経営者必見!従業員持株会の仕組みやメリット・デメリット、設立方法をプロ解説

従業員持株会は、従業員が受け取る給与の一部を拠出金として自社株を購入する仕組みです。従業員持株会は、従業員・会社の双方にさまざまなメリットがあります。

従業員持株会の導入を検討している方は、以下のようなお悩み・疑問をお持ちではないでしょうか?

従業員持株会どんな仕組み?ウチの会社に導入する意味はあるのかな

従業員持株会を運営するために、メリット・デメリットを理解しておきたい

従業員持株会を導入する際の注意点は?取り入れるなら失敗したくない

従業員持株会の仕組みを理解した上で自社に導入すると、安定した資金調達が可能になり、生産性向上や利益拡大などの効果も期待できます。

従業員持株会の基本的な仕組みは、以下のとおりです。

従業員持株会の仕組み

  • 従業員の給与や賞与から、一定額を天引き(拠出)する
  • 拠出金を原資として、従業員持株会が自社株を購入する
  • 購入した株式は、各従業員の拠出額に応じて配分される

従業員持株会の導入を検討する際は、「企業側」「従業員側」のメリット・デメリットも押さえておきましょう。

◆従業員持株会のメリット・デメリット

スクロールできます
企業側従業員側
メリット福利厚生を充実させられる
「安定株主」の割合を高められる
従業員のモチベーション向上を図れる
・株式の社外流出を防ぎつつ資金調達できる
事業承継時や相続時のコスト負担を減らせる
・株式を1,000円単位の少額で購入できる
・奨励金でより多くの株式を取得できる
・配当金を再投資に回せば複利効果を狙える
・購入の手間をかけず簡単に資産形成できる
インサイダー取引の規制対象外
デメリット・継続的に配当金や奨励金を支払う必要がある
・持株比率によっては経営の自由度が低下する
・株価下落が従業員のモチベーション低下につながる
・退職時のルールが曖昧だとトラブルに発展する
・退会する会員が一時的に増えると資金不足に陥る
株主優待を受けられない
・好きなタイミングで株式を売買できない
・会社への依存度が高いと業績悪化の影響を受けやすい
所得税を支払わなければならない(配当金と奨励金)
・株式売却時はインサイダー取引のリスクが高まりやすい

会社と従業員の双方がメリットを得られる仕組みを整えることが、従業員持株会を安定的に運営する上で重要なポイントです。具体的な設立方法や、導入時の注意点も解説しているため、ぜひ最後までチェックしてみてください。

筆者は「融資代行プロ」という成果報酬型の「融資コンサル」サービスで、これまで多くの会社における従業員持株会の運営をご支援してきました。

筆者プロフィール
岡島光太郎_(株)融資代行プロ 代表取締役

これまでの支援実績
創業前後の個人/法人中堅企業
調達額「200万円」〜「9.5億円」
多業界の資金調達 / 財務コンサル実績

本記事では、融資のプロである筆者が、「従業員持株会の仕組み」や「メリット・デメリット」等、以下の内容を丁寧に解説します。資金調達のご支援の現場で培ったリアルで濃い内容なので、ブックマークして、あとから何度も読み返すことをオススメします

▼この記事でわかること
  • 従業員持株会の仕組みや運営体制
  • 従業員持株会を導入する「企業」のメリット・デメリット
  • 従業員持株会に加入する「従業員」のメリット・デメリット
  • 従業員持株会の設立方法
  • 従業員持株会の導入時に押さえるべき注意点

「従業員持株会をしっかり運営したい」「従業員とのトラブルは絶対に避けたい」とお考えの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。


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目次

従業員持株会とは

「従業員持株会」は、会員となった従業員の給与や賞与から一定額を天引きして自社株を購入し、拠出額に応じて配当を割り当てる仕組みです。自社株の取引を行う際、従業員と会社の間に従業員持株会が入るため、株式投資の知識がない従業員でも、手軽に自社株を取得・保有できます。

従業員持株会は、「福利厚生の充実」「従業員の資産形成支援」「モチベーション向上」などを目的に導入されるケースが多い傾向です。

なお、東京証券取引所のレポート1では、2023年度に上場している3,932社のうち、3,273社が従業員持株会を導入していることが明らかとなりました。加入者数が増加傾向にあることからも、従業員持株会は「会社」「従業員」の双方にとって、さまざまなメリットが期待できる制度といえるでしょう。

また、日本取引所グループ(JPX)等の研究2によると、従業員一人あたりの保有金額が10%増えた場合、付加価値(生産性)が約1〜4%向上することが示されています。つまり、全従業員を持株会に参加させるよりも、意思決定に携わる中核社員により多くの株式を保有してもらう方が、業績を押し上げる効果が高いのです。

従業員持株会を導入する際は、上記の点を踏まえ、生産性向上や業績アップにつながる運営を心がけましょう。

従業員持株会の仕組み

従業員持株会の基本的な仕組みは、以下のとおりです。

従業員持株会の仕組み

  • 従業員の給与や賞与から、一定額を天引き(拠出)する
  • 拠出金を原資として、従業員持株会が自社株を購入する
  • 購入した株式は、各従業員の拠出額に応じて配分される

従業員持株会への加入は任意となるため、給与から一定額を天引きされることに抵抗がある場合は、無理に加入する必要はありません。

しかし、従業員持株会では1,000円単位の少額から株式を購入でき、会社によっては拠出金を上乗せする「奨励金」も支給されています。少ない金額でより多くの株式を取得できるため、個人で投資を行うよりもコスト面での負担を抑えつつ、中長期的な資産形成を図れるでしょう。

