中小企業向けファンドとは?「仕組み」や「資金調達方法」、メリットを解説

中小企業経営者A

無利子で資金を調達したり、経営育成支援を受けたりしたい。中小企業向けファンドであれば可能だと聞いたが、どのような仕組みなのだろう。

中小企業経営者B

中小企業向けファンドで資金調達を検討しているが、自社が対象になるかがわからない。具体的に、中小企業向けファンドの種類や資金調達の流れを知りたい

企業にとって資金調達は重要な問題ですが、その方法のひとつとして中小企業向けファンドについて検討している経営者もいるでしょう。しかし中小企業向けファンドは仕組みがわかりにくいため、どのように活用すればいいかわからず、困っている方も多いかもしれません。

中小企業向けファンドは、どのような企業でも利用できるわけではない点に注意が必要です。なぜなら、中小企業向けファンドは将来性のある中小・ベンチャー企業に投資する仕組みであるためです

この仕組みを活用して資金調達するときは、その仕組や資金調達を行う流れをしっかりと把握し、投資会社の審査をクリアしなければいけません。

記事の筆者
「岡島光太郎」の写真

著者プロフィール

  • 資金調達コンサル会社「(株)融資代行プロ」創業者
  • 財務・資金繰りコンサルティング「御社の社外CFO」創業者
  • 経営コンサル会社「(株)Pro-D-use」創業者
  • 中小企業の融資・補助金など資金調達支援の実績多数

これまでの支援実績
個人事業主 / 創業後スグの1人法人 / 売上300億の法人
資金調達額「100万円」〜「5億円」
あらゆる業界の資金調達 / 財務・資金繰りコンサル実績

本記事は中小企業向けファンドの仕組みとメリットを徹底解説します

  1. 中小企業向けファンドの仕組み
  2. 中小企業向けファンドで資金調達する流れ
  3. 利用する3つのメリット
  4. 中小企業向けファンドの種類と対象となる事業者

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目次

中小企業向けファンドとは

「中小企業向けファンド」を理解するためには、まずファンドとは何かについての理解が必要です。そのうえで中小企業向けファンドとは何かについて解説します。

ファンドとは投資家からお金を集めてリターンを返す仕組み

そもそもファンドとは、「投資家から集めたお金を資金(ファンド)として運用し、運用成果を出資額に応じて分配する仕組み」のことです。

元本は保証されておらず、場合によっては、出資額(元本)を下回るリターンとなってしまう場合もあります。「投資信託」という名前の金融商品としても馴染みが深いでしょう。

ファンドの投資先は、株式や債権など様々ですが、そのファンドの運用方針により、投資先が異なります。

中小企業向けファンドは、将来性のある中小・ベンチャー企業に出資する

このようなファンドという仕組みの中でも、「中小企業向けファンド」では、将来発展が見込める中小企業が投資先となります。また、その運用会社や、その会社が取り扱う金融商品を指す場合もあります。

中小企業向けファンドの仕組みを詳しく解説

中小企業向けファンドの大まかな仕組みとしては、出資者が投資家から資金を募り、その資金を中小企業に提供します。中小企業の事業が軌道に乗り、IPO(株式公開)などを果たした際に出資者は株式を売却し、そのリターンを投資家に分配するという流れです。

中小企業向けファンドの仕組みについてさらに詳しく解説します。

1.ベンチャーキャピタルがファンド(投資事業有限責任組合)を組成

中小企業向けファンドは、ベンチャーキャピタル(VC)などが投資事業有限責任組合(ファンド)を組成するところから始まります。

VCとは、中小・ベンチャー企業など、将来の成長が見込まれる未公開企業(非上場企業)に対して出資を行う投資会社のことです。VCがファンド(投資事業有限責任組合)を組成し、無限責任組合員(GP)となることで、そのファンドの運営や管理を行います。

無限責任組合員とは、債権について、出資額に留まらず弁済の義務を負うものです。

また、投資事業有限責任組合とは、出資者が自分の出資額に限定した責任を負うだけで参加できる組合のことです。VCが債権などについて責任を負い、出資者は自分の出資した額のみに責任が留まるため、多くの投資家や金融機関から資金を集めることができる仕組みといえます。

