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ストックオプション(新株予約権)を導入すれば、小さな会社やベンチャー企業は今後大きく成長する可能性があります。
- お金を出す協力・賛同者を得ることができる
- 優秀な人材が集まりやすい
- 低コストで雇用することができる
- 社員が会社の将来にコミットメントしてくれる
など、導入するメリットはさまざまです。そこで、今回はストックオプションの仕組みや特徴、導入方法まで詳しく解説していきます。
参考記事>>>【完全ガイド】資金調達方法39種類のメリット・デメリットを一挙紹介
ストック・オプション(新株予約権)とは
ストック・オプションとは、株式会社の役員や社員があらかじめ定められた価格で自社株を購入できる権利のことです。
まず、会社側が役員や社員に対し、権利行使価格で会社の株式を取得できる権利を与えます。その後、何年かして自社の株価が上昇した時点に株価を売ることで、権利行使価格と上昇した株価の差額分の利益を得ることができます。
ストック・オプション(新株予約権)の仕組み
ストック・オプションの仕組みは、
- 権利割当
- 権利行使
- 株式売却
の3つの段階で構成されています。
会社側があらかじめ定めた価格で株式を購入できる権利を役員や社員に割り当てます。
そして、役員や社員が株式を購入したいタイミングにストック・オプションを行使することで、あらかじめ定めた価格で株式を購入します。
その後、あらかじめ定めた価格で取得した株を現在の株価で売却することで利益を手にすることができるのです。また、ストック・オプションは、権利を行使しなければ株を買ったことにはなりません。
会社の株価が落ちたとしても、そもそも株を保有していない状態なので損害が発生する心配もないのです。
ストック・オプションの種類は主に2つ
ストックオプションは主に2種類あります。
ここでは、一般的な「通常型ストックオプション」と「株式報酬型ストックオプション」について紹介します。
通常型ストックオプション
通常型ストックオプションとは、一般的に権利行使価格を株の発行時以上に設定します。
株価が権利行使価額以上になったタイミングに権利行使することで、差額分を利益とすることができます。株価が権利行使価額以下だと利益は生じませんので、利益が確定するタイミングに売却することが重要です。
株式報酬型ストックオプション
株式報酬型ストックオプションとは、権利行使価格を1円などの極めて低い価格に設定し、権利行使することで株式自体を報酬とした制度です。
近年、負担が大きい役員退職慰労金の代替えとして上場企業が多く採用しています。
株式報酬型ストックィプションは、行使条件の設定を設けることができるので、会社の業績が悪ければ、権利を行使できないように条件を設けることも可能です。
在籍年数で積み上がる役員退職慰労金よりも、負担が少ないと考えてよいでしょう。
また、権利を付与されたものは、たとえ株価が下落していても1円などの低い価格で買えてしまうので利益になります。
一方で、株価が上昇するような会社であれば、その分利益も増えるので株主や社員全体が納得いく権利となっています。
ストック・オプション(新株予約権)の発行手続き方法
次にストックオプションの発行手続きの方法を紹介します。
ストックオプションは会社法に則って決める必要があるので、確認しておきましょう。
ストックオプションの発行手続き方法は以下の通りです。
- 募集する新株予約権の内容と数量
- 公正発行/有利発行
- 払込金額の算定方法
- 割当日
- 払込期日
ストックオプションの募集事項は会社法に則って決めていきます。
また、募集事項の決定や募集新株予約権の割当・引受、新株予約権登記等の手続きが必要となるため非常に煩雑です。
ストックオプションの導入を検討しているのであれば、導入支援を行っている弁護士等の専門家に対応を依頼するのがおすすめです。
ストック・オプション(新株予約権)のメリット
ここまでストックオプションの仕組みや種類まで紹介させて頂きました。
なんとなくイメージできたところで具体的にどのようなメリットがあるのか紹介していきます。
社員のモチベーションが向上する
ストックオプション制度は、社員のモチベーション向上にも効果があります。
ストックオプションで得られる利益は、企業の株価が上がれば上がるほど増えます。
そして株価は業績が上がることで上昇するので、社員は業績を意識するようになるのです。
業績が上がれば、その分報酬を多く受け取ることが期待できるので、社員の仕事へのモチベーション向上に繋がることが期待できます。
また、社員同士で「業績を上げる」といった共通の目標も持たせることができるので、意識の高い職場を築くことも期待できます。
優秀な人材の確保に繋がる
一般的には、優秀な人材ほど高い給与が必要なことが多く、資金に余裕のない企業は採用するのが難しい傾向にあります。
しかし、ストックオプション制度による将来的な報酬を絡めることで、低コストでも優秀な人材を集めることが可能となります。
また、将来的に事業が成長すれば、会社だけでなく社員にも報酬を与えることができるのでお互いに利益が得られます。
社員との信頼関係構築にも繋がるでしょう。
さらに、ストックオプションの利益を得る条件に勤務年数を設ければ、優秀な人材の流出を防ぐことができます。
優秀な人材が転職を考えても勤続年数が満たない場合は、ストックオプションが得られません。
「ストックオプションの権利を使わずに退職するのはもったいない」という考えから、人材の流出を防ぐことにもつながるのです。
社員は低リスクで投資できる
ストックオプション制度の魅力は、低リスクで投資できることです。
ストックオプションは株式取得の権利になるので、取得するかどうかで判断できます。
例えば、株価が下がっている場合に株式取得の権利を行使しなければ、株式を取得したことにならないので損をせずに済みます。
一方で、株価が上昇したタイミングに権利を行使できれば、売却することで利益を上げることができるのです。
このようにストックオプションの対象者は、権利を行使するかどうか判断することができるので、低リスクで株式投資ができるのです。
企業の事情を勘案した制限や条件が付けられる
ストックオプション制度には、企業の事情を勘案した制限や条件が付けられます。