なお、従業員持株会を通して購入した株式は、あくまで持株会のものであり、従業員が直接保有できるわけではない点に注意が必要です。

また、多くの企業では配当金を再投資に充てる仕組みを採用しているため、従業員がすぐに現金を受け取れない点も理解しておきましょう。

従業員持株会の運営体制

従業員持株会は、官公庁に届出を出す必要がないため、民法上の「組合」として設立・運営されます。

管理運営は「社内実施」と「外部委託」の2種類があり、一般的には証券会社などの専門機関に委託するケースが多いです。

また、従業員持株会は、株式数の多い上場企業向けの制度だと思われがちですが、実際には中小企業を含む非上場企業でも導入できます。

上場予定の企業が、将来的なキャピタルゲインの期待感を高める目的で導入することもあるため、状況に応じて効果的に活用しましょう。

従業員持株会を導入する「企業」のメリット5つ

従業員持株会を導入する企業側のメリットは、以下の5つです。

◆従業員持株会を導入する「企業」のメリット5つ
  • メリット1. 福利厚生を充実させられる
  • メリット2. 「安定株主」の割合を高められる
  • メリット3. 従業員のモチベーション向上を図れる
  • メリット4. 株式の社外流出を防ぎつつ資金調達できる
  • メリット5. 事業承継時や相続時のコスト負担を減らせる

従業員の満足度やモチベーションを高めることが、結果として安定的な経営につながります。

メリット1. 福利厚生を充実させられる

従業員持株会は、従業員の中長期的な資産形成をサポートする制度であるため、福利厚生を充実させる手段として活用できる点がメリットです。「給与天引き」「奨励金の支給」など、投資初心者でも挑戦しやすい環境が整っていることから、従業員は無理のない形で投資を始められます。

企業側としても、従業員持株会を導入することで、「従業員の将来を考えている会社」という姿勢を対外的にアピールできるでしょう。

従業員持株会の導入によって福利厚生を充実させると、従業員は安心感や信頼感を持てるため、離職率の低下につなげられます。

採用活動においても、魅力的な福利厚生制度としてアピールすれば、優秀な人材を確保でき、生産性向上や利益拡大を実現しやすくなるでしょう。

メリット2. 「安定株主」の割合を高められる

従業員持株会を導入すると、長期的に自社の株式を保有する「安定株主」の割合を高められる点も大きなメリットです。自社で働く従業員が実質的な株主となることで、毎月一定額の資金を確保できるため、安定した経営を続けやすくなります。

通常、一般投資家が自社株を購入すると、市場環境の変化や一時的な業績悪化によって短期的な売却が起こりがちです。しかし、従業員持株会では株式の売買を繰り返すことが想定されていないため、結果として長期的に株式が保有されます。

また、従業員持株会の会長には、自社の経営方針に理解のある「部長クラス」が就任するケースが多いです。

このように、従業員持株会が経営者の意向に賛同していることも、安定的に事業を運営できる大きな要素の一つといえるでしょう。

メリット3. 従業員のモチベーション向上を図れる

従業員持株会を導入すれば、会員となった従業員のモチベーション向上を図りやすくなります。自分の頑張りや会社の業績が配当金に反映されるため、業務に対してより真剣に取り組めるのです。

自社の課題解決や成長に貢献しようとする参画意識が高まれば、生産性向上や業務品質の改善なども期待できるでしょう。

主体的な行動が生まれることで組織全体の活性化につながり、従業員の定着率を高められる点も大きなメリットです。

会社全体の成長を後押しするためにも、従業員持株会の魅力を積極的にアピールし、一人でも多くの会員を増やしましょう。

メリット4. 株式の社外流出を防ぎつつ資金調達できる

従業員持株会を導入すると、株式の社外流出を防ぎながら、安定的な資金調達を行うことも可能です。

通常、株式発行による資金調達では、社外の投資家に株式を割り当てるケースが多く、経営に介入されるリスクも高まります。自社株が大量に社外へ流出した結果、第三者に株式の過半数を取得されると、経営権を奪われて実質的に買収されるかもしれません。

一方、従業員持株会では会社の経営方針を理解している従業員が株式を購入するため、敵対的買収などのリスクを抑えながら資金調達できます。従業員に議決権を与えない、配当優先の「無議決権株式」を持たせることで、安定経営と資産形成の両立も実現できるでしょう。

外部株主の意向に左右されることなく、自社の経営方針に沿って事業を運営できれば、中長期的な成長を見据えた戦略も立てやすくなります。

メリット5. 事業承継時や相続時のコスト負担を減らせる

従業員持株会を導入することで、事業承継時や相続時にかかるコスト負担を抑えられる点もメリットです。経営者が保有する株式の一部を従業員持株会に渡しておけば、「相続税」「贈与税」などの課税額や、株式の取得費用を大幅に減らせます。

一般的に、事業承継や相続を行う際は、後継者が自社株を取得するために、多額の資金を用意しなければなりません。しかし、従業員持株会を通じて自社株を分散させておくと、相続対象となる株式が減少し、事業承継や相続にかかる費用を抑えられるのです。

