第三者割当増資とは?資金調達方法としてのメリット・デメリット

企業としての資金繰りが難しい際に検討できる手段は、主に「借入」と「増資」の2つです

銀行からの融資や社債の発行は「借入」にあたり、期日までに返済しなければなりません。一方、「増資」とは純粋に資本金を増やすもので、クラウドファンディングなどが考えられます。

今回ご紹介する第三者割当増資は、名前のとおり「増資」を図るものです。株式を使って資金を集める方法であり、とくに中小企業で活用されやすい資金調達策といえます。

記事の筆者
「岡島光太郎」の写真

著者プロフィール

  • 資金調達コンサル会社「(株)融資代行プロ」創業者
  • 財務・資金繰りコンサルティング「御社の社外CFO」創業者
  • 経営コンサル会社「(株)Pro-D-use」創業者
  • 中小企業の融資・補助金など資金調達支援の実績多数

これまでの支援実績
個人事業主 / 創業後スグの1人法人 / 売上300億の法人
資金調達額「100万円」〜「5億円」
あらゆる業界の資金調達 / 財務・資金繰りコンサル実績

本記事では、第三者割当増資の概要やメリット・デメリットを解説するとともに、具体的な手続き方法や注意点などを紹介します。


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目次

第三者割当増資とは

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第三社割当増資とは、新たに株主を増やして株式を引き受けてもらう増資のことです。従来の株主はとくに変わらず、新しく発行する株を特定の第三者に保有してもらうことで、資本金を増やします。

なお、特定の第三者とは、基本的には自社と何かしらの関係がある相手のことを指します。たとえば、社内の役員や取引先などが一般的です。また、投資ファンドである、ベンチャーキャピタルの場合もあります。

資金調達以外の目的で行われる場合もある

株式の保有率によっては、発行元である法人に対し、一定の権利を持てるのがルールです。

具体的には、過半数以上の場合なら普通決議の独断が認められ、役員の選任・解任や配当の承認などができます。さらに、三分の二以上になると、事業譲渡や定款の変更といった、実質的には経営を動かす意思決定も可能です。

このように株式を保有することで経営権にも直結するため、M&Aを目的に第三者割当増資が実行されるケースもあります。

第三者割当増資と株式譲渡との違い

株式を特定の相手に動かすという意味で混同しやすいのが「株式譲渡」です。もちろん、第三者割当増資とは根本的に性質が異なります。

とくに大きな差として以下のようなポイントがあります。

1. 株式譲渡では株主が一新する

そもそも株式譲渡とは、発行済みの株式をすべて新たなオーナーに引き渡すことを指します。たとえば、「A社の株式をB社が保有している」という場合、B社から新しく「C社に株主が変わる」のが株式譲渡です。

第三者割当増資のケースだと、B社だけでなく新たにC社が加わる形となるため、A社の株主は「B社とC社の2社」に増えます。

2. 株式の発行元は実質的には何も変化しない

第三者割当増資は、株式を追加発行することで出資元を増やし、増資を図るものです。

一方、株式譲渡は既存の株式の保有者が変更されるだけで、資本金のほか、取引関係や債務といった面も変わりません。もちろん、経営における権限は新たな株主に移行しますが、株式の発行会社の事業そのものには、あまり影響しないのです。

そのため、株式譲渡が行われるシーンとしては、たとえば会社の経営を後継者に引き継ぐケースなどが多く見られます。

第三者割当増資と公募増資との違い

天秤第三者割当増資と同じように、株式を利用して資金を調達する方法はほかにもあります。とくによく似ているのが「公募増資」です。第三者割当増資と公募増資の具体的な違いとしては、以下の2点が挙げられます。

1. 公募増資では不特定多数の出資を集める

公募増資とは、新たに発行した株式を不特定多数の出資元に引き受けてもらう方法を指します。第三者割当増資では、関係性のある相手に出資元が限定されます。

一方、公募増資では一般の投資家も含んで広く出資元を募集するものです。簡単にいえば、個人の消費者であっても誰でも株式を保有することができます。

ただし、出資元を募集することになるため、株式に市場価格がついている必要があります。そのため、株式非公開会社では公募増資は実施できません。基本的には上場企業など、株式公開会社で行われる手法です。

