資金調達をするために借入(融資)を行うためには、まずは必ず金融機関による審査を受けなければなりません。審査を通過しなければ資金調達はできないため、審査の基準についてある程度知っておくのは重要です。

本記事では、資金調達のために受ける審査の基準や通りやすい機関、審査での注意点について解説します。

※以前は金融機関も「金融検査マニュアル」などを参考にしながら審査をしていましたが、「金融検査マニュアル」は令和元年12月18日に廃止されました。

 

借入(資金調達)審査の基準・ポイント

借入(資金調達)審査の基準・ポイント

資金調達のための借入審査は、金融機関がいくつかの項目に照らし合わせて申請者をチェックし、融資可能かどうかを判断します。

借入審査の基準について知っておけば、ある程度、資金調達を始める前から対策を講じることができます。

資金調達の際に受ける借入審査の基準とポイントを4つ、見ていきましょう。

  1. 自己資金の多さ
  2. 会社や経営者個人の信用
  3. 返済能力の有無
  4. 資金使途が明確か

 

1. 自己資金の多さ

資金調達の借入審査で間違いなくチェックされるのが「自己資金の多さ」です。

一般的に自己資金とは、金融機関などからの融資以外の、自分で用意した資金のことを指します。

1番分かりやすい例でいうと、自分がこれまで貯金してきた資金が自己資金に該当しますが、家族や親族、友人などから援助を受けて返済義務のない資金があれば、それも自己資金と見なされます。

資金調達の借入審査では、自己資金の多さと、申請した融資額とのバランスがチェックされます。申請した融資額に対し、自己資金が少なすぎると審査に落ちてしまうでしょう。

自己資金の多さは、経営者の熱意の表れと見なされることが多いので、資金調達を行う際はできる限り自己資金を多くしておくのが望ましいのです。

具体的には最低でも申請した融資額の10分の1以上、可能であれば3分の1以上の自己資金を用意しておきましょう。

自己資金がどのくらいあるかは、預金通帳によって証明できます。審査を通す以前より自己資金を貯めている様子が分かる場合、審査に通りやすくなります。

 

2. 会社や経営者個人の信用

続いてチェックされるのは会社や経営者個人の信用です。金融機関は、信頼できる相手に融資したいと思っています。

融資の申請者が信頼できるかどうかを確かめるため、通帳や確定申告書を見て公共料金や税金の支払いがきちんと行われているかをチェックします。

具体的には所得税法人税事業税消費税電気・ガス・水道料金などです。税金や公共料金の支払いが滞ったり、未納があったりすると審査に通りにくくなります。

さらに金融商品の返済をしていなかったり遅延したりしている場合も、同様に審査に落ちる可能性が高くなるでしょう。

たとえばクレジットカードの支払い住宅や車のローンなどが該当します。

もちろん他の金融機関からすでに借入をしており、支払いが滞っていれば審査に通るのはかなり難しくなります。

 

3. 返済能力の有無

金融機関は、融資を確実に回収できるかを知りたいと思っています。借入審査では、返済能力が厳しくチェックされるでしょう。

そこで重要となるのが、事業計画書や資金繰り計画書です。

事業計画書では、月々予想される売り上げや支出が記載されています。

売り上げから支出や税金などを差し引いたものが利益となるので、利益が月々の返済額を上回っていなければ当然返済はできません。

資金繰り計画書は明確な根拠に基づいた返済財源を示す書類です。

これらの書類に基づいて確かに返済能力があると納得してもらえれば、借入審査に通りやすくなります。

一方赤字続きの事業計画書であったり、利益や返済財源に確かな根拠がないと見なされたりすれば審査に通らず資金調達できなくなるかもしれません。

また事業計画書や資金繰り計画書に矛盾がある、経営者が事業計画書についてきちんと説明できないといったケースでも審査に通りにくくなります。

 

