金融リスケジュールとは?銀行交渉「注意点3つ」や対処法を解説

売上減少で資金繰りが厳しいが、何から手をつけていいのか分からない…。

リスケのメリットは大きそうだが、注意点はないのだろうか?特徴を理解してから実行したい。

中小企業では突発的な事情により、資金繰りが悪化してしまうこともあるでしょう。事業の立て直しにむけ、借入金の返済を一定期間猶予してもらう仕組みがリスケです。

ただし、リスケは期間限定の対策であり、その間は新規融資が難しくなるなど気を付けるべき点も多くあります。

過去と比べて、今はリスケジュールに対応してくれる金融機関が多く(95%以上は、対応してくれます)なってきましたが、何の戦略もなしにリスケジュールを打診することだけは止めましょう

参考>> 金融庁「金融機関における貸付条件の変更等の状況について

本来リスケジュールをする前には、リスケジュールをした後の経営・財務戦略がセットで実施をするべきなのです。

もし、戦略なしにリスケジュールを申し出ると、その後の銀行融資が出なくなるだけでなく、リスケ後も資金繰りが行き詰まり倒産することも大いにあり得ます

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岡島 光太郎

著者プロフィール

これまでの支援実績
個人事業主 / 創業後スグの1人法人 / 売上300億の法人
資金調達額「100万円」〜「5億円」
幅広い会社規模 / 資金調達額 / 資金調達手法を経験

本記事では、下記の内容について初心者にもわかりやすく解説をしていきます。

  • リスケとはどのような仕組みか
  • メリットやデメリット
  • 注意点
  • 申請方法、謝絶(拒否)された際の対処法

この記事を読めば、こんなことが実現できます

● 資金繰りが悪化したときに取るべき対処法が分かり、倒産の危機を回避できます
● リスケのデメリットや注意点が分かり、事前に対処した上で申請ができるようになります


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目次

金融におけるリスケとは「借入金の返済計画の見直し」のこと

「時間を節約」できる

リスケとはリスケジュールの略称で、スケジュールや返済計画の見直しを意味します。特に金融では後者を指して使う言葉です。何らかの理由から資金繰りが厳しくなった事業者が、銀行などに対しリスケを申請すると、以下のような処置が取られます。

  • 一定期間、利息のみの支払いにする(元本の据え置き)
  • 返済期間を延長し、月々の返済額を減額する

すべての申請が通るわけではないものの、リスケができれば資金繰りに余裕ができるため、その間に経営改善に向けて努力します。

中小企業はリスケ申請しやすい状況が続いている

中小企業が借入金の返済猶予などを求めた際、金融機関は変更に応じるよう求めた法律として、2009年12月に施行された中小企業金融円滑化法があります。

2013年3月末に終了したものの、金融庁は「金融機関が引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべき」と発表し、同法の期限が到来した現在でも、リスケに応じてもらいやすい環境が整っています。

関連リンク:金融庁「中小企業等に対する金融円滑化対策について」

銀行融資をリスケするメリット3つ

銀行融資のリスケができれば月々の返済分、資金繰りに余裕ができます。また、借り換えよりも手間やコストの削減も可能です。リスケ中は法的回収措置が取られないため、その間に事業の立て直しに専念できます。

1. 金繰りの負担が楽になる

リスケは一定期間、利息分のみの返済とするケースが多く、高額な元本返済の負担がなくなる分、一時的に資金繰りが楽になります。今まで返済のために消えていた資金を事業改善のために使えることから、財務状況の立て直しを図りやすくなります。

2. 借り換えするよりも費用がかかりにくい

リスケ以外の資金繰り改善方法には、より金利の低い借入金に借り換える方法もあります。しかし、借り換えをすると、新規借入金の事務手数料や手続き負担など、余分な費用や手間が生まれてしまいます。

リスケの場合、コストをかけずに一時的に資金繰りを安定させることが可能です。

3. リスケ中は法的回収措置が取られない

リスケ申請をせずに、借入金の返済が滞り続ければ、最終的には法的措置が取られてしまいます。リスケ期間中は強硬措置を取られる心配がないため、一旦、倒産する事態を回避することが可能です。

時間的猶予が生まれれば、安心して経営状況の改善に専念できます。

銀行融資をリスケするデメリット4つ

リスケをすると一時的に資金繰りが楽になるものの、その間に事業を立て直さなければいけません。また、リスケを申請している銀行からは新規融資が受けられないだけでなく、終了後も融資が通りづらいことがあります。