事業承継時や相続時のコスト負担が軽減されれば、多額の資金を用意する必要がなくなるため、スムーズに手続きを進めやすくなるでしょう。

また、手元資金に余裕が生まれることでキャッシュフローが安定しやすくなり、事業承継・相続後も事業を止めることなく運営できます。

従業員持株会を導入する「企業」のデメリット5つ

従業員持株会を導入する際は、以下5つのデメリットに注意しましょう。

◆従業員持株会を導入する「企業」のデメリット5つ
  • デメリット1. 継続的に配当金や奨励金を支払う必要がある
  • デメリット2. 持株比率によっては経営の自由度が低下する
  • デメリット3. 株価下落が従業員のモチベーション低下につながる
  • デメリット4. 退職時のルールが曖昧だとトラブルに発展する
  • デメリット5. 退会する会員が一時的に増えると資金不足に陥る

従業員とのトラブルを未然に防ぐためにも、一つずつチェックしておくことが重要です。

デメリット1. 継続的に配当金や奨励金を支払う必要がある

従業員持株会を導入する際のデメリットは、会員となった従業員に対して、配当金や奨励金を継続的に支払う必要があることです。

たとえ業績が悪化したとしても、配当金や奨励金を支払い続ける必要があるため、さらに資金繰りを圧迫するリスクが高まります。

だからといって、配当金や奨励金の支払いを中断すると、従業員の不安が募り、業務に対するモチベーションが低下するかもしれません。

従業員持株会に加入する従業員の多くは、企業の成長による安定的な配当を期待しています。

そのため、従業員持株会を導入する際は、業績に関係なく継続的なコストが発生する点を十分に考慮しておくことが大切です。

デメリット2. 持株比率によっては経営の自由度が低下する

従業員持株会の持株比率が高くなると、会社の意思決定に影響を及ぼす「議決権」の割合も増えるため、結果として経営の自由度が低下する可能性があります。

自社の経営方針に理解のある従業員で構成されているものの、経営者の意図しない形で権利が行使されるリスクがある点には注意が必要です。

株式発行による資金調達では、株主の持株比率に応じて、以下の権利が付与されます。

▼持株比率と株主の権利3

持株比率株主が行使できる権利
1%以上株主総会の議案請求権
3%以上株主総会の招集請求権、会計帳簿の閲覧および謄写請求権
50%以上(過半数)株主総会の普通決議を単独で可決する権利(会社の主要な意思決定をほとんど自ら行える)
66.7%(3分の2)以上株主総会の特別決議を単独で可決する権限(自己株式の取得に関する事項、募集株式の募集事項、事業譲渡など)

経営の自由度が低下すると、大事な局面でも迅速な意思決定が難しくなり、事業拡大のチャンスを逃しやすくなる点が大きなデメリットです。

従業員持株会の導入後も安定した経営を続けるためには、持株比率が過度に高くならないよう、発行株式数の上限を設けましょう。

また、自社の経営方針や事業戦略を定期的に説明し、理解を得ておくと、経営者の意図に反した形で権利を行使されるリスクを抑えられます。

デメリット3. 株価下落が従業員のモチベーション低下につながる

従業員持株会には、経営への参画意識を高める効果がある一方、株価下落が従業員のモチベーション低下につながる点に注意が必要です。自社株を保有しているからこそ、「株価の変動」や「業績の推移」が業務意欲に影響を及ぼす可能性があります。

株価下落によって従業員のモチベーションが下がると生産性や業務品質の低下を招き、さらなる業績悪化につながるリスクが高まるでしょう。自社株を売却する従業員が増えれば、株価下落が加速して買い手がつかなくなるなど、資金調達が困難な状況に陥るかもしれません。

従業員のモチベーションを維持するためには、持株会が長期的な資産形成を目的としていることや、今後の事業戦略を丁寧に説明することが重要です。

自身の頑張りが、売上改善や長期的な利益の獲得につながると理解できれば、前向きな姿勢で引き続き業務に取り組めます。

デメリット4. 退職時のルールが曖昧だとトラブルに発展する

退職時のルールを曖昧にしたまま従業員持株会を導入すると、従業員との間でトラブルに発展する可能性がある点に注意しましょう。

従業員持株会に加入する多くの従業員は、退職時に「いつ」「いくらで」「誰が」株式を買い取るのかを十分に理解していません。そのため、買取価格の算定基準や手続きの流れが曖昧だと、「安く買い取られた」「すぐに現金化できなかった」などの不満が生じやすくなってしまいます。

株式の買取価格が時期によって変動する仕組みを理解していない場合は特に、「自分だけ不当に低い価格で買い取られた」と誤解を招くでしょう。

従業員とのトラブルを避けるには、退職時における株式の取り扱いについて、明確なルールを定めておくことが重要です。

また、退職者向けに「買取価格の算定方法」「手続きの期限」などを説明する機会を設けることで、認識のズレによるトラブルを防げます。

デメリット5. 退会する会員が一時的に増えると資金不足に陥る

従業員持株会を退会する従業員が一時的に増えた場合、会社全体として資金不足に陥る可能性がある点も大きなデメリットです。

従業員持株会は、従業員の拠出金で自社株を購入する仕組みであり、企業にとっては拠出金が事業活動を支える資金源の一つとなっています。しかし、従業員が持株会を退会すると、保有していた自社株を手放すことになるため、継続的に入っていた拠出金も途絶えてしまうのです。