2. 既存の株主に出資を増やしてもらう「株主割当増資」もある

別の選択肢としては、現在の株主に追加の株式を割り当てる「株主割当増資」という方法があります。株主割当増資の場合、既存の株主全員に対して株式の引き受けができる権利が与えられます。

しかし、あくまで有志となるので、申込がない限りは出資されません。

株主側の利点としては、新たに多くの株式を保有するため、株主総会の議決権の比率が高くなることが挙げられます。ただし、仮に株主全員が同じように新規の株式を保有した場合、議決権への影響力はあまり変わらないでしょう。

第三者割当増資による資金調達のメリット

いいねしてる人たち第三者割当増資のメリットとデメリットを、以下の表にまとめました。

メリットデメリット
・株主との強固な結び付きができる
・対外的な評価が向上する
・望まない買収の防止策に有効
・既存の株主との調整が難しい
・変更登記や登録の手間がかかる

第三者割当増資によって得られるのは、資金だけではありません。特定の相手から出資を受けることで、以下のような効果も期待できるのです。

ここでは、まず第三者割当増資のメリットについて、具体的に解説します。

1. 株主との強固な結び付きができる

先ほど出てきたM&Aが良い例ですが、第三者割当増資を行うことで新たな株主との資本業務提携が実現します。

たとえば、第三者割当増資によって新株主が経営に参加できる権利をもった場合、より強い連携のもとで事業を推進できることにつながるのです。新株主側には、利益による配当や会社売却時の譲渡所得が受けられるメリットも得られます。

このように、互いの利害関係が直接的になることで、新株主側としても、発行元にとってプラスになるような動きをせざるを得ません。資本による結びつきを通じて、双方の信頼関係もより強固なものとなるでしょう。

2. 対外的な評価が向上する

第三者割当増資によって資金が集まれば、そのまま会社としての資本金になります。借入のように負債を抱えることもなく、なおかつ財務状況の評価につながる資本金が多ければ、経営の安定性も高いとみなされるでしょう。

資本金は、各企業が「すぐに使える資産」でもあります。仮に何か新たな取引を始めるにあたり、信用性を見極めるための重要なポイントとなり得るのです。

また、資金が調達できれば、自社の今後に向けた投資もできます。たとえば、より充実した設備の導入や新規事業の開拓ができれば、「成長が見込める会社」というアピールにもなるでしょう。

3. 望まない買収の防止策に有効

第三者割当増資は、敵対買収などの望まない買収の防止策としても有効です。

たとえば、優良な関係性の取引先による第三者割当増資を行えば、経営の権限を確保できます。事前に第三者割当増資を実行することによって、望まない買収元の株式保有率を下げることが可能です。

経営戦略として、議決権に関わる株主の保有率をある程度コントロールできるのです。

第三者割当増資による資金調達のデメリット

台風に耐えている人たちここまでにご紹介したように、第三者割当増資には数々のメリットがあります。一方、注意しておくべき部分も少なくありません。

ここからは、第三者増資による資金調達のデメリットについて具体的に解説します。

1. 既存の株主との調整が難しい

一株の価値は、純利益に対する株式発行の総数に応じて変動します。つまり、株式発行数が増えれば、その分価値が下がってしまうわけです。

したがって、株主のなかには、保有する株式の利益が少なくなったことを理由に売却を検討する人もいます。また、株主総会などの議決権は、株式の保有率によって行使力も異なります。

つまり、第三者割当増資によって株式発行数が増加すると、もともとの株主が持っていたはずの比率も低くなってしまうのです。重要な意思決定の権限も変わってくるので、十分に考慮しなければなりません。

2. 変更登記や登録の手間がかかる

第三者割当増資を通じて資本金額が増えた場合には、法人登記の情報も変更しなければなりません。さまざまな手続きや申請の手間がかかるだけでなく、登録免許税も必要です。

また、登記関連の処理は第三者割当増資が実施された後で行うものの、事前の段階でも準備をしておかなければなりません。なかなか時間の確保が難しい状況下だと、思うように進められない可能性もあるでしょう。