4. 資金使途が明確か

資金調達の借入で非常に重要な別のポイントは、資金使途が明確かどうかです。

資金調達では、どんな事業にいくら使う予定であるかを明確に説明できなければなりません。

もし、どんな目的で資金を使うのかはっきり説明できない場合、金融機関は大きな不安を覚えます。

経営者が事業内容を把握していなかったり、資金調達すべき金額が分かっていなかったりするのではないかと感じるからです。

たとえばある設備を導入する場合、その設備の金額が融資額となるでしょう。

新規事業の立ち上げに資金が必要であれば、事業計画書や業者から受け取る見積書などによって必要な融資額と資金使途を示せます。

「借りられるだけ借りたい」といった姿勢や「いくらまで借りられますか」といった質問は、資金使途が明確でないと見なされて審査に通らない要因となり得るので注意しましょう。

 

借入の審査が通りやすい5つの金融機関

借入の審査が通りやすい5つの金融機関

資金調達に奔走している経営者の方は、借入審査に通りやすい機関を見つけて融資の可能性を少しでも高めたいと思うでしょう。

借入審査に通りやすい機関などを5つご紹介します。

  1. 日本政策金融公庫
  2. 制度融資
  3. 信用金庫
  4. 商工会の融資
  5. ノンバンク

 

1. 日本政策金融公庫

創業融資など、これまで会社を経営した実績がない方でも資金調達しやすいのが「日本政策金融公庫」です。

日本政府が100%出資している金融機関で、起業家や中小企業を支援するための金融商品を多く提供しています。

あまり実績のない起業家や資金力が不足している中小企業であっても、審査の基準が緩く比較的融資を受けやすいでしょう。

とくに銀行や他の金融機関で融資を断られてしまった個人・企業でも資金調達ができる可能性があります。

ただし融資の申請から面談、審査、融資の実行まで1ヶ月から2ヶ月前後かかることもあるので注意が必要です。

 

2. 制度融資

借入審査が通りやすい別の方法は、「制度融資」です。

制度融資とは地方自治体が提供している融資のことで、地元で起業する個人事業主や地域密着型の中小企業の資金調達を支援しています。

地方自治体が提供する公的融資であるため、金利が低く設定され、審査にも通りやすいのが特徴です。

ただし日本政策金融公庫と同様、融資の実行まで3ヶ月前後と長い時間がかかることもあります。

制度融資を利用する場合には、十分前もって準備し申し込むことが重要です。

 

3. 信用金庫

地域に密着した融資を行っている点で、地域の「信用金庫」も借入審査が通りやすいといえます。

信用金庫の営業地域内で企業活動を行っていること、出資して信用金庫の会員になっていることが融資を申し込む条件です。

信用金庫は地域内の中小企業を支援する目的で設立されているため、資金繰りが苦しくなったときには相談に乗ってもらえますし、銀行で融資を断られても信用金庫であれば融資を受けられることもあります。

ただし信用金庫の融資も実行まで2ヶ月から3ヶ月かかることが多いので、前もって融資を申請する時期を考慮する必要があるでしょう。

 

4. 商工会の融資

商工会」は全国に約1,700もある組織で、主に中小企業を支援するための活動を行っています。

商工会では中小企業を対象にした融資を行っており、一定条件を満たすことで審査に通りやすくなります。

たとえば商工会・商工会議所が提供している「マル経融資制度」では、低金利、保証人・担保不要で最大2,000万円の融資が受けられます。

ただし最近1年以上、商工会議所地区内で事業を行っていることや商工会の指導を6ヶ月以上受けていることなどの条件があります。

銀行などの金融機関と比較すると審査に通りやすく、しかも低金利なので資金調達にはぴったりの方法です。

ただし商工会からの指導を最低でも6ヶ月受けなければならないので、融資の申し込みや実行までかなりの時間がかかります。

 

5. ノンバンク

金融機関ではなく、「ビジネスローンなどを専門に扱っている会社」も審査に通りやすい選択肢の1つです。

審査に通りやすいだけでなく、審査が速いのも大きな特徴です。

現在借入がない、これまで金融事故を起こしてないといった条件を満たせば、最短で即日融資してもらえます。

すぐに資金調達したい場合には便利な方法ですが、他の選択肢と比較して金利が非常に高いのがデメリットです。

金利が高くなれば返済額も大きくなるので、ノンバンクを利用する場合には必要最低限の金額を短期間で借りるよう心がけましょう。

 