特に非上場企業は、退会時に株式を売却することが前提となる点から、会員数の減少による影響を受けやすく、場合によっては事業の継続自体が難しくなるかもしれません。

従業員の退会によって資金不足に陥るリスクを防ぐには、常に一定の余裕資金を確保した上で事業を運営することが大切です。

従業員持株会だけでなく、銀行融資など別の資金調達方法も併用しておくと、退会者が増えても安定した資金繰りを維持しやすくなります。

従業員持株会に加入する「従業員」のメリット5つ

従業員持株会に加入する従業員側のメリットは、以下の5つです。

◆従業員持株会に加入する「従業員」のメリット5つ
  • メリット1. 株式を1,000円単位の少額で購入できる
  • メリット2. 奨励金でより多くの株式を取得できる
  • メリット3. 配当金を再投資に回せば複利効果を狙える
  • メリット4. 購入の手間をかけず簡単に資産形成できる
  • メリット5. インサイダー取引の規制対象から外される

従業員持株会の会員を増やす際は、これらのメリットについて具体的に説明することを心がけましょう。

メリット1. 株式を1,000円単位の少額で購入できる

従業員持株会に加入する従業員側のメリットは、自社株を1,000円単位の少額から購入できることです。まとまった資金がなくても株式投資を始められるため、家計への負担を抑えながら中長期的に資産形成できます。

2018年10月から、全国の証券取引所に上場しているすべての株式は、「100株」を1単元とする取引単位に統一されました4。つまり、株式を取得するには100株単位で購入しなければならず、株価によっては数万円〜数十万円の資金が必要になるのです。

しかし、従業員持株会に加入すると、1株単位で自社株を購入できるため、拠出額も毎月1,000円〜数千円程度の少額で済みます。

少ないコスト負担で株式を購入できれば、投資初心者でも無理のないペースで、長期的・継続的に資産を積み立てられるでしょう。

メリット2. 奨励金でより多くの株式を取得できる

「奨励金」の支給によって、給与や賞与から天引きされた金額以上の株式を取得できる点も、従業員持株会に加入するメリットです。

奨励金は、従業員の拠出金に対して会社が一定割合を上乗せすることで、より多くの株式を取得できるようにする仕組みを指します。

従業員の参加率を高める効果もあるため、奨励金は多くの企業で支給されている傾向です。実際、東京証券取引所の調査5によると、従業員持株会を導入している上場企業のうち、96.6%が奨励金を支給していることが明らかになりました。

なお、奨励金は拠出金に対して5〜10%の割合を設定するのが一般的です。

たとえば、奨励金が10%支給される持株会に加入し、毎月1万円を拠出した場合、会社からは1,000円分の奨励金が上乗せされます。つまり、従業員本人は1万円しか負担していないにもかかわらず、実際には11,000円分の自社株を取得できることになるのです。

自己資金だけで投資するよりも実質的な利回りが高くなるため、長期的に活用すれば、より多くのリターンを得られるでしょう。

メリット3. 配当金を再投資に回せば複利効果を狙える

従業員持株会を通じて受け取った配当金を使わず、そのまま再投資に回せば、資産が加速度的に増えていく「複利効果」を狙えます。

従業員持株会では、毎月の拠出金だけでなく、配当金も自社株の購入資金として活用する「再投資」の仕組みを採用しているケースが多いです。

配当金が再投資に回されると、「毎月の拠出金+配当金」を元手に株式を購入するため、同じ拠出額でより多くの株式を取得できます。

再投資された配当金の分だけ株式の保有数やリターンが増えれば、拠出金の総額以上の資産形成効果が見込めるでしょう。

投資期間が長くなるほど複利効果は大きくなるため、長期的な視点で安定的に投資を続けたい従業員にとっては、非常に魅力的な制度です。

メリット4. 購入の手間をかけず簡単に資産形成できる

従業員持株会では、給与や賞与からの天引きで自社株を購入できるため、煩雑な事務手続きを行うことなく、手軽に資産形成を進められます。

通常、個人の株式投資では、「証券会社の口座開設」「売買タイミングの判断」「注文手続き」などの工程をすべて自分で行わなければなりません。しかし、従業員持株会では、あらかじめ設定した拠出額に基づいて自動的に株式を購入できるため、初心者でも無理なく投資を続けられます。

余計な時間や手間をかけずに株式を購入できると、投資に伴う心理負担を軽減しながら、安定したペースで資産を積み上げられるでしょう。

また、自動的に株式を購入することで投資をしている意識が薄まり、「いつの間にか資産が増えていた」と感じられる点も、従業員にとっては嬉しいポイントです。

メリット5. インサイダー取引の規制対象から外される

「インサイダー取引」は、会社の役員や従業員が、業務を通じて知り得た未公表の重要事実を利用して、自社株などの売買を行うことです。

従業員は、一般投資家よりも未公表情報に触れる機会が多いため、本人に悪意がなくてもインサイダー取引と判断される可能性があります。

一方、従業員持株会は、あらかじめ定められたルールに沿って株式を購入するため、インサイダー取引の規制対象外となる点がメリットです。売買のタイミングが決められている点から、未公表情報を利用した不正な取引とは性質が異なるものとして扱われます。

インサイダー取引の規制対象から外されると、株式の購入について過度に神経を使うことなく、安心して資産形成に取り組めるでしょう。

企業側としても、法令違反のリスクを最小限に抑えることで、対外的な信用度を維持できる点が大きなメリットといえます。

従業員持株会に加入する「従業員」のデメリット5つ

従業員持株会に加入する従業員のデメリットは、以下の5つです。

◆従業員持株会に加入する「従業員」のデメリット5つ
  • デメリット1. 株主優待を受けることはできない
  • デメリット2. 好きなタイミングで株式を売買できない
  • デメリット3. 会社への依存度が高いと業績悪化の影響を受けやすい
  • デメリット4. 所得税を支払わなければならない(配当金と奨励金)
  • デメリット5. 株式売却時はインサイダー取引のリスクが高まりやすい

