7種類の「エクイティファイナンス」メリット・デメリットをプロが解説

7種類の「エクイティファイナンス」メリット・デメリットをプロが解説

エクイティファイナンスは、株式発行によって自己資本を増やす資金調達方法で、手続き方法や資金提供者に応じてさまざまな種類があります。

エクイティファイナンスの活用を検討している方は、以下のようなお悩み・疑問をお持ちではないでしょうか?

エクイティファイナンスにはどんな種類があるの?それぞれの特徴を知りたい

エクイティファイナンスから自社に合った資金調達方法を見つけたい

エクイティファイナンスは難しいイメージがある…。どんな流れで進めるべき?

エクイティファイナンスを活用すると、返済不要の資金を確保し、日々の事業活動に充てられるため、財務体質や経営体制の強化につなげられます。

多くの企業が活用できるエクイティファイナンスの種類は、以下の7つです。

エクイティファイナンスによる「7種類」の資金調達方法

  • 方法1. 株式割当増資
  • 方法2. 第三者割当増資
  • 方法3. 公募増資(時価発行増資)
  • 方法4. 転換社債型新株予約権付社債(転換社債)
  • 方法5. J-KISS(新株予約権)
  • 方法6. みなし優先株式
  • 方法7. ベンチャーデット(VD)

以下の「特徴」「財務状況」に当てはまる企業は、エクイティファイナンスを活用すべきだといえます。

▼エクイティファイナンスを活用すべき企業の「5つの特徴」
  • 特徴1. 返済義務の発生しない資金調達方法を探している
  • 特徴2. 事業成長において取引先との関係を重視している
  • 特徴3. 経営理念や方針に共感してくれる支援者を探している
  • 特徴4. 成長段階で中長期的な事業拡大を見据えている
  • 特徴5. 将来的に株式上場を視野に入れている など
▼エクイティファイナンスを活用すべき企業の「3つの財務状況」
  • 財務状況1. 金融機関の借入枠を使い切っており新たな融資が難しい
  • 財務状況2. 一時的にキャッシュフローが悪化しており赤字が出ている
  • 財務状況3. 自己資本比率が低く改善策を検討している など

ただし、エクイティファイナンスは返済義務が発生しない一方、会社の所有権を一部渡すことで経営の自由度が低下してしまう点は留意すべきです。着実に事業を成長させるには、エクイティファイナンスの良い面だけでなく注意点も理解した上で、リスクを未然に防ぎながら資金調達を行うことが重要です。

筆者は「融資代行プロ」という成果報酬型の「資金調達コンサル」サービスで、これまで多くの会社のエクイティファイナンスをご支援してきました。

筆者プロフィール
岡島光太郎_(株)融資代行プロ 代表取締役

これまでの支援実績
創業前後の法人売上80億の法人
1人法人〜個人事業主
調達額「200万円」〜「9.5億円」
多業界の資金調達 / 財務コンサル実績

本記事では、資金調達のプロである筆者が、「エクイティファイナンスの種類」や「メリット・デメリット」等、以下の内容を丁寧に解説します。融資の現場で培ったリアルで濃い内容なので、ブックマークして、あとから何度も読み返すことをオススメします

▼この記事でわかること
  • エクイティファイナンスの種類
  • エクイティファイナンスを活用すべき企業の「特徴」「財務状況」
  • 自社の成長ステージに応じたエクイティファイナンスの選び方
  • エクイティファイナンスのメリット・デメリット
  • エクイティファイナンスによる資金調達を成功させるポイント

「エクイティファイナンスの中で自社にピッタリの方法を見つけたい」「エクイティファイナンスを正しく活用したい」とお考えの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。


エクイティファイナンスは、知識・経験なく「何となく」で進めると必ず失敗します。エクイティには「投資側の理解」と「ノウハウと実務経験」が必要です。融資代行プロは、金融機関出身のコンサルタントが「成果報酬型1%~」でエクイティをコンサル/代行するサービスで、これまで多くのベンチャー・スタートアップのエクイティの支援実績を積み上げてきました。そんな私達に無料のエクイティ相談をしませんか?詳細は下記ボタンを押してご確認ください。

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目次

エクイティファイナンスによる「7種類」の資金調達方法

エクイティファイナンスを活用した資金調達方法には、以下の7種類があります。 

◆エクイティファイナンスによる「7種類」の資金調達方法
  • 方法1. 株式割当増資
  • 方法2. 第三者割当増資
  • 方法3. 公募増資(時価発行増資)
  • 方法4. 転換社債型新株予約権付社債(転換社債)
  • 方法5. J-KISS(新株予約権)
  • 方法6. みなし優先株式
  • 方法7. ベンチャーデット(VD)

それぞれの種類について表にまとめました。

◆7つのエクイティファイナンスの違い

スクロールできます
概要資金提供者主な特徴
方法1. 株主割当増資既存株主に対し、持ち株数に応じて新株の割当を受ける権利を与える資金調達方法既存株主株主構成を変えずに利用できるが、大規模な資金調達は難しい
方法2. 第三者割当増資特定の第三者(株主以外も可)に新株を引き受けてもらう資金調達方法VC、事業会社(CVC)、取引先、役員、エンジェル投資家不特定多数の一般投資家に対し、時価に近い価格で新株を発行する資金調達方法
方法3. 公募増資(時価発行増資)不特定多数の一般投資家に対し、時価に近い価格で新株を発行する資金調達方法広く一般の投資家(主に上場企業)自社の株価が高いほど、少ない発行数で多額の資金調達が可能
方法4. 転換社債型新株予約権付社債(CB)株式に転換できる権利(新株予約権)が付いた社債を発行する資金調達方法債権者/投資家デット(負債)とエクイティ(資本)のハイブリッド型
方法5. J-KISS(新株予約権)「新株予約権(一定の金額や条件で株式を取得できる権利)」を発行する資金調達する方法投資家「シード期」向けの資金調達方法
方法6. みなし優先株式将来的に特定の資金調達を行う場合、「優先株式」に転換することを約束した株式投資家「エンジェル税制」の適用対象
方法7. ベンチャーデット(VD)エクイティ(資本)とデット(負債)の両方の性質を併せ持つ資金調達方法金融機関株式の希薄化を防ぎながら資金調達を行える