なお、詳しい手順については、以下で説明します。

第三者割当増資の手続き方法

書類にメモ第三者割当増資の大まかな手続きは、以下のような流れで進みます。

  • 株式引受の募集要項を作成
  • 各種決議
  • 通知・申込
  • 割当内容の確定
  • 払込
  • 株式発行・登記

ただし、株式公開会社と非公開会社では必要な処理が異なる部分もあるため、注意しましょう。以下、具体的な手続きの方法を紹介します。

1.募集要項を作成する

新規株式の発行に向けて、各事項について詳細を決定しなければなりません。具体的には、株式の発行数・一株あたりの金額・株式保有に向けた払込期日または期間・増加後の資本金の詳細などです。

金銭以外の資産を給付する場合には、その内容や価格、株式への算定方法を明示します。

2.募集要項の決議を取る

株式公開会社と非公開会社とで、それぞれ取るべき決議が異なります。株式公開会社であれば通常は取締役会決議、非公開会社であれば株主総会特別決議が必要です。

なお、株式公開会社の場合でも、時価よりも低い金額で取引をする「有利発行」となるケースでは、株主総会特別決議が求められます。有利発行では既存の株主にとって不利益が生じる可能性が高いため、株主保護の観点から設けられている措置です。

3.通知または公告後、申込を開始

株主総会特別決議によって募集要項を決定した場合には、基本的には引受先への通知をして申込に入ります。

また、取締役会決議の場合は、株主に対する公示を行います。

4.割当を確定して、払い込みへ

申込が完了したら、新規株式の割当先と具体的な発行数について決定します。

取締役会決議、もしくは株主総会特別決議を経て、新たな割当先となった出資者は期限までに全額払い込み、最終的に新規株式の発行・交付が完了します。

そして、実際に出資を受けたら2週間以内に登記の変更を行い、ようやくすべての工程は終了です。

第三者割当増資で注意すべきポイント

警告マーク第三者割当増資を進めるにあたっては、以下の2点のポイントをしっかり押さえておかなければなりません。

  • 最終的な資本金額
  • 既存株主における利益

ここでは、それぞれについて詳しく解説します。

1. 最終的な資本金額に注意する

最終的な資本金額に十分留意し、増資の計画を練りましょう。第三者割当増資によって資本金が増えると、金額次第で納税額の負担が大きくなってしまう可能性があります。

具体的には、1,000万円と1億円がボーダーラインです。増資によって資本金が1,000万円を超えると消費税の課税が適用されます。今までは免除されていた消費税の納税が求められるので、十分な注意が必要です。

次に注意すべきなのが、資本金1億円以上になった場合です。中小企業の優遇税制から外れてしまうため、法人税も高くなってしまいます。

2. 既存株主における利益の配慮が不可欠

先述にも出てきていますが、第三者割当増資を行うことで、既存株主の持ち株の比率や価値は下がります。この現象は株式の「希薄化」と呼ばれており、新規株式の発行方法や価格を決定する際には十分に配慮しなければなりません。

なかでも希薄化が著しくなる有利発行では、先ほど説明したように、株主公開会社なら募集要項決定時のフローが変わります。

また、非公開会社であれば、株主総会における説明義務が生じるなど、特別な対処が必要です。さらに、上場企業の場合、増資後の希薄率ごとに設定されているルールもあります。

具体的には25%もしくは300%を上限として、25%以上なら株主総会もおける決議や第三者の判断が必須、300%を超えるものは基本的に禁止です。

自社だけでなく株主の利益も守らなければならないため、こうした大原則はしっかり押さえておきましょう。


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第三者割当増資は、信頼できる特定の相手からの出資が受けられる手段で、柔軟に活用できる資産を増やすのには非常に有効的です。ただし、既存の株主との関係性には十分な注意しましょう。あまりに無計画な増資をしてしまうと、出資先に適さないと認識される可能性があります。

資本を増やすには、第三者割当増資も選択肢に置きつつ、じっくりと現状に合った方法を検討するのが得策です。

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