、難しい言葉を使うほど高く評価されるわけではありません。
むしろ、事業内容や収支計画を分かりやすく整理し、誰が読んでも理解できる状態にすることの方が、金融機関からの信頼につながります。
「創業計画書の具体例」についてよくある質問
創業計画書の具体例について、よくある質問を下記にまとめました。審査をスムーズに進めるためのポイントを押さえておきたい方は、ぜひ参考にしてください。
具体例を参考にしながら、完成度の高い創業計画書を作成しよう!
具体例を参考にしながら、完成度の高い創業計画書を作成できると、金融機関から事業計画の信頼性を評価されやすくなり、審査を有利に進められます。
創業計画書の記載項目は、以下のとおりです。
◆創業計画書の記載項目
- 項目1. 創業の動機
- 項目2. 経営者の略歴等
- 項目3. 取扱商品・サービス
- 項目4. 従業員
- 項目5. 取引先・取引関係等
- 項目6. 関連企業
- 項目7. 他行からの借入状況
- 項目8. 必要な資金と調達方法
- 項目9. 事業の見通し
創業計画書を作成する際は、各項目にズレが生じていないかを慎重に確認し、計画書全体に一貫性を持たせましょう。資金使途や売上予測について説明する際は、金額の根拠が伝わる客観的な資料を添付することも重要です。
また、自社の業界に詳しくない人でもストレスなく理解できる文章を心がけることで、事業の将来性や実現可能性を正しく評価してもらえます。
「完成度の高い創業計画書を作成したい」方は、成果報酬型の融資コンサルサービスの「融資代行プロ」にお気軽にご相談(無料)ください。「融資代行プロ」は、「日本政策金融公庫」「信用金庫」「銀行」「商工中金」といった金融機関に10〜30年も在籍した、豊富な知識・経験を持つプロのコンサルタントが、創業融資を徹底的にサポートします。
その他の資金調達方法に関するアドバイスや手続きの代行も成果報酬1%~でコンサルティングしているため、お気軽に無料の融資相談をお申し込みください。
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※【毎日 限定5名まで】
本記事で紹介した内容をもとに、金融機関を納得させる創業計画書を作成し、資金調達の成功にお役立ていただければ幸いです。
本記事はここまでになりますが、繰り返し読み返して理解を深めるためにも、「ブックマーク」して、あとから何度も読み返すことをオススメします。
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