エクイティファイナンスの中でも、多くの企業に広く活用されている資金調達方法は以下の4つです。

▼多くの企業に活用されている4つのエクイティファイナンス
  • 株式割当増資
  • 第三者割当増資
  • 公募増資(時価発行増資)
  • 転換社債型新株予約権付社債(転換社債)

どれも「株式を発行して資金調達する」という点は共通していますが、株式発行までの手続きや仕組み、メリット・デメリットは大きく異なります。

自社にピッタリの資金調達方法を見つけられるよう、各手法の特徴を正しく理解しておきましょう。

方法1. 株式割当増資

株式割当増資は、企業が新たに発行する株式を、既存株主(開業時に出資した人)の持株比率に応じて割り当てる資金調達方法です。既存株主に出資の義務はありませんが、資金提供を希望すれば、通常よりも低価格で株式を取得できます。

企業側にとってのメリットは、持株比率に応じた株式の割当によって実質的な株主構成が維持され、経営方針への影響を抑えられる点です。また、会社の状況を理解している既存株主との取引が前提となっているため、新たな投資家を探す手間を省きながらスムーズに資金調達できます。

ただし、既存株主が出資を希望しない場合は「新たな株式を受け取る権利」が失効し、企業が十分な資金を確保できなくなる可能性がある点に注意が必要です。出資者が既存株主に限られるため、企業規模によっては多額の資金が集めにくい点もデメリットとなるでしょう。

方法2. 第三者割当増資

第三者割当増資は、企業が「特定の第三者(個人や法人)」に対して新たに株式を発行し、引き受けてもらうことで資金を調達する方法です。

「特定の第三者」には、社内の役員や取引先、業務提携している会社など、企業と安定した関係を築いている相手が中心に選ばれます。

その他、「特定の第三者」として株式を引き受ける個人や法人は、以下のとおりです。

「特定の第三者」として株式を引き受ける個人や法人

  • 取引関係にある金融機関
  • ベンチャーキャピタル
  • エンジェル投資家 など

第三者割当増資は、自社と関係のある相手を「特定の第三者」とするため、他の方法に比べて契約手続きをスムーズに進められる点が大きなメリットです。「特定の第三者」が法人の場合、株式を保有してもらうことで互いの事業成長に向けた協力体制が強化され、長期的なパートナーシップを築けるでしょう。

ただし、第三者割当増資によって新たな株式が発行されると、1株あたりの価値が低下するため、株式の売却を検討する既存株主が出てくるかもしれません。

既存株主との関係が悪化して企業の信頼を失わないよう、第三者割当増資で資金調達する際は、全体への影響を考慮してバランスを調整することが大切です。

なお、「第三者割当増資の手続き方法や注意点」を詳しく知りたい方は、以下記事も合わせてチェックしてみてください。

方法3. 公募増資(時価発行増資)

公募増資は、企業が不特定多数の投資家に対して新たな株式を時価(市場価格に近い価格)で発行し、資金を調達する方法です。

自社の株価が高いほど少ない発行数で多額の資金を調達でき、市場価格より割安な新株を発行することで、既存株主への影響も最小限に抑えられます。公募増資を通じて企業の存在を多くの投資家に認知してもらえば、新たな株主を獲得できる機会が増え、結果として大規模な資金調達につなげられる点もメリットです。

一方、不特定多数の投資家から資金を集める仕組み上、株主数の増加に伴い配当金の支払い負担が重くなってしまう点に注意しなければなりません。

また、公募増資は主に上場企業が利用する方法となっており、知名度が低いと出資者を集めにくい点から、未上場の中小企業には別の資金調達方法をおすすめします。

方法4. 転換社債型新株予約権付社債(転換社債)

転換社債型新株予約権付社債(転換社債)は、決められた期間内に企業の株価が一定以上に達したとき、株式に転換できる権利を付与された社債です。「メザニンファイナンス」の一種であり、デット(負債)とエクイティ(資本)の中間的な性質を持っています。

企業側は自社が発行した社債を購入してもらうことで資金を確保でき、債券の購入者(投資家)は企業から定期的に利子を受け取れる仕組みです。

転換社債を活用する「企業」「投資家」のメリットを、以下にまとめました。

▼転換社債を活用する「企業」「投資家」のメリット

スクロールできます
企業のメリット・普通社債よりも低い金利で資金調達できる
・株式転換による「負債」から「資本」への構造改善が期待できる
投資家のメリット・利息を受け取りながら、株価上昇時には株式転換によって大きな利益(キャピタルゲイン)を狙える
・株価が低迷しても、利回りを得ることで損失リスクを回避できる

転換社債は、企業価値算定が難しいスタートアップにも適していますが、株式に転換されなかった場合は社債の元本を返済しなければならない点に注意しましょう。

資金調達の際は、利益の一部を「返済専用の資金」として積み立てておくと、元本の返済が発生したときも資金繰りに余裕を持って対応できます。

方法5. J-KISS(新株予約権)

