これから起業を考えている方であれば、どのように資金調達したらよいか思案していることでしょう。

起業資金を融資してもらうとしても、自己資金がある程度なければ会社を立ち上げるのは難しいので、家族からの借入を検討しているかもしれません。

当記事では、家族から起業資金を借入する際に注意すべき2つのリスクについて解説します。

 

起業資金を家族から借入する際の注意点

注意喚起
起業資金を融資してもらう前に、自己資金を準備しておくことは非常に重要です。

できるだけ資金を多くしておくために家族から借入する方法もありますが、この方法にはいくつかの注意点があります。

起業資金を家族から借入する際の注意点、下記2つ見ていきましょう。

  1. 贈与税の発生
  2. 事業の将来性を理解してもらう

 

1. 贈与税の発生に注意する

家族や親族から借入を行う際にもっとも注意すべき点は、贈与税でしょう。

贈与税とは、贈与によって財産が移転する場合に課せられる税金です。

預貯金や不動産などの財産を贈与すると、通常贈与税が発生します。

起業資金の借入は贈与ではないように思えますが、ケースによっては法的に贈与と見なされることがあるのです。

たとえば、家族から無利息で借入を行い、元金を定期的に返済しているとします。

このケースでは、本来支払うべきである利息を贈与されていると判断されてしまうのです。

ただし、贈与税には110万円の基礎控除があるため、利息が年間110万円以下の場合には贈与税は発生しません。

非常に多額の借入を行う場合以外は、それほど気にする必要はないでしょう。

これよりもリスクが大きいのは、定期的な返済が行われていないケースです。

家族や親族から借入を行ったものの、事業が軌道に乗ってから返済する予定であったり、利益が上がったときだけ返済することになっていたりする場合には、借入とは見なされません。

こちらのケースでは贈与税が発生し、納税が求められることになるでしょう。

 

2. 事業の将来性をしっかり説明する

家族や親族からの借入というと、無条件ですぐにお金を貸してくれそうに思えるかもしれませんが、ここでも注意が必要です。

最低限のマナーとして、自分の事業がどんなものであるのか、将来利益が上げられるといえる根拠は何かをはっきり説明しましょう。

可能であれば、事業計画などを文書にして押印したものを渡しておくようにします。

どれほど親しい仲であっても、多額の借入をする場合には自分の責任を果たすことが重要です。

どんな目的でいくら必要なのか、いつまでにいくら返済するのかなどをきちんと説明し、相手の不安を解消できるよう努めましょう。

 

家族からの借入は自己資金にあたるのか

疑問を持つ人たち
家族から借入を行う前に、そもそも金融機関が注目する自己資金とはどんなものかを知っておくことは重要です。

結論からいえば、家族からの借入は自己資金とは見なされません。

自己資金は、「預貯金通帳で確認できる、返済の義務のない現金」のことです。

たとえば自分でコツコツ貯めたお金、退職金、不動産などの資産を売却した資金、家族や親族から贈与されたお金などが自己資金に該当します。

これらの資金は返済の義務がないので、金融機関としても問題なく自己資金と見なせるのです。

一方で家族からの借入は、無利息であったとしても返済の義務があります。

返済の義務がある以上、自己資金にはあたらないのです。

もし家族が返済しなくてもよいといっているのであれば、自己資金とはみなせるものの、贈与税がかかる可能性があります。

 