従業員持株会を導入する際は、従業員にこれらの不利益が生じないよう、十分に配慮した上で運営する必要があります。

デメリット1. 株主優待を受けることはできない

従業員持株会に加入する大きなデメリットは、「割引券」「サービス券」「カタログギフト」などの株主優待を受けられないことです。

従業員持株会は、従業員の拠出金で購入した株式であっても、持株会の名義で保有する仕組みとなっています。株主優待は名簿に記載された名義人を基準に付与されるため、名義上の株主が持株会である以上、従業員は株主として扱われないのです。

そのため、株主優待を目的に自社株を購入する従業員にとっては、投資ならではの楽しみを味わえず、物足りなさを感じるかもしれません。

自社の株主優待を受けたい場合は、個人の証券口座を新たに開設し、株主優待を受けられる必要最低限の株式を購入するのがおすすめです。

従業員持株会を導入する企業は、自社製品やサービスの社割制度など、株主優待の代替となる「社内限定の特典制度」を検討してみましょう。

デメリット2. 好きなタイミングで株式を売買できない

従業員持株会に加入する際は、株式を好きなタイミングで売買できない点にも注意が必要です。

従業員持株会は、株式の定期的な購入を前提とした制度であるため、従業員の判断で株式の購入時期を決めることはできません。

また、自社株を売却する際は、持株会を退会し、保有株式を個人の証券口座に移す必要があります。株式を移転させる手続きは数週間かかる場合もあるため、従業員が希望するタイミングで売却するのは難しいでしょう。

市場で売却する際も、原則として最低売買数量である1単元(100株)以上の株式を保有していなければ、取引は認められません。非上場企業は市場での取引ができないため、従業員持株会に買い取ってもらうことになりますが、この手続きにも時間がかかる可能性があります。

このように、従業員持株会で扱う株式は流動性が低いため、短期的な値動きを活かした投資をしたい従業員にとっては、デメリットが大きくなりやすいです。

特に、売却のタイミングは従業員が重視する要素の一つでもある点から、企業側は「いつ・どのような場合に売却できるのか」を明確に示しておきましょう。

デメリット3. 会社への依存度が高いと業績悪化の影響を受けやすい

会社への依存度が高くなることで、業績悪化の影響を受けやすくなる点も、従業員持株会に加入する大きなデメリットです。収入だけでなく、資産形成における投資資金も同一企業に集中するため、会社の経営状況が保有財産に影響を及ぼしてしまいます。

たとえば、業績が悪化して株価が下落すると、給与や賞与が減るのはもちろん、配当金を受け取れなくなる可能性も高まるでしょう。会社が倒産する最悪の事態が起これば、これまで積み上げてきた資産の大半を失うことにもなりかねません。

従業員が投資を成功させるには、「預貯金」「投資信託」「他社株式」など、自社株以外の投資先を増やしてリスク分散することが大切です。従業員持株会のメリットを活かしつつ、会社への依存度合いをコントロールすれば、長期的に安定した資産形成を進められます。

企業側の対策としては、「給与の○%まで」と拠出金の上限を設けたり、他の資産形成手段との併用を推奨したりするのがおすすめです。

デメリット4. 所得税を支払わなければならない(配当金と奨励金)

従業員持株会で受け取った配当金や奨励金は、「配当所得」や「給与所得」として扱われるため、所得税を支払わなければなりません。配当金や奨励金をそのまま受け取れるわけではなく、税引後の金額が実際の受取額となる点に注意が必要です。

税引後の受取額を把握しないまま投資を続けていると、従業員が期待通りの成果を得られず、将来の資金計画にズレが生じる可能性もあります。

これにより、従業員が不満を抱くリスクも高まるため、従業員持株会を導入する際は、税金が発生する仕組みを事前に説明することが大切です。

正確な受取額を把握できれば、従業員も所得税を考慮した資産形成が可能となり、「想定よりも資産が少ない」という事態を防げます。

デメリット5. 株式売却時はインサイダー取引のリスクが高まりやすい

従業員持株会を通じて購入した株式を売却する際は、インサイダー取引とみなされるリスクが高まる点に注意が必要です。

従業員持株会による株式の購入は定期的に行われますが、売却のタイミングは従業員自身の判断に委ねられています。

多くの従業員は、未公表の重要事実を知っている可能性があるため、無計画に株式を売却すると、法律に抵触するかもしれません。仮に株式売却がインサイダー取引だと判断された場合、「5年以下の拘禁刑」や「500万円以下の罰金」が科される可能性があります。

そのため、自社株を売却する際は、インサイダー取引に関する規程を事前に確認し、コンプライアンス部門にも相談しておくことが大切です。また、従業員持株会を導入する企業は、法令違反を防ぐためのルール整備や、従業員向けの説明を徹底して行う必要があります。