J-KISS(新株予約権)は、「新株予約権(一定の金額や条件で株式を取得できる権利)」を発行して資金を調達する方法です。

J-KISSの大きな特徴は、簡易かつ迅速に資金調達できる点にあります。公開されている雛形をもとに条件を絞ったスピーディーな資金調達が実現することから、特に少額資金を迅速に調達したい「シード期」向けの資金調達に適しています。

次回の資金調達で確定した株価をもとに株数を決めるため、バリュエーション(企業価値評価)の議論を先送りにできる点もメリットです。

ただし、J-KISSはスタートアップへ出資した個人投資家に対して、税制上の優遇措置を与える「エンジェル税制」が事実上適用されない点に注意しましょう。

また、新株予約権が株式に転換された際は、株主構成が複雑になり管理が難しくなるため、転換後の持株比率などを事前に試算しておくことが大切です。

方法6. みなし優先株式

みなし優先株式は、将来的に特定の資金調達を行う場合、株主が配当金などを優先的に受け取れる「優先株式」に転換することを約束した株式です。

資金調達時は「普通株式」として発行されるため、J-KISSとは異なり「エンジェル税制」の適用対象となります。投資家にとってメリットが大きいことから、他の方法に比べてスムーズに資金を集められるでしょう。

ただし、投資家がエンジェル税制の適用を受けるには、企業側も「設立年数」「従業員数」など、一定の要件を満たさなければなりません。設立年数に応じて細かな要件が設定されているため、詳しくは中小企業庁の公式サイトを確認しましょう。

また、登記簿には「普通株式」と記載されることから、第三者が優先株式の存在を把握できず、金融機関や投資家からの信用度が下がりやすくなる点にも注意が必要です。

方法7. ベンチャーデット(VD)

ベンチャーデット(VD)は、エクイティ(資本)とデット(負債)の両方の性質を併せ持つ資金調達方法です。投資会社であるベンチャーキャピタルからの出資を受けており、一定の売上が立っている企業を対象としていることから、主に新規株式公開を目指すスタートアップが活用しています。

金融機関が融資を行う代わりに、スタートアップが新株予約権を発行してリスクを補う仕組みとなっているため、株式の希薄化を防ぎながら資金調達を行える点が魅力です。

例として、都市銀行の「りそな銀行」が実施しているベンチャーデットの詳細情報を、下記にまとめました。

▼りそな銀行「ベンチャーデット」の詳細情報

利用対象者設立3年以上経過している、シリーズA以降かつベンチャーキャピタルから資金調達実績のあるスタートアップ企業

※シリーズA:スタートアップ企業における成長ステージの一つで成長資金の調達を目的とする段階
資金使途成長資金
借入可能額5,000万円〜5億円
返済期間1年1ヶ月〜5年以内
参考:ベンチャーデット|りそな銀行

ベンチャーデットでは、新株予約権の発行によって貸し手側のリスクが軽減されるため、創業間もないスタートアップでも、通常より有利な条件で資金を調達できます。貸し手側である金融機関にとっては、低リスクで利息収入を得られる上、株式転換後はキャピタルゲインを狙える点が大きなメリットです。

資金使途は、利用する制度によって異なりますが、「成長資金」「運転資金」「つなぎ資金」など幅広く活用できます。金利は比較的高く設定される傾向にあるため、利用の際は、毎月のコスト負担がどれくらいになるのか事前に確認しておきましょう。

なお、「ベンチャーデットの注意点やステージ別の資金調達方法」を詳しく知りたい方は、以下記事も合わせてチェックしてみてください。


エクイティファイナンスは、知識・経験なく「何となく」で進めると必ず失敗します。エクイティには「投資側の理解」と「ノウハウと実務経験」が必要です。融資代行プロは、金融機関出身のコンサルタントが「成果報酬型1%~」でエクイティをコンサル/代行するサービスで、これまで多くのベンチャー・スタートアップのエクイティの支援実績を積み上げてきました。そんな私達に無料のエクイティ相談をしませんか?詳細は下記ボタンを押してご確認ください。

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エクイティファイナンスを活用すべき企業の「特徴」「財務状況」

エクイティファイナンスを活用すべきか迷っている方は、自社の「特徴」「財務状況」が以下に該当していないか確かめてみましょう。

エクイティファイナンスを活用すべき企業の「特徴」は、以下のとおりです。

▼エクイティファイナンスを活用すべき企業の「5つの特徴」
  • 特徴1. 返済義務の発生しない資金調達方法を探している
  • 特徴2. 事業成長において取引先との関係を重視している
  • 特徴3. 経営理念や方針に共感してくれる支援者を探している
  • 特徴4. 成長段階で中長期的な事業拡大を見据えている
  • 特徴5. 将来的に株式上場を視野に入れている など

エクイティファイナンスは「出資」による資金調達方法のため、返済義務が発生せず、毎月のコスト負担を大幅に軽減できます。そのため、「借入金に依存せず資金繰りを安定させたい」など、リスクを抑えて資金調達したい企業に向いているでしょう。

投資家や事業会社などの出資者と協力関係を築き、経営理念を共有して長期的な成長を目指す企業にもおすすめです。

また、以下の「財務状況」に当てはまる企業も、エクイティファイナンスを活用すべきだといえます。

▼エクイティファイナンスを活用すべき企業の「3つの財務状況」
  • 財務状況1. 金融機関の借入枠を使い切っており新たな融資が難しい
  • 財務状況2. 一時的にキャッシュフローが悪化しており赤字が出ている
  • 財務状況3. 自己資本比率が低く改善策を検討している など