2. 有限責任組合員(LP)から資金を調達

ファンドの趣旨(起業支援や中小企業成長支援など)に賛同した有限責任組合員(LP)から出資を募り、まとまった資金を集めます。LPの多くは、

  • 金融機関や事業会社
  • 地方公共団体
  • 機関投資家

などです。

3. 資金を投資する中小企業の審査・選定

出資金がまとまったら、VCが出資金の提供を希望する中小企業を募集します。集まった中小企業の審査をした上で、実際に出資するか否かを決定します。

4. 審査に通過した中小企業へ投資

審査に通過した中小企業に対して、ファンドが投資を行います。中小企業から見た場合、審査に通ることで初めて、資金提供が開始されという流れになります。

5. 投資内容によっては育成支援が入る場合も

VCなどから育成支援が入るタイプの投資が「ハンズオン」です。逆に、投資先企業に経営や運用を任せ、関与がないタイプの投資を「ハンズフリー」といいます。

6. 中小企業の新規上場などによりVCが投資金を回収

VCが投資金を回収する段階をEXITと呼びます。資金提供をされた中小企業は、出資金を元に事業を発展させ、株式の新規上場やM&Aなどで出資額を上回る利益を出すことが目標です。

7. ファンドの保有株式を売却し資金を回収

VCは中小企業が成長した後に、保有株式を売却することでキャピタルゲイン(株式取得時と売却時の差から生まれる利益のこと)を得て、資金の回収を行います。VCとしては、投資した中小企業が成長し、利益が得られることで目的が達成されます。

8. VCが出資額に応じて投資家へリターンを分配

VCは回収した資金を出資額に応じて出資者に分配します。

以上の流れで、中小企業向けファンドの仕組みが完了します。

中小企業向けファンドからの資金調達の流れ


中小企業向けファンドの仕組みが分かったら、実際に資金を調達する際の流れを確認しましょう。中小企業がファンドから資金を調達する流れについて、詳しく解説します。

1. 経営計画書、事業計画書などを策定する

中小企業向けファンドから資金提供を受けたい場合、目標達成までの事業戦略を記述した「経営計画」や、どのような事業を行うか記載した「事業計画」の提出を求められます。

また、これらの事業を営む上で自己資本がいくらあり、どの程度の資金が必要か記した「資金計画書」も作成することで、希望する資金額が正しく把握できるでしょう。

2. 「中小企業向けファンド」のある投資会社を探す

「中小企業向けファンド」を保有する投資会社を見つけて、企業の状況や目的に合ったファンドを探しましょう。「中小企業向けファンド」といっても、事業状況や所在地によっても利用できるもが異なります。

探す際は、中小機構の「ファンド検索システム」などを利用すると探しやすいでしょう。

3. 所定の連絡先へ問い合わせる

資金調達を受けたいファンドが見つかったら、所定の連絡先へ相談しましょう。各投資会社が窓口となっていることもあれば、中小機構が窓口となっている場合もあるため、確認のうえ連絡しましょう。

4. 投資会社の審査通過後、投資契約を締結する

投資会社の審査を無事通過した後は、投資契約を締結し、資金提供が開始します。また、ハンズオンの中小企業向けファンドでは、資金提供以外に、育成支援を受けられます。

中小企業向けファンドを利用する3つのメリット

中小企業向けファンドから受けた出資金は返済の必要がありません。また、ハンズオンタイプのファンドなら、育成支援を受けられるため事業が軌道に乗りやすい点も魅力といえます。

中小企業向けファンドを利用することのメリットについて、具体的にご紹介します。

1. 元本・利子の返済が不要

先に、金融機関からの「融資」とファンドからの「出資」の違いについて確認しましょう。

 融資出資
会計科目上の扱い負債資本
返済義務元本・利子、共に期限内に返済が必要。返済の義務が無い。

ファンドから受けた資金は、会計上「資本」扱いとなるため、元本や利子の返済が必要ありません。

中小企業は返済に負われる必要のない資金を調達でき、ファンドは管理手数料や運用費を出資者から徴収し、出資者は中小企業が成長することでリターンを得られる、win-winの仕組みともいうことができます。

2. 育成支援を受けられる

ファンドにとって、資金提供をした中小企業が成長・発展することは、絶対に達成すべき目標です。そのため、育成支援をする場合も「〇年以内に上場」など具体的な目標を立て、実行していきます。

当該分野に精通した専門家の育成支援を受けられるため、事業が軌道に乗りやすい点もメリットといえるでしょう。

3. 利用できるファンドの種類が豊富

利用できるファンドの種類が豊富な点も、中小企業向けファンドのメリットです。

スタートアップや継続支援など、事業の経過状態に合わせたファンドや、IT・コンピューター、小売・サービス業など、対象業種別のファンドなど様々なタイプがあります。

そのため、自社の業種や状況に合わせて、より適切なファンドから資金提供を受けられます。また、民間企業が運用しているものや、公的機関と連携し運用しているものなど、運用主体に違いがある点も特徴です。