見せ金と思われるケースには注意

起業に際して、家族から借入を行うこと自体は何ら悪いことではありません。

しかし自己資金とは見なされない家族からの借入があるのに、あたかも自己資金であるかのように見せることは問題となります。

金融機関は自己資金の多さを融資の一つの基準としています。当然自己資金が多ければ融資の審査に通りやすくなるでしょう。

しかしこれは、自分でコツコツと計画的に貯めたお金や家族から贈与されたお金が銀行口座にある場合です。

返済義務のある家族からの借入は自己資金ではないので、もし自己資金のように見せかけると金融機関の印象は非常に悪くなります。

これを「見せ金」と呼び、審査に落ちてしまう1つの理由となり得るのです。

見せ金ではなかったとしても、過去6ヶ月から1年間の間に、いきなり大金が振り込まれている場合には見せ金と判断されてしまう事もあります。

たとえば資産を売却したり、口座間の資金の移動があったりするといきなり大金が振り込まれているように思えます。

融資担当者に納得してもらえるよう、前口座の通帳や売買契約書などの証拠を持参し、見せ金でないことを納得してもらえるようにしましょう。

 

家族からの借入で贈与税を発生させない方法

プレゼント
家族からの借入が贈与であると見なされると、贈与税が発生してしまいます。

せっかく家族から借入して起業に役立てようと思っても、贈与税がかかれば目減りしてしまうでしょう。

家族からの借入が贈与と見なされないために、注意すべき6つの点を見ていきましょう。

 

1. 借用書を作成する

贈与税を発生させないもっとも効果的な方法は、借用書を作成することです。

借用書があれば、お金の貸し借りがあったことを客観的に証明できます。

借用書には、借りた金額や金利、どのように返済するかといった内容を記載します。

決まったフォーマットはないため、貸主と借主との間でよいと思えるフォーマットを使用できます。

1万円を超える契約書の場合には収入印紙が必要であることも覚えておきましょう。

 

2. 返済可能な金額を借り入れる

家族からの借入が贈与と見なされないようにするための別の方法は、返済可能な金額を借り入れる点です。

起業に必要だからといって、返済不可能と思える金額を借り入れると、贈与を前提としていると見なされてしまう恐れがあります。

借入とは、毎月決まった金額を返済していき、完済できるものと考えられるので、返済計画が立てられる範囲での借入とすべきです。

 

3. 返済期限を設定する

借用書に記載すべき事項でもありますが、返済期限を設定することも重要です。

出世払いや儲かったときだけ返済すればよいという曖昧な約束は、贈与と見なされることが多いでしょう。

この場合、借入の全額が贈与と見なされ多額の贈与税が課せられる恐れがあります。

いつまでに完済するのかをしっかり話し合い、借用書に記載しておきましょう。

 

4. 金利を設定する

前述のように、無利息での借入は利息分を贈与していると見なされます。

もちろん利息分が基礎控除の110万円を超えなければ贈与税は発生しませんが、たまたまある年に別の贈与が発生しており、利息分との合算で110万円を超えてしまうことが考えられます。

金利を設定しておけば、うっかり基礎控除を超えてしまうリスクを抑えられるでしょう。

金融機関などと比較して低めの金利を設定することは問題ありませんが、家族からの借入だからといった極端に低い金利にしないよう注意が必要です。

 

5. 返済は銀行振込などを利用する

家族からの借入が贈与でないことを証明するためには、返済の証拠を示すことも必要です。

たとえば毎月10万円をきちんと返済していても、手渡しであれば証拠は残りません。

この場合、本当に返済しているのか疑われ、借入が贈与と見なされてしまう恐れがあります。

一方で、毎月通帳から借用書に記載された返済額と利息が返済されており、家族の通帳にも同じ金額が振り込まれていることが分かれば、贈与と見なされることはないでしょう。

 

6. 数年に分けて借入を行う

もしこれから起業することを考えているのであれば、これから数年に分けて110万円以下の資金を借り入れるという方法も考えられます。

贈与税の基礎控除110万円は、1月1日から12月31日の1年間に適用されます。

つまり、次の年に再度110万円の贈与があっても、同様に非課税となるのです。

すぐに起業したい方の場合には利用できない方法ですが、まだ起業の準備段階である方は、これから数年にわたって110万円以下の借入を行っていけば、贈与税がかかる心配はありません。

 