エクイティファイナンスでは、過去の実績よりも事業の将来性が重視される傾向にあるため、赤字が出ている企業でも挑戦しやすいでしょう。

とはいえ、収益の見通しが立たない場合や、事業計画の実現性が低い場合は審査で不利になる可能性があります。そのため、資金調達を行う際は、事業の成長プロセスを明確に説明できるよう準備しておくことが大切です。

自社の成長ステージに応じた調達方法の選択

自社にとって最適な資金調達方法は、現在の成長ステージや資金使途、経営戦略によって大きく異なります。

企業の成長ステージ別に、おすすめのエクイティファイナンスをまとめました。

▼成長ステージに応じたおすすめのエクイティファイナンス

シード期(創業期)

「J-KISS」「みなし優先株式」など、企業価値の算定を先送りにできる手法が有効です。エンジェル投資家から資金調達する方法も多く見られます。

アーリー期(成長期)

この時期は、投資ラウンドにおいてベンチャーキャピタルから本格的な出資を受ける「シリーズA」の段階です。「第三者割当増資」の利用が増える傾向にあります。普通株式と異なる権利を定めた「種類株式」の発行も検討しましょう。

ミドル/レイター期(安定期)

新規事業の立ち上げや店舗拡大に向けて、大規模な資金需要に対応する必要があります。「ベンチャーデット」「転換社債型新株予約権付社債」などを活用し、株式の希薄化を抑制することが重要です。

成長ステージごとの最適な資金調達方法を把握しておけば、資金不足に陥るリスクを回避しながら、効率的かつ確実に経営の安定化を図れます。

エクイティファイナンスを活用して資金調達する流れ

エクイティファイナンスを活用して資金調達する際の主な流れは、以下のとおりです。ここでは、「株式割当増資」「第三者割当増資」の一般的な手続き方法を紹介します。

ステップ

新株の募集事項に関する決議

まずは、取締役会や株主総会で新株発行に関する具体的な内容を決めましょう。募集事項の主な項目は、以下のとおりです。

▼新株の募集事項
  • 募集する株式の種類や発行数
  • 株式の払込金額と算定方法
  • 現物出資の内容または金額
  • 払込期間や払込期日
  • 増加する資本金および準備金
ステップ

募集事項の通知・申込

株式割当増資の場合は既存株主に、第三者割当増資の場合は「特定の第三者」として選定した個人や法人に対し、募集事項の通知を行います。株式の引き受けを申込む人は、氏名、住所、振込口座などを記載した申込書の提出が必要です。

ステップ

株式の割当先の決定

申込書の内容に基づき、「誰に何株の株式を引き受けてもらうのか」を決めましょう。

ステップ

出資金の払込み

割当を受けた出資者は、指定の期日までに「金銭」もしくは「現物出資」のどちらかで払込みを行います。

ステップ

新株発行に伴う登記変更の手続き

新株を発行した企業は、払込期日から2週間以内に法務局で登記変更の手続きをしなければなりません。具体的には「変更登記申請書」の提出や、登記免許税の支払いを行います。

エクイティファイナンスの手続きは時間がかかる傾向にあるため、資金調達の際は、スケジュールに余裕を持って慎重に準備を進めましょう。

エクイティファイナンスを活用して資金調達する「4つのメリット」

エクイティファイナンスを活用して資金調達するメリットは、以下の4つです。

◆エクイティファイナンスを活用して資金調達する「4つのメリット」
  • メリット1. 返済義務のない資金が確保できる
  • メリット2. 自己資本比率が上がり財務体質を強化できる
  • メリット3. 株主による経営サポートを受けられる
  • メリット4. 赤字でも多額の資金調達を見込める

資金調達によるコスト負担を最小限に抑えられるのはもちろん、財務体質の強化や経営サポートによって、安定した事業運営を実現できます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

メリット1. 返済義務のない資金が確保できる

エクイティファイナンスは株式発行による資金調達方法のため、融資と異なり元金や利息を返済する義務が発生しない点がメリットです。調達した資金を返済に回す必要はなく、資金繰りを安定させながら、事業成長や設備投資などの目的に応じて柔軟に活用できます。

このメリットは、特に赤字が先行する「Jカーブ成長」を目指すスタートアップにとっては、不可欠な資金調達手法でしょう。

一般的に金融機関から資金調達する場合、企業は事業活動を通じて利益を確保し、元金に利息を上乗せした金額を一定期間内に返済しなければなりません。一方、エクイティファイナンスは、事業活動を通して得られた利益を株主に還元する仕組みのため、返済負担を気にせず経営に集中できます。

ただし、エクイティファイナンスは資金調達後のコスト負担が全くないわけではありません。事業成長によって利益が出た場合には、その一部を「配当金」として株主に支払う必要がある点に注意しましょう。