返済の長期化により、将来的な負担が増える可能性も否めません。

1. リスケ期間中に経営を立て直せなければ存続は難しい

リスケの期間は長くても1年程度です。企業はこの間に、キャッシュフローの改善など、できる限りの経営改善努力をし、通常の返済条件に戻さなければいけません。場合によっては大規模なリストラの決行も必要です。

リスケしたにもかかわらず企業の体質改善ができなかった場合、債券を売却され、より厳しい回収が行われ倒産に至る可能性が大きくなります。

2. リスケ期間中は取引銀行から新規融資を受けられない

リスケ期間中、対応してもらった金融機関から追加融資を受けることは通常できません。メイン銀行以外に複数の銀行でリスケをしている場合も同様です。

新規融資を受けられないため、基本的には手元資金で事業を進めなければいけません。難しい場合、事前に銀行融資に変わる資金調達方法を検討しておく必要があります。

3. 経営正常化後も融資が受けられない可能性がある、

金融機関によっては、リスケ期間終了後も会社の体質改善が行われたのか見定めるため、新規融資を受けつけないことがあります。

リスケ期間中から、事業計画書どおりに資金繰りの改善が進んでいることなど担当者と話し合い、リスケ後は速やかに融資を受けられるように調整しておく必要があります。

4. 返済が長期化する

一時的に資金繰りにゆとりが生まれるものの、借入金である以上、いつか支払わなければいけないことに変わりはありません。事業の立て直しがうまくいかず、他の金融機関から追加の融資を受ければその分の返済額も増加します。また、メイン銀行が金利を引き上げてくる可能性もあります。

リスケにより返済が長期化すれば、その分、将来の負担を増やす結果ともなりかねません。

リスケの進め方 – 3Step

まずはメイン銀行にリスケの申請をし、状況を客観的に提示できる資料を整えます。リスケ承諾後も定期的に金融機関とやり取りを続け、現況報告を行います。

1. メイン銀行にリスケジュールを申し入れる

リスケ申請では融資を受けているすべての銀行に連絡が必要ですが、まずはメイン銀行に連絡します。サブ銀行はメイン銀行の動きに合わせるため、メイン銀行の承諾を得てからで問題ありません。

申請の際は、現在どのような状況か、月々どの程度の返済なら可能かなど、現時点の状況を包み隠さず説明しましょう。

2. 必要な資料を提出する

リスケの申請では、一般的に以下の資料を提出します。

  • 条件変更依頼書
  • 月別資金繰り表(1年分)
  • 経営改善計画書
  • 5カ年損益計算書

上記以外にも、金融機関から求めがあれば資料を作成し提出します。

3. リスケ承諾後も定期的に状況を報告する

リスケの申請が通れば、早急に通常の返済スケジュールに戻せるように事業の改善を進めましょう。リスケ期間中は定期的に金融機関と連絡を取り、資料を元に現状の報告を続けます。

以上のように、リスケの申請では複数の資料が必要になり、担当者との交渉も必要です。

初めてのことで不安であれば、中小企業庁の担当窓口や「財務コンサルティングサービス【御社の社外CFO】」のようなコンサルタントなど、専門家に相談するとよいでしょう。

融資のリスケ期間中に「あらたに資金調達を行う方法3つ」

未取引銀行からの新規融資や不動産の売却など、リスケ期間中も資金調達を行う方法はいくつか存在します。検討する際は、安全性の高い方法かどうかも確認しましょう。

1.未取引の銀行から融資を受ける

銀行は債権者を6段階の“信用格付け”で管理し、基本的には「正常」に該当する先に融資を行います。リスケすると信用が「要注意先」以下に落ち、さらにその情報は他行にも共有されるため新たな融資を受けるのも難しくなります。

しかし、今まで全く取引のなかった銀行であれば、新規融資を受けられる可能性は残っています。審査の際は資金繰りが改善傾向にあり、返済が可能であることを示せるようにしましょう。

2.不動産担保ローンを利用する

銀行以外の金融機関であれば、リスケ中も比較的融資を受けやすい傾向にあります。特にノンバンクでは、銀行では認められないような不動産も担保にして融資を受けられるケースもあります。