中小企業向けファンド6種類と対象となる事業者

中小企業向けファンドには様々な種類がありますが、多くは中小機構と連携し運用しています。

代表的な6種については下記の通りです。

ファンド名対象となる中小企業
起業支援ファンド設立5年未満の中小企業
中小企業成長支援ファンドM&Aなどで成長・発展を目指す中小企業
中小企業再生ファンド過剰債務などに陥り事業再構築を目指す中小企業
地域中小企業応援ファンド地域の農林水産物や伝統技術などを活用する中小企業
農商工連携型地域中小企業応援ファンド農林漁業者と連携し、地域の農林水産物や伝統技術などを活用する中小企業
各都道府県の出資するファンド各都道府県により条件が異なる

中小企業向けファンドの種類と内容についてさらに詳しく解説します。

起業支援ファンド

中小機構、VCなどが共同出資するファンドで、設立5年未満の中小企業が資金提供対象となります。資金提供だけでなく、ハンズオン支援や中小機構から各種支援を受けられる点が特徴です。

中小企業の中でも新規上場を目指す企業に向いているファンドといえるでしょう。

中小企業成長支援ファンド

中小機構、VCなどが共同出資するファンドです。

新規事業展開や再編、継続などにより成長・発展を目指す中小企業に資金提供を行います。設立年数に制限はありません。資金提供、ハンズオン支援を行い、新規上場だけでなく、M&Aにより事業の拡大を目指す中小企業に適したファンドです。

中小企業再生ファンド

中小機構と民間投資会社、地域金融機関など共同出資するファンドです。本来収益力のある企業であるにもかかわらず、なんらかの理由で過剰債務などに陥り、経営状況が悪化している企業の再構築を目的としています。

資金提供のほかに、中小企業再生支援協議会との連携し「再生計画策定支援」を行い、他金融機関に金銭債権があれば取得するほか、ハンズオンも行うなど、企業の再生に向けてきめ細やかな支援を受けられます。本来収益力があり、事業再構築により再生を目指したい中小企業に適したファンドです。

地域中小企業応援ファンド

中小機構と、各都道府県庁や地方銀行が共同出資する地域独自のファンドです。各地域の農林水産物や伝統技術などを活用し、商品開発や販路開拓をする事業を支援します。

また、複数年に渡り出資金を受けられるファンドもあります。地域に根ざした中小・スタートアップ企業におすすめのファンドです。名称は都道府県庁により異なるため、詳しくは中小機構のHPを確認しましょう。

農商工連携型地域中小企業応援ファンド

中小機構と、各都道府県庁や地方銀行が共同出資する地域独自のファンドで、中小企業者と農林漁業者が連携することで支援を受けられるファンドです。

そのため、中小企業者のみ、農林漁業者のみでは資金提供が受けられない点に注意が必要です。商品開発や販路開拓をする事業が出資対象となります。

農林漁業者と連携し、地域で生産される農林水産物のブランド化や、それらを原料とした製品の企画・販売をしたい中小企業が申請できるファンドです。

各都道府県の出資するファンド

各都道府県が民間投資会社などと連携して中小企業に資金支援を行うファンドもあります。各都道府県によっても取り扱うファンドが異なるため、各県庁のHPや、労働局HPを確認するとよいでしょう。

一例として、東京都では下記のファンドを取り扱っています。

東京都が紹介しているファンド

  • 開発途上国の社会課題解決に資するスタートアップ支援ファンド
  • 脱炭素化ベンチャー支援ファンド・オブ・ファンズ
  • DXスタートアップ成長支援ファンド
  • 事業承継M&Aファンド・オブ・ファンズ
  • 事業承継支援ファンド
  • ベンチャーファンド
  • 中小企業連携促進ファンド
  • ベンチャー企業成長支援ファンド

参考> https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/chushou/kinyu/fund/

地域によっては取り扱いがない可能性もありますので、注意しましょう。


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中小企業向けファンドを活用して資金調達をしよう

中小企業向けファンドを活用することで、中小企業は無利子の資金を得られます。また、資金提供の際は審査があるものの、通過すれば経営アドバイスなどを受けられる点もメリットです。

スタートアップ向けのものから、事業再生を対象としたものまで様々なタイプのファンドがあるため、自社の状況に即したファンドを利用して、資金調達に役立てましょう。

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