メリット2. 自己資本比率が上がり財務体質を強化できる

エクイティファイナンスを活用して資金調達すると、総資本のうち自己資本が占める割合を示す「自己資本比率」が上がり、企業の財務体質を強化できる点もメリットです。

投資家からの出資金は、将来的に支払いが発生する「負債」とは異なり、返済義務のない「資本金」となるため、賃借対照表上は自己資本として計上されます。

自己資本比率は、企業の財務健全性を示す重要な指標です。自己資本比率が高いほど、「外部の借入金に依存しない安定した経営基盤を持つ企業」と評価されやすくなります。

エクイティファイナンスによって自己資本比率が高まると、取引先や金融機関からの信用度が向上し、将来的な契約交渉や融資審査を有利に進められるでしょう。

メリット3. 株主による経営サポートを受けられる

投資家や事業会社による資金援助だけでなく、事業成長に向けた経営サポートを受けられるのも、エクイティファイナンスの大きなメリットです。

具体的には、以下のようなサポートを受けられます。

▼株主から受けられる経営サポート
  • 経営ノウハウの提供
  • 人的支援
  • 取引先の紹介 など

企業の利益が上がるほど配当金も増えることから、投資家は「企業の成長を支援するパートナー」として積極的に関与してくれる可能性があります。特にベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などは、将来的な株式売却益の獲得を目的としているため、手厚い支援を行ってくれるでしょう。

また、「第三者割割当増資」などで取引関係にある事業会社から出資を受ける場合には、事業成長を後押しする優秀な人材を派遣してくれるケースもあります。

投資家からの助言を受けて事業戦略を見直したり、新たな取引先との関係を構築したりすることで、結果的に事業拡大のチャンスを広げられるはずです。

メリット4. 赤字でも多額の資金調達を見込める

エクイティファイナンスでは、過去の実績よりも「企業の将来性」や「成長ポテンシャル」を重視して出資が行われるため、赤字でも多額の資金調達を見込める可能性があります。

一般的に、金融機関の融資では「売上・利益の安定性」「担保・保証人の有無」「返済能力」などが重視されており、業績の悪い企業は審査で不利になる可能性が高いです。しかし、エクイティファイナンスは「市場拡大の余地」「事業モデルの持続性」「経営ビジョンの明確さ」といった、将来的な企業価値が判断基準となっています。

そのため、現時点で赤字であっても事業の魅力や将来性が伝われば、企業の競争力強化や事業のスケールアップにつながる多額の資金を集められるのです。

エクイティファイナンスを活用して資金調達する「4つのデメリット」

エクイティファイナンスには、さまざまなメリットがある一方で、以下4つのデメリットにも気をつける必要があります。

◆エクイティファイナンスを活用して資金調達する「4つのデメリット」
  • デメリット1. 持株比率の低下で、経営の自由度が低下する
  • デメリット2. 新株発行について既存株主の理解を得なければならない
  • デメリット3. 資本金が増えると中小企業の優遇税制を受けられない
  • デメリット4. 手続きが煩雑で資金調達に時間がかかりやすい

「返済不要の資金を調達できる」というメリットだけに注目して資金調達すると、かえって経営を悪化させます。エクイティファイナンスにどのようなリスクがあるのか、事前にしっかりと把握しておきましょう。

デメリット1. 持株比率の低下で、経営の自由度が低下する

エクイティファイナンスにおける最大のデメリットは、企業の持株比率が低下することで、経営権を失うリスクが高まる点です。

出資を受けるたびに自己資本は増えるものの、経営者の持株比率が下がると自由な意思決定が難しくなり、株主に経営をコントロールされる可能性があります。特に大口株主が増えた場合、「合併」「解散」「役員解任」などの重要な意思決定において株主総会での調整が必要となり、スムーズな経営判断が難しくなるでしょう。

たとえば、株主の持株比率が高くなると、以下のように行使できる権利が増えていきます。

▼持株比率と株主の権利

持株比率株主の権利
持株比率1%以上・株主総会の議案請求権
持株比率3%以上・株主総会の招集請求権
・会計帳簿の閲覧および謄写請求権
持株比率50%以上(過半数)・株主総会の普通決議を単独で可決する権利(会社の主要な意思決定をほとんど自ら行える)
持株比率66.7%(3分の2)以上・株主総会の特別決議を単独で可決する権限(自己株式の取得に関する事項、募集株式の募集事項、事業譲渡など)
参考:会社法|e-Gov 法令検索

株主の持株比率が50%を超えると、経営者の意向に関係なく「取締役の選任・解任」などの重要な決議を株主が単独で可決できるようになるため、注意が必要です。

資金調達の際は出資比率を慎重に検討し、必要に応じて議決権のない株式を発行するなどして、経営者が過半数の議決権を確保できるように調整しましょう。

デメリット2. 新株発行について既存株主の理解を得なければならない

新株発行について既存株主の理解を得なければならない点も、エクイティファイナンスによる資金調達のデメリットです。

エクイティファイナンスを活用して資金調達すると株式発行数が増えるため、既存株主の持株比率や1株あたりの価値が低下するリスクが高まります。既存株主の中には「自分たちの影響力が弱まる」「保有株式の価値が薄まる」と感じ、不満を抱いてエクイティファイナンスに反対する人が出てくるかもしれません。

そのため、新株を発行して資金調達する際は、エクイティファイナンスの目的や期待される効果を事前に説明し、既存株主に納得してもらうことが大切です。

信頼関係が損なわれると追加の出資や支援を受けにくくなるため、丁寧な対応を心がけましょう。

デメリット3. 資本金が増えると中小企業の優遇税制を受けられない

エクイティファイナンスによって資本金が増えると、「中小企業者」としての扱いから外れ、優遇税制を受けられなくなる可能性がある点にも注意しなければなりません。

日本政府は、以下の要件に該当する中小企業に対して、さまざまな優遇税制を設けています。

優遇税制を受けられる中小企業の要件

  • 各事業年度終了の時において資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
  • 資本もしくは出資を有しない法人