行使条件には「会社が株式公開すること」や「会社の役職員として在籍していること」等が一般的な条件です。
他にも「懲戒事由などの不存在」や「反社会的勢力との不関与」など会社にとって不利益を生じる社員には、行使できないような条件を付けることも可能です。
ストック・オプション(新株予約権)のデメリット
メリットがある反面、デメリットも存在します。以下に具体的なデメリットについて紹介していきます。
業績悪化でモチベーション低下
ストックオプションは、社員のモチベーションが向上する一方で、業績が悪化すればモチベーションを低下してしまうことが考えられます。
業績が悪化すれば、株価も下がってしまうため、得られる報酬が少なくなってしまいます。
もし、業績が悪化して株価が権利行使価格以下になってしまうと利益は得られません。
ストックオプションの報酬目当てで入社した社員は、報酬が貰えなくなってしまうので仕事へのやる気が下がってしまうでしょう。
権利行使後に社員が離れる
権利行使後に社員が離れることも考えられます。
ストックオプション制度を設けると、ストックオプションの報酬目当てに入社する社員も少なからずいるでしょう。
権利行使で利益を上げることができた社員が、そのまま退職してしまうことも考えられます。
入社時期が遅い社員は貰える分配が少なく不公平感が生じる
ストックオプションには付与割合があり、発行済株式総数の10%~15%以内の株価を社員と役員に分配します。
分配の割合は入社した順番が古い人から多くなる傾向があるため、入社時期によって貰える割合は変わってきます。
たとえ業績アップに貢献していても、入社時期が遅いだけで他の社員よりストックオプションの利益が少なくなると、不公平感を与えてしまうでしょう。
ストック・オプション(新株予約権)の税制優遇措置
ストックオプションには、税制優待遇措置が設けられています。税制優待遇措置を受けることで税金を減らすことができるのです。
ここでは、税制優待遇措置を受けるための条件や違いについて解説します。
税制非適格ストックオプション
税制優待遇措置を受けられないストックオプションのことを、税制非適格ストックオプションと呼びます。
税制非適格オプションは2度にわたって課税されます。
以下に課税されるタイミングと税率についてまとめてみました。
税制非適格ストックオプション:一度目の課税
権利行使して株を取得したタイミングです。
権利行使したタイミングの株価があらかじめ定めた権利行使の価格より上回っている部分に対して課税されます。
給与所得とみなされるので住民税と合わせて55%の課税がなされます。
税制非適格ストックオプション:二度目の課税
株式売却したタイミングです。
株式の売却額があらかじめ定めた権利行使の価格より上回っている部分に対して課税されます。
譲渡所得とみなされるので住民税と合わせて20%の課税がなされます。
このように税制優待遇措置を受けられないストックオプションは、2度に渡って課税されます。
一回目の課税時には、給与所得とみなされるぶん、住民税と合わせて55%も引かれてしまうことに注意が必要です。
税制適格オプション
税制適格オプションが適用されている場合、前項で紹介した税制非適格ストックオプションのように2回にわたって課税されることはなく、株式売却したタイミングでしか課税されません。
株式の売却額があらかじめ定めた権利行使の価格より上回っている部分に対して課税されます。
譲渡所得とみなされるので住民税と合わせて20%の課税がなされます。
非税制適格オプションと比べると、一度目の権利行使を行って株を取得したタイミングに課税されないので、利益を多く受け取ることができます。
税制適格オプションは税金の面で優遇されますが、租税特別措置法第29条の2に定める要件を満たす必要があります。
ストックオプションの代表的な条件は以下の通りです。[注1]
- 新株予約権の発行内容
- 付与対象者
- 権利行使期間
- 権利行使価額
- 譲渡禁止規定
- 権利行使限度額
- 株式交付
- 保管委託等
これらの内容を抑えておくだけで税制適格オプションを受けることができます。後々社員とのトラブルにならないように会社側から説明することがおすすめです。
税制適格オプションをより効果的に活用させることで、社員の信頼関係構築にも繋がることでしょう。
ストック・オプション(新株予約権)は将来性のある企業向け
ストックオプションの導入は、将来性のあるベンチャー企業や将来株式公開を目指す会社などに向いています。ここではストック・オプションの導入が向いている企業と、その理由について紹介します。
将来性のあるベンチャー企業
ストック・オプションは、将来性のあるベンチャー企業に向いています。
今後事業が伸びそうなベンチャー企業は、ストックオプションの報酬を多く受ける可能性を秘めているため、受ける側からすれば魅力的なのです。
優秀な人材がストックオプションを求めて集まりやすいので、業績も飛躍することが期待できるでしょう。
将来株式公開を目指している会社
ストック・オプションは、社員の頑張りが業績に繋がることを評価する際に与える報酬です。そのため、将来株式会社として会社の規模を大きくしたいと考えている会社に向いているでしょう。
一方で、会社の規模よりも小さく安定した運営を目指している会社には向いていません。ストックオプションは、株価が伸びることで社員の報酬が増えるわけですから、業績を上げることを目標としています。
小さく安定した運営を目指す会社に導入すれば、会社の方針と社員の考えが合わなくなることが考えられます。
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ストック・オプション制度を導入して自社の成長に繋げよう
ストックオプション制度を上手に活用できれば、自社の成長に繋げることができます。優秀な社員を集めるだけでなくモチベーション高く働いてもらうことができるので、業績が向上しやすいでしょう。
ただし、適切な制度設計をしなければ社員の不満となってしまうので注意が必要です。ストックオプション制度を正しく理解をして、慎重に導入を検討しましょう。
中小企業には、ストックオプション以外にも「資金調達」「資金繰り」の方法・手法はたくさんあります。
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