なお、未公表の事実を知った上で「持株会への加入」「拠出額の変更」を行った場合も、罰則対象となる可能性があるため注意しましょう。

従業員持株会に入るべきか迷ったときに「従業員」が見るべきポイント

従業員持株会に入るべきか迷ったときは、以下3つのポイントを確認した上で慎重に検討しましょう。

従業員持株会に入るべきか迷ったときに確認する3つのポイント

  • 資産形成の目的や期間に合っているか
  • 奨励金の割合は高く設定されているか
  • 収入や資産を失うリスクが集中しないか

従業員持株会は、毎月一定額を積み立てて少しずつ自社株を購入する仕組みであり、短期的な資産形成を狙う手法ではありません。そのため、資産形成の目的や期間が「長期的にコツコツ資産を増やす」という持株会の特徴に合っているのか確認することは重要なポイントです。

奨励金の割合が高く設定されていると、購入できる株式数も増えるため、将来的により多くのリターンを見込めるでしょう。

また、従業員持株会への加入を検討する際は、業績悪化時に収入や資産を一気に失うリスクが高まらないかを確認することも大切です。

会社への依存度が高くなってしまう場合は、「NISA」「iDeCo」など、他の投資手法も活用しながら、リスクを分散させましょう。

従業員持株会の設立方法【4ステップ】

従業員持株会を設立する手順は、以下の4ステップです。

ステップ

従業員持株会の「規約」「細則」を作成する

まずは、従業員持株会の基本的なルールとなる「規約」「細則」を作成します。規約の改正は簡単にできないため、将来的に変更の可能性がある項目については「細目」に記載しましょう。

「組合の目的」「会員資格」などは規約に、「奨励金の支給額」「株式保有数の上限」などは細目に記載するのがおすすめです。

ステップ

「役職の選任」「取締役会による承認」を行う

次に、従業員持株会の設立に必要な「設立発起人」「理事(理事長)」「幹事」を選任します。自社の経営方針に理解のある幹部クラスの社員を選任すると、管理運営をスムーズに行えるでしょう。

役職の選任後は、従業員持株会の設立や「奨励金」「給与天引き」などのルールについて、取締役会の承認を受けます。

ステップ

銀行口座を開設し、覚書を締結する

取締役会の承認を受けたら、従業員持株会で使う銀行口座を開設しましょう。また、従業員持株会と会社との間で覚書を締結する手続きも必要です。

覚書には、「従業員持株会の目的外利用を禁止する事項」「会社が負担する手数料」などを記載します。

ステップ

会員の募集後に運用を開始する

従業員持株会の設立が完了したら、従業員向けの説明会を行い、会員を募集しましょう。「持株会の目的」「会員資格」「退職時の選択肢」「資産形成におけるメリット・デメリット」などを丁寧に説明するのがポイントです。

一定の加入者を確保し、入会手続きが完了したら、従業員持株会の運用を開始します。

運用開始後のトラブルを防ぐためにも、従業員持株会の「規約」「細則」を作成するステップでは、慎重にルールを検討しましょう。

従業員向けの説明会を実施する際は、些細な質問にも丁寧に対応することで納得感が高まり、より多くの会員を獲得しやすくなります。

従業員持株会の導入時に押さえるべき4つの注意点

従業員持株会を導入する際は、以下4つの注意点に配慮した上で設立・運営を行いましょう。

◆従業員持株会の導入時に押さえるべき4つの注意点
  • 注意点1. 配当金の支払基準や退職時の買取方法を明確にする
  • 注意点2. 公平性が高く無理のない奨励金を設定する
  • 注意点3. 「持株会規約」で運営事項を詳細に定める
  • 注意点4. インサイダー取引規制への対策を十分に行う

企業側と従業員側の双方がメリットを得られる仕組みを整えることで、安定的な運営が可能になります。

注意点1. 配当金の支払基準や退職時の買取方法を明確にする

従業員持株会を導入する際は、配当金の支払基準や退職時の買取方法を明確にしておきましょう。

多くの従業員は、配当金や株式売却益のリターンを期待して従業員持株会に加入します。配当金や買取価格に不満が生じると、従業員とのトラブルに発展しかねません。そのため、持株会に加入する従業員に向けて、リターンの仕組みを明示することが重要です。

たとえば非上場企業は、退職時に従業員持株会が株式を買い取る点を踏まえ、株価の算定方法を規約などに記載しておきましょう。退職者が発行済株式総数の30%を保有している場合は「原則的評価方式」、それ以外の場合は「特例的評価方式」を用いるのが一般的です。

配当金の支払基準や退職時の買取方法を明確にしておくと、従業員は将来の見通しを持ちやすくなり、安心して持株会に加入できます。

また、会社側も従業員とのトラブルを未然に防ぐことで、持株会の安定した運営が可能となり、着実に拠出金を確保できるでしょう。

注意点2. 公平性が高く無理のない奨励金を設定する

従業員持株会を導入する際は、従業員間で不公平感が生じにくく、会社にとっても無理のない範囲で奨励金を設定することが大切です。

奨励金は持株会ならではの制度であるため、拠出金に対する割合を高く設定するほど、従業員の参加意欲も高められます。しかし、特定の部署・役職だけが高い奨励金を受け取れるように設定すると、多くの従業員が不信感や不満を抱くでしょう。

また、奨励金の割合を過度に高く設定すれば、会社側の負担が大きくなり、業績が悪化した際に支給できなくなる可能性があります。だからといって、奨励金の支給を廃止したり、割合を引き下げたりすると、参加意欲の低下につながるため注意が必要です。