しかし、エクイティファイナンスで調達した資金は「資本金」として計上されるため、これらの要件から外れるリスクがあり、税負担の増加につながってしまうのです。

たとえば、企業の資本金が一定額を超えると、以下の優遇税制を受けられなくなる可能性があります。

▼資本金の増加に伴い受けられなくなる優遇税制
  • 法人税率の軽減
  • 欠損金の繰越控除
  • 欠損金の繰戻還付
  • 交際費課税の特例
  • 固定資産税・都市計画税の減免措置 など

また、中小企業の要件を満たしていても、資本金が1,000万円を超えれば「法人住民税(都道府県税・市町村民税)」の均等割が高くなる点にも注意が必要です。優遇税制を受けられなくなることで税負担が増えると、事業継続に必要な設備資金や運転資金が不足し、キャッシュフローが悪化するリスクが高まります。

エクイティファイナンスを利用する際は、資本金の増加に伴い支払う税額が増えることも考慮した上で、出資額や株式発行数を調整しましょう。

デメリット4. 手続きが煩雑で資金調達に時間がかかりやすい

エクイティファイナンスによる資金調達のデメリットとしては、株式発行などの手続きが煩雑で、資金調達までに時間がかかりやすいことも挙げられます。会社法をもとにした株式発行の手続きに加え、既存株主への説明も行わなければならないため、融資に比べてスピーディな資金確保が難しいのです。

投資家にとってリスクが大きいと判断された場合、企業の成長性や将来性を精査するのに時間がかかり、予想以上に契約交渉が長期化するケースもあります。

だからといって、急いで手続きを進めるとミスが発生してさらに資金調達が遅れたり、既存株主との関係が悪化して信頼を失いかねません。そのため、資金調達を行う際は、株主総会の開催日や登記申請にかかる期間などを踏まえ、早い段階から準備を始めましょう。


エクイティファイナンスは、知識・経験なく「何となく」で進めると必ず失敗します。エクイティには「投資側の理解」と「ノウハウと実務経験」が必要です。融資代行プロは、金融機関出身のコンサルタントが「成果報酬型1%~」でエクイティをコンサル/代行するサービスで、これまで多くのベンチャー・スタートアップのエクイティの支援実績を積み上げてきました。そんな私達に無料のエクイティ相談をしませんか?詳細は下記ボタンを押してご確認ください。

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エクイティファイナンスによる資金調達を成功させる2つのポイント

エクイティファイナンスによる資金調達を成功させるポイントは、以下の2つです。

◆エクイティファイナンスによる資金調達を成功させる2つのポイント
  • ポイント1. 将来的な成長が見込めるタイミングで実施する
  • ポイント2. 株主にとってのリスクを理解した上で取り組む

適切なタイミングを見極めつつ、株主が抱えるリスクを考慮した上で資金調達を行えば、投資家との信頼関係を維持しながら安定した経営を実現できます。

ポイント1. 将来的な成長が見込めるタイミングで実施する

エクイティファイナンスによる資金調達を成功させるには、企業の将来的な成長が見込めるタイミングで実施することが重要です。企業の成長性を具体的な数字や実績で示せる時期を選ぶことで、投資家からの評価や期待感が高まり、より有利な条件で出資を受けやすくなるでしょう。

エクイティファイナンスでは、企業の現状ではなく「将来的に価値が上がるかどうか」が重視される傾向にあります。そのため、事業が停滞している時期よりも、成長の兆しが明確に見えるタイミングで資金調達する方が、将来的なリターンが期待できる投資先として評価されるのです。

具体的には、以下のようなタイミングで資金調達を行いましょう。

▼エクイティファイナンスを実施すべきタイミング
  • 新規事業やサービスの成長が加速している時期
  • 業界内での競争優位が確立し始めた時期
  • メディア掲載などで企業の信頼性が高まっている時期 など

これらの時期に資金調達を行えば、多くの投資家から注目されやすくなり、「持株比率」「経営関与の範囲」などの出資条件も柔軟に設定できる可能性が高まります。

企業の将来性をより明確に伝えるためには、市場調査や公的データなどの客観的根拠をもとに、「いつ・どの程度の収益が見込めるのか」を具体的に示しましょう。

ポイント2. 株主にとってのリスクを理解した上で取り組む

株主にとってのリスクを理解した上で資金調達に取り組むことも、エクイティファイナンスを成功につなげるためには重要なポイントです。

たとえば、株主は出資にあたって以下のようなリスクを抱えています。

▼株主が抱える主なリスク

1. 株価下落リスク

出資後に企業の業績が悪化したり市場環境が変化したりすると、株価が下がり投資額の回収が難しくなる

2. 企業の倒産リスク

経営が軌道に乗らず最終的に倒産した場合、出資金が回収不能となり、株主が損失を被る可能性がある

3. 議決権の制限リスク

持株比率が低い株主の場合、経営判断に直接関与できず、意思が反映されにくくなる

4. 流動性リスク

未上場企業の場合、株式を市場で自由に売却できないため、資金化が難しいリスクがある

上記を踏まえ、資金調達を行う際は、想定されるリスクの対応策を示したり業績報告などの情報を積極的に共有したりして、株主に安心感を与えましょう。株主のリスクを理解した上で誠実な対応を心がけると、信頼関係を構築でき、追加出資や人材支援などの中長期的なサポートも受けやすくなります。

エクイティファイナンスとは「株式発行を通じて資金を調達する方法」

エクイティファイナンスは、金融機関からの借入ではなく、株式発行を通じて投資家などの出資者から資金を調達する方法です。「株主資本」を意味するエクイティと、「資金調達」を意味するファイナンスを組み合わせて「エクイティファイナンス」と呼ばれています。