なお、銀行が既に抵当権をつけていても、以降の順位で抵当権をつけて担保にできます。ただし、銀行融資よりも高金利である点には十分注意しましょう。

3.不動産の売却

会社の所有する事務所や店舗、工場などを売却し資金調達をする方法です。キャッシュを一括で受け取ることが可能で、固定資産税や修繕費のような固定費の削減につながるのも利点です。

しかし、生産に必要な設備を売却してしまうと、今後の営業活動に支障をきたす恐れがあります。

融資のリスケを受ける際の「3つの注意点」

融資のリスケはあくまでも、元本返済に猶予をもうけるだけで利息の支払いは引き続き必要です。また、条件変更は一定期間のみである点や、融資条件の変更を求められる可能性がある点にも注意しましょう。

1. 返済条件が見直されるのは一定期間のみ

リスケ期間は通常、半年から1年程度です。限られた時間で経営改善をしなくてはいけず、再度リスケを通すとなれば、少なくとも経営改善計画の8割程度は達成している必要があります。

借入金の返済ができなければ、金融債権は銀行から債権回収会社(サービサー)に売却されます。サービサーとの交渉となれば、より困難を極めます

2. 金利の引き上げなどを条件として提示される恐れがある

金融機関はリスケの際、利益から貸倒引当金の積み増しを行います。これは、万が一債権が回収できなかった際の保証にあたるものです。

銀行がリスケに応じれば余計なコストが発生するため、金利の引き上げや担保・保証人の追加など、リスク軽減の措置を求められる可能性があります。

3. 免除ではないため利息の支払いは必要

リスケは一時的に返済を猶予し、最終的には融資金の全額返済を目指すものです。債権放棄の申請とはまた別の制度です。元本や利息の免除ではないため、多くの場合、リスケ期間中であっても利息の支払いは必要です。

金融機関から融資リスケを断られてしまった場合の「3つの対処法」

金融庁は、円滑化法施行以降、リスケの実施率は95%を超える水準で推移していると発表しています。(調査期間:平成30年4月から平成31年3月末まで)

とはいえ、謝絶(リスケ拒否)されるケースがないわけではありません。特に新規融資を受けて一度も返済しないままリスケを申請するなどは、断られるケースがほとんどです。このような事態に陥らないためにも、資金繰りや財務状況の管理が求められます。

なお、新規融資を受けてから半年程度経過しているのに謝絶された場合は、以下の方法で対処します。

関連リンク:金融庁「金融機関における貸付条件の変更等の状況について」

全行同一条件で返済を申し込む

債権には「債権者平等の原則」が働くため、融資時期や額にかかわらず、お取引のある銀行全てにおいて、同一条件で申し込まなければいけません。もし、複数行から借り入れているのに、リスケ期間をずらしたり、返済金額に差を設けたりしているなら、条件を整えて再度申請しましょう。

改善の見込みがあることを資料で示す

リスケはあくまでも借入金の返済猶予であり、事業改善が可能であるときに行われます。もし、見込みがないと判断されなければ謝絶(拒否)される可能性は十分にありえます。

経営改善計画など、提出する資料は客観的に見て実現可能性のあるものでなくてはいけません。もし具体的なプランを立てられないなら、必ず専門家にも相談しましょう。

粘り強く交渉を続ける

謝絶の理由が特に分からないなら、担当者が他の業務に集中しているため、審査を断られた可能性も否めません。リスケ交渉では、一度断られても、再度申請することで承諾されるケースもあります。

なお、金融機関が謝絶(拒否)する際は、可能な範囲で顧客に対し理由を説明するよう金融庁は求めています。謝絶された場合は理由を聞き、改められる点があれば次回までに改善しましょう。

リスケにより事業改善の余地があるのなら、一度の謝絶で諦めず、粘り強く交渉を続けることが大切です。

資金繰りが苦しいときは金融機関にリスケ申請をして経営の立て直しを図ろう

資金調達を相談すべき専門家

金融機関のリスケとは、返済条件の見直しのことです。リスケ期間中は元本の支払いが猶予され、法的回収措置が取られることもないため、企業は経営改善に集中して取り組めます。

ただし、新規借入れが難しくなったり、返済期間が長くなったりなど、気を付ける点もあります。 そのため、リスケは特徴を理解した上で申請することが大切です。

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