家族からの借入で必要なもの

書類・ドキュメント
家族からの借入であっても、法的に正式なものとするためには用意すべきものがあります。

まずは借用書・契約書です。

インターネットなどでダウンロードできるもので十分ですが、借入が贈与と見なされないためにも、必ず借用書を作成するようにしましょう。

bizocean(ビスオーシャン)など、有名なテンプレ配布サイトからダウンロードすればよいでしょう。

さらにお金を貸してくれる家族と自分が使っている通帳も準備します。

二者間でお金のやり取りが行われていること、返済が毎月定期的に行われていることなどを証明するために必要です。

印鑑はどのようなものでも問題ありませんが、借用書を作成する際には実印を使うのがよいでしょう。

印鑑証明を付けておけば、借用書の有効性がさらに高まります。

もし借用書を法的に有効なものとしておきたい場合には、公正証書にしておく方法もあります。

これは任意ですが、公証役場に行って借用書を公文書にしておけば、税務署から尋ねられた時に強力な証拠となります。

 

家族からの借入での借用書・契約書の作成


家族からの借入の場合でも、借用書を作成しておくことは非常に重要です。

もしくは、金銭消費貸借契約書を作成する手もあります。

借用書と金銭消費貸借契約書に効力の差はありませんが、作成方法に違いがあります。

借用書は基本的に借主が1通作成し、貸主に渡します。

一方、金銭消費貸借契約書は2通作成され、借主と貸主の両方に渡されることがほとんどです。家族であっても認識の差が生じないように、2通作成する金銭消費貸借契約書を作る方もいます。

では借用書や金銭消費貸借契約書を作成する際のポイントを5つ見ていきましょう。

 

1. 借用書・契約書に記載すべき項目

借用書・契約書には必ず記載すべき項目があります。それは、

  1. 借用書の作成年月日
  2. 貸主と借主の住所・氏名・押印
  3. 借入金額
  4. 借入日付
  5. 返済方法と返済期日
  6. 金利
  7. 遅延損害金
  8. 期限利益の喪失

です。

遅延損害金に関しては、家族間のお金の貸し借りであれば必要ないと感じる方もいるでしょう。

ただし、その他の項目については借用書に記載しておくことで、確かに借入であると証明することができます。

 

2. 署名は直筆、印鑑は実印で

借用書で非常に重要な別のポイントは、署名と押印です。

署名は絶対に貸主・借主の直筆でなければなりません。借用書や契約書をパソコンで作成するとしても、署名は直筆です。

印鑑はどのような種類でも構いませんが、実印を使うようにしましょう。

 

3. 金額の表記は漢数字の大字を使う

借用書や契約書に記載する借入金額は、漢数字の大字を使うのが望ましいでしょう。

漢数字の「一、二、三・・・」では改ざんされてしまう恐れがあるので、大字である「壱、弐、参・・・」を使用することが勧められています。

 

4. 収入印紙が必要

意外と忘れがちですが、借用書や契約書を有効なものとするためには収入印紙が必要です。

正確には1万円以上の借入の場合に収入印紙が必要となります。

起業のための借入で1万円未満ということはまず考えられないので、借用書には必ず収入印紙を貼るようにしましょう。

 

5. 金利の記載は状況に応じて変更可能

借用書や契約書に金利について記載するかどうかは状況によります。金利の記載がなければ、金利分が贈与と見なされるでしょう。

しかし金利分が基礎控除である110万円以下であれば、記載がなくても贈与税が発生することはありません。

一方金利の記載があれば、借入が贈与と見なされることはなくなります。

 

家族から起業資金を借り入れる場合にも借用書と返済が必要

家族からの借入は起業資金を用意するのにとても便利な方法ですが、贈与と見なされる可能性がある点に注意すべきです。

贈与と見なされないように、法的に有効な借用書を作成し、毎月の返済を怠らないようにしましょう。

家族からの借入をもっとも効果的に使うためにも、借入の際には準備が重要です。

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