エクイティファイナンスは原則として返済義務が発生しないため、資金繰りを圧迫することなく、事業拡大に向けた資金を確保できる点が大きなメリットです。

近年では、中小企業庁がエクイティファイナンスの普及に向けた環境整備を進めており、多くの中小企業者にとって挑戦しやすい状況が整いつつあります。

参考:中小企業者のためのエクイティ・ファイナンスの基礎情報 | 中小企業庁

デットファイナンスとの違い

デットファイナンスは、金融機関からの借入や社債の発行など、返済義務を伴う「負債」を増やすことで資金を調達する方法です。

一定期間内に元金と利息を返済する必要はありますが、株式を発行するわけではないため、企業は経営権を保持しつつ、自己資本の増加に伴う税負担も抑えられます。

デットファイナンスとエクイティファイナンスの違いは、以下のとおりです。

▼デットファイナンスとエクイティファイナンスの違い

デットファイナンスエクイティファイナンス
返済義務ありなし
資本の種類他人資本(負債)自己資本
自己資本比率低下上昇
経営への影響特に影響なし株主の影響を受ける場合がある
節税効果利息の分だけ節税できる納税額が増えるリスクあり

上記から、デットファイナンスとエクイティファイナンスは資金調達のプロセスだけでなく、資産構成や経営に与える影響も大きく異なることがわかります。

なお、「デットファイナンスの種類」を詳しく知りたい方は、以下記事も合わせてチェックしてみてください。

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アセットファイナンスとの違い

アセットファイナンスは、企業が保有する「不動産」「売掛債権」「知的財産権」などの資産を活用して資金を調達する方法です。

アセットファイナンスとエクイティファイナンスには、以下のような違いがあります。

▼アセットファイナンスとエクイティファイナンスの違い

アセットファイナンスエクイティファイナンス
返済義務ありなし
資金調達スピード比較的早い時間がかかる
経営への影響特に影響なし株主の影響を受ける場合がある

アセットファイナンスには「売却型」と「担保型」の2種類があり、担保型を利用する場合はエクイティファイナンスと違って返済義務が発生します。ただし、アセットファイナンスは企業の信用力よりも資産価値が重視されるため、エクイティファイナンスに比べて資金調達までのスピードが早い点がメリットです。

また、株式を発行しないことから、経営の主導権を握ったまま資金調達できる点もエクイティファイナンスとは異なります。

アセットファイナンスの種類」について詳しく知りたい方は、以下記事も合わせてチェックしてみてください。

「エクイティファイナンスの種類」についてよくある質問

エクイティファイナンスの種類について、よくある質問を下記にまとめました。エクイティファイナンスの理解を深めた上で資金調達したい方は、ぜひ参考にしてください。

「プライベートエクイティ(PE)」とは何ですか?

「プライベートエクイティ(PE)」は、未上場企業の株式(未公開株式)を指し、中小企業やベンチャー企業などにとって重要な資金調達方法となっています。

未上場企業の株式は証券取引所での売買が行われない一方、流通量が限られていることから、市場価格よりも高い水準で取引されるのが一般的です。そのため、プライベートエクイティを活用して出資を受ければ、多額の資金を確保して経営改善につなげられます。

ただし、投資家にとってはリスクが高いため、経営方針や意思決定への関与を求められるケースも多く、経営の自由度が低下する可能性がある点に注意が必要です。

シード期で使われる「J-KISS」や「みなし優先株式」は、一般的な「種類株式(優先株式)」と比べて、なぜ使われているのですか?

「J-KISS」と「みなし優先株式」は、どちらも企業価値の算定を先送りにしつつ、投資家が税制上の優遇措置(エンジェル税制)を受けられる特殊な資金調達方法です。

一般的な「種類株式」では、投資家との株価を巡る交渉に時間がかかってしまいますが、「J-KISS」や「みなし優先株式」を活用すると、迅速な資金調達を実現できます。特に経営実績が少なく、企業価値を正確に算定するのが難しいシード期の企業にとって有効な手段です。

「J-KISS」「みなし優先株式」「種類株式」のメリット・デメリットを、以下にまとめました。

▼「J-KISS」「みなし優先株式」「種類株式」のメリット・デメリット

スクロールできます
J-KISSみなし優先株式種類株式
メリット低コストかつ迅速に資金調達できる
②バリュエーションの議論を避けられる
①発行時点で「普通株式」のため、エンジェル税制の適用対象となる①投資家のリスクを最小限に抑えることで、高い評価額での資金調達を実現できる
デメリット①新株予約権であるため「エンジェル税制」が事実上適用されない
②株数の上限を明確に定められない
①株式転換時における株数の調整ができない
②株主が多い場合は合意形成が難しい
①株式の権利設定が複雑なため、専門家への依頼コストや交渉の時間・手間がかかりやすい

上記から、「J-KISS」は資金調達スピードが優れており、「みなし優先株式」は税制面でのメリットが大きいことがわかります。

それに対して「種類株式」は、複雑な権利設定によりコストと時間がかかるため、特にシード期では避けられる傾向にあるのです。

大規模な資金が必要な成長期に、株式の希薄化を避けつつ資金調達を進めるための「新たな選択肢」はありますか?