適正水準の奨励金を支給するには、自社の財務状況を踏まえた上で、継続的に支払える割合を全従業員に一律で適用しましょう。

公平性が高く無理のない奨励金を設定すると、過度なコスト負担を避けながら持株会を運営でき、従業員の参加率も高められます。

注意点3. 「持株会規約」で運営事項を詳細に定める

従業員持株会の導入にあたって「持株会規約」を作成する際は、運営に関する事項をできるだけ詳細に定めておきましょう。

従業員持株会を安定的に運用するためには、以下のようにさまざまな項目を規定しなければなりません。

従業員持株会の導入時に定める項目

  • 会員資格
  • 拠出金の取り扱い
  • 株式の取得方法
  • 配当金の分配
  • 退職時の精算方法
  • 役員の選任基準
  • 運営費用の負担 など

これらのルールが曖昧だと、解釈の違いによって「聞いていた話と違う」などのトラブルが生じ、従業員が不満を抱く可能性があります。そのため、規約を作成する際は、運営時のフローを明確にした上で、各項目の内容を慎重に検討しましょう。

たとえば、会員資格については勤続年数の要件を設けると、従業員の短期的な退会を防ぎやすくなり、拠出金を安定して確保できます。

運営事項を詳細に定めることで、通常時や問題発生時の判断基準が明確になれば、担当者の負担やトラブルのリスクを最小限に抑えられるでしょう。

なお、「持株会規約」は一度作成するだけで終わりにせず、社会情勢の変化や企業の成長段階に合わせて、定期的に見直すことが大切です。

注意点4. インサイダー取引規制への対策を十分に行う

コンプライアンスを遵守しながら従業員持株会を運営するためには、インサイダー取引規制への対策を十分に行わなければなりません。

未公表の重要事実を知った上で自社株を売買すると、本人に悪意がなくても罰則対象となる可能性があるため、徹底した対策が求められます。

インサイダー取引規制への具体的な対策は、以下のとおりです。

▼インサイダー取引規制への対策
  • 持株会規約や社内規程などに、インサイダー取引の概要・注意点を明記する
  • 決算前など重要事項が未公表になりやすい時期の売買を停止する(ブラックアウト期間)
  • インサイダー取引に関するコンプライアンス研修を実施する
  • 自社株の売買予定を従業員持株会に申告する「届出制度」を設ける など

インサイダー取引規制への対策を徹底すると、従業員は法令違反の不安を抱えず、中長期的な資産形成を見据えて自社株を購入できます。

会社側も、「法令違反による罰則」や「対外的な信用低下」のリスクを回避できるため、従業員持株会の安定的な運営を続けられるでしょう。

「従業員持株会の仕組み」についてよくある質問

従業員持株会の仕組みについてよくある質問を、下記にまとめました。経営者や従業員が抱えがちな疑問にそれぞれ回答しているので、ぜひ参考にしてください。

M&Aで会社を売却する場合、従業員持株会はどうなりますか?

M&Aを実施する場合、従業員持株会が保有している株式は、売却対象となるケースが多く見られます。買い手企業に株式をすべて売却し、売却代金を会員に分配した上で、従業員持株会を解散する流れです。

ただし、従業員持株会の保有株式が「元の会社の株」から「買い手企業の株」に転換される場合は、株式を売却する必要はありません。

このように、ケースによって従業員持株会の扱いは大きく異なるため、どのようにM&Aが実施されるのかを確認しておきましょう。

従業員持株会の会員数が増えない場合、何をしたら良いですか?

従業員持株会の会員数が増えない場合は、制度の魅力が十分に伝わっていない可能性があるため、以下の方法でアプローチしてみましょう。

▼従業員持株会の会員数を増やすための対策
  • 説明会などで加入するメリットを周知する
  • 奨励金の増額を検討する
  • 持株会への加入条件を緩和する など

持株会に加入するメリットが従業員に伝われば、少しずつ参加率の向上も見込めます。

生産性向上や業績アップの効果を高めるには、会員数を増やすだけでなく、中核社員により多くの株式を保有してもらえるよう働きかけることも重要です。

上場後の従業員持株会を運営する際に、注意すべきポイントはありますか?

上場後は株価変動が日常的に起こるため、従業員に対して「必ずしも利益が出る仕組みではない」ことを、改めて丁寧に説明する必要があります。

また、上場後は、従業員が自社株を市場で自由に売買できるようになる点にも注意が必要です。上場前に比べて、インサイダー取引とみなされるリスクが高まるため、「取引ルールの周知」「コンプライアンス研修」を再度徹底して行いましょう。

「拠出金の管理方法」「退会時の処理」なども改めて見直しておくことで、上場後も安定的に従業員持株会を運営できます。

できるだけ多くの拠出金を確保しつつ、経営権も維持できる方法はありますか?

多くの拠出金を確保しながら経営権を維持するには、「無議決権株式」を発行するのがおすすめです。

無議決権株式は、本来株主に付与される「議決権」を100%制限する、種類株式を指します。

無議決権株式を保有する株主は、株主総会などで議決権を行使できないため、経営の自由度が下がる心配はありません。

ただし、上場企業が無議決権株式を発行する場合は、総発行数量が「発行済株式総数の2分の1以内」に制限される点に注意しましょう。

従業員持株会を途中で辞めると損してしまいますか?

従業員持株会を途中で辞めることが、必ずしも損になるとは限りません。

しかし、以下のケースでは、従業員持株会の退会によって損をしている可能性があります。

▼従業員持株会の退会が「損」になるケース
  • 退会時の売却価格が購入時よりも低い場合
  • 退会後に会社の業績が向上し、株価も上がった場合
  • 退会後も個人で投資を続ける場合(奨励金を受け取れない)

従業員持株会を退会する際は、少しでも多くのリターンを得られるよう、慎重にタイミングを見極めましょう。

従業員持株会で取得した株式は退職時にどうなりますか?