株式の希薄化を抑える資金調達方法としては、新株予約権を付帯したデットファイナンス(ベンチャーデット)が新たな選択肢として注目されています。

ベンチャーデットは、金融機関などから融資を受ける代わりに新株予約権を付与することで、リスクを補完しつつ資金を調達する方法です。「新株予約権の付与」は株式発行と異なる手法のため、エクイティファイナンスで懸念される「株式の希薄化」を回避できます。

デットファイナンスで調達した資金は、運転資金や設備資金、一時的な資金不足を賄う「つなぎ」として活用されるのが一般的です。貸し手側は利息収入に加え、新株予約権が行使された際に株式売却益を得られるメリットがあります。

経営権を維持したまま、エクイティファイナンスのメリットを最大限活かしたい方は、ベンチャーデットも選択肢の一つとして検討してみてください。

VCとCVC(事業会社系VC)のどちらから資金調達するかで、経営上のリスクは異なりますか?

異なります。

VC(ベンチャーキャピタル)は、投資先企業の株式を売却して利益を得る「キャピタルゲイン」の追求を主な目的としています。

一方、CVC(事業会社系VC)は、「事業シナジーを重視している」「親会社の財務状況による影響を受けやすい」など、より複雑な目的とリスクを伴うのが特徴です。

そのため、VCとCVC(または事業会社)は同じ部類の資金提供者でも、投資の目的とそれに伴う経営上のリスクは大きく異なります。

VCとCVCの違いを、以下の表にまとめました。

▼VC(ベンチャーキャピタル)とCVC(事業会社系VC)の違い

スクロールできます
VC(ベンチャーキャピタル)CVC(事業会社系VC)
投資の目的株式上場やM&Aによるキャピタルゲインの獲得技術獲得や市場開拓、競争力強化といった事業上のシナジー効果
経営サポート1. 豊富な経験に基づく経営ノウハウの提供
2. 人的支援
3. ネットワーク紹介 など
1. 商品やサービスにおける開発基盤の整備
2. 現業の人材派遣
3. 取引先の紹介
4. 企業の認知度向上 など
潜在的なリスク1. 早期に利益を回収するよう圧力をかけられる
2. 持株比率の減少により経営の自由度が低下する
1. 親会社の企業風土や経営方針の影響を受けやすい
2. 競合他社との取引やM&Aが難しくなる可能性がある

資金調達先をどうするべきか迷う場合は、「経営の自由度」と「事業連携のメリット」のどちらを優先するかを慎重に見極めた上で、最適な手段を選びましょう。

デットファイナンスにはどのような種類がありますか?

デットファイナンスの種類は、以下のとおりです。

▼デットファイナンスの種類
  • 政府系金融機関・公的融資
  • 銀行融資
  • ビジネスローン
  • シンジケートローン
  • 公募債
  • 私募債
  • コマーシャルペーパー
  • ソーシャルレンディング
  • ABL(動産・売掛金担保融資)
  • プロジェクトファイナンス
  • グリーンファイナンス
  • ベンチャーデット

デットファイナンスは元金や利息の返済義務が発生するものの、「経営権の維持」「高い節税効果」などのメリットが期待できます。ただし、資金調達方法によってメリット・デメリットは大きく異なるため、それぞれの特徴を十分に理解した上で目的に合った方法を選びましょう。

12種類のデットファイナンスの特徴」を詳しく知りたい方は、以下記事を必ずチェックしてください。

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エクイティファイナンスの種類を把握して自社にピッタリの資金調達方法を見つけよう!

エクイティファイナンスの種類を正しく理解した上で、自社にピッタリの方法を見つければ、効率よく資金を確保しながら着実に事業拡大を進められます。

具体的には、以下の7種類から最適な資金調達方法を選びましょう。

エクイティファイナンスによる「7種類」の資金調達方法

  • 方法1. 株式割当増資
  • 方法2. 第三者割当増資
  • 方法3. 公募増資(時価発行増資)
  • 方法4. 転換社債型新株予約権付社債(転換社債)
  • 方法5. J-KISS(新株予約権)
  • 方法6. みなし優先株式
  • 方法7. ベンチャーデット(VD)

エクイティファイナンスを活用すべき企業の「特徴」「財務状況」は、以下のとおりです。

▼エクイティファイナンスを活用すべき企業の「5つの特徴」
  • 特徴1. 返済義務の発生しない資金調達方法を探している
  • 特徴2. 事業成長において取引先との関係を重視している
  • 特徴3. 経営理念や方針に共感してくれる支援者を探している
  • 特徴4. 成長段階で中長期的な事業拡大を見据えている
  • 特徴5. 将来的に株式上場を視野に入れている など
▼エクイティファイナンスを活用すべき企業の「3つの財務状況」
  • 財務状況1. 金融機関の借入枠を使い切っており新たな融資が難しい
  • 財務状況2. 一時的にキャッシュフローが悪化しており赤字が出ている
  • 財務状況3. 自己資本比率が低く改善策を検討している など

エクイティファイナンスでは返済不要の資金を調達できますが、持株比率の低下によって、経営者の意向に沿った運営が難しくなってしまう点に注意しなければなりません。中小企業向けの優遇税制を受けられなくなるリスクもあるため、株式を発行する際は、株主構成や資本金額への影響を慎重に検討しましょう。

企業や株主にとってのリスクを理解した上で資金調達に臨めば、経営の安定化を図れるのはもちろん、株主との信頼関係を維持したまま中長期的な事業成長につなげられます。

本記事で紹介した内容をもとに、エクイティファイナンスのメリットを最大限に活かし、事業のさらなる発展にお役立てください。

本記事はここまでになりますが、融資の現場で培ったリアルで濃い内容なので、ブックマークして、あとから何度も読み返すことをオススメします


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7種類の「エクイティファイナンス」メリット・デメリットをプロが解説

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