従業員持株会で取得した株式は、退職時に「買い取ってもらうか」「個人の証券口座に移動させるか」を選択できます。

ただし、保有株式数が100株未満の場合や、会社が非上場企業の場合は、従業員持株会に買い取ってもらうしかありません。

株式の買取方法や価格の算定基準については、規約で細かく定められているため、事前に確認しておくことが大切です。

従業員持株会での利益が20万円以下の場合、確定申告は必要ですか?

従業員持株会を通じて得た「配当金」「奨励金」などの利益が年間20万円以下の場合、原則として確定申告は不要です。

20万円を超える場合でも、多くの会社では源泉徴収を行っているため、自分で確定申告をする必要はありません。

ただし、個人で株式投資を行っており、年間20万円を超える利益が発生した場合は、確定申告が必要となるため注意しましょう。

従業員持株会での株式取得は貯金の代わりになりますか?

従業員持株会は、従業員の中長期的な資産形成を目的とした制度であるため、「貯金代わり」として活用できます。

しかし、普通の貯金とは異なり「株価の変動リスク」があるため、退会のタイミングによっては元本割れするかもしれません。

自社株に集中投資することで、資産を一気に失うリスクも高まる点から、他の手法も併用して資産形成を行うことが重要です。

従業員持株会で得た所得にかかる税金は誰が負担しますか?

従業員持株会で得た所得にかかる税金は、従業員自身が負担しなければなりません。配当金の場合、上場企業は20.315%、非上場企業は20.42%の税率で源泉徴収されます。

奨励金は「給与所得」として扱われるため、給与と同じ税率が適用される仕組みです。6

配当金や奨励金を全額受け取れるわけではないため、資産形成の計画を立てるときは十分に注意しましょう。

従業員持株会に加入するとインサイダー取引になりますか?

従業員持株会に加入しただけでは、インサイダー取引になりません。

しかし、未公表の重要事実を知った上で次のような行動を取ると、インサイダー取引とみなされる可能性が高まります。

▼インサイダー取引とみなされる行為
  • 未公表の重要事実を知った上で「自社株を売買する」
  • 未公表の重要事実を知った上で「持株会に加入する」
  • 未公表の重要事実を知った上で「拠出金額を変更する」

インサイダー取引を行うと、金融商品取引法7違反として「5年以下の拘禁刑」「500万円以下の罰金」が科されるかもしれません。

そのため、従業員持株会に加入する際は、どのような行為がインサイダー取引に該当するのか十分に理解しておくことが重要です。

従業員持株会の仕組みを理解し、多くのメリットを得ながら資金調達を進めよう

従業員持株会の仕組みを正しく理解できれば、企業と従業員の双方が多くのメリットを得られる形で、資金調達を進められます。

従業員持株会の基本的な仕組みや、「企業」「従業員」にとってのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

従業員持株会の仕組み

  • 従業員の給与や賞与から、一定額を天引き(拠出)する
  • 拠出金を原資として、従業員持株会が自社株を購入する
  • 購入した株式は、各従業員の拠出額に応じて配分される

◆従業員持株会のメリット・デメリット

スクロールできます
企業側従業員側
メリット福利厚生を充実させられる
「安定株主」の割合を高められる
従業員のモチベーション向上を図れる
・株式の社外流出を防ぎつつ資金調達できる
事業承継時や相続時のコスト負担を減らせる
・株式を1,000円単位の少額で購入できる
・奨励金でより多くの株式を取得できる
・配当金を再投資に回せば複利効果を狙える
・購入の手間をかけず簡単に資産形成できる
インサイダー取引の規制対象外
デメリット・継続的に配当金や奨励金を支払う必要がある
・持株比率によっては経営の自由度が低下する
・株価下落が従業員のモチベーション低下につながる
・退職時のルールが曖昧だとトラブルに発展する
・退会する会員が一時的に増えると資金不足に陥る
株主優待を受けられない
・好きなタイミングで株式を売買できない
・会社への依存度が高いと業績悪化の影響を受けやすい
所得税を支払わなければならない(配当金と奨励金)
・株式売却時はインサイダー取引のリスクが高まりやすい

従業員持株会を導入する際は、「持株会規約」に記載する内容を慎重に検討し、配当金の支払基準や退職時の買取方法などを明確にしておきましょう。

奨励金の割合やインサイダー取引規制への対応にも十分配慮することで、企業側の負担やリスクを抑えつつ、従業員の満足度向上につなげられます。長期的に安定した運営を続けるためにも、より多くの従業員が納得できる仕組みづくりを行いましょう。

本記事はここまでになりますが、繰り返し読み返して理解を深めるためにも、ブックマークして、あとから何度も読み返すことをオススメします

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本記事で紹介した内容をもとに、従業員持株会の仕組みを把握した上で導入を検討し、円滑な資金調達にお役立てください。

脚注

  1. 東京証券取引所のレポート東京証券取引所のレポート ↩︎
  2. 日本取引所グループ(JPX)等の研究 ↩︎
  3. 会社法|e-Gov 法令検索 ↩︎
  4. 売買単位の統一|東京証券取引所 ↩︎
  5. 東京証券取引所の調査 ↩︎
  6. 配当金を受け取ったとき(配当所得)|国税庁 ↩︎
  7. 金融商品取引法 ↩︎
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