資金調達のための借入審査に必要なものや書類

銀行融資で必要な書類

資金調達の借入審査では、金融機関などに書類を提出しなければなりません。

提出書類に不備があると、審査が遅くなったり通らなかったりするので注意が必要です。

資金調達の借入審査で必要となる主な書類を5つ見ていきましょう。

  1. 借入申込書
  2. 事業計画書
  3. 資金繰り表(計画書)
  4. 履歴事項全部証明書
  5. 自己資金を証明する預金通帳のコピーなど

 

1. 借入申込書

資金調達の借入審査では、まず借入申込書が必要となります。

融資を申し込む旨が記載され、申請者の名前、借入の希望日、資金使途、返済期間や返済日などが明記されていなければなりません。

 

金融機関の場合、ホームページからダウンロードも可能です。

 

2. 事業計画書

事業内容が細かく書かれた書類です。

融資担当者は事業の内容はもちろん、どの程度の売り上げや利益が見込めるのか、将来性のある事業なのか、融資しても返済が滞ることはないかをチェックしたいと思っています。

 

事業計画書によって企業や事業に将来性があると判断されれば、審査に通りやすくなるでしょう。

さらに細かな事業計画書を提出すれば、融資担当者が疑問に思う点が少なくなるので審査のスピードアップが期待できます。

 

3. 資金繰り計画書

資金繰り計画書は必須というわけではありませんが、審査を有利にするのに提出しておいた方がよい書類です。

今後の売り上げや利益、支出が記載されているだけでなく、どのような根拠に基づいてその数値が算出されているのかを示す書類です。

 

事業計画書と資金繰り計画書を一緒に提出することで、融資担当者の不安を軽減し、事業計画がしっかり練られていることをアピールできます。

 

4. 履歴事項全部証明書

資金調達のための融資を法人として申し込む場合、履歴事項全部証明書が必要です。

会社の名称や本店の所在地、代表者の氏名などが記載されています。

 

法務局に行って直接申請したり、インターネットを利用して申請したりできます。

 

5. 自己資金を証明する預金通帳のコピーなど

資金調達のための借入審査では、自己資金の有無が融資の可否を大きく左右します。

預金通帳のコピーを提出して、ある程度の自己資金があることを証明しなければなりません。

 

預金通帳のコピー以外にも、有価証券や固定資産税の領収書なども、自己資金や不動産を所有していることを証明できる書類です。

 

借入審査時の注意点

借入審査時の注意点

資金調達のための借入審査では、いくつか注意すべき点があります。

スムーズに審査に通るために、2つの注意点を意識しておきましょう。

  1. 見せ金は絶対にNG
  2. 事業計画書は内容を理解しておく

 

1. 見せ金は審査に通らない

借入審査では自己資金の有無が重要です。

そのため審査を申し込む直前に家族や親せきから多額の資金を一時的に貸してもらい、通帳の残高を多く見せる方がいます。

 

これは「見せ金」と呼ばれ、審査に通りにくくなる要因となります。

毎月コツコツ貯金した自己資金があれば好印象ですが、いきなり預金残高が増えた場合には「見せ金」と見なされるでしょう。

 

もし誰かから多額の支援を受けた場合には、それを証明できる書類も併せて提出しましょう。

 

2. 事業計画書に精通しておく

資金調達の借入審査では、事業計画書も非常に重要な要素になります。

経営者が事業計画書に精通していないと、融資担当者の印象は非常に悪くなります。

事業計画書は税理士や中小企業診断士などが作成するとしても、面談に備えて事業計画書の内容はしっかり把握しておきましょう。

事業計画書の内容と矛盾する回答をしてしまうと、審査に通りにくくなってしまいます。

 

資金調達の借入審査に通るため、プロに助けを求めよう

資金調達(融資)のプロ人材

資金調達の借入審査にはさまざまな準備や必要書類があります。経営者の方が、本業をしながら資金調達の借入審査の準備を行うのは大変でしょう。

そこで資金調達で豊富な実績を持つプロの助けを借りるのは賢い方法です。

借入審査に必要な事業計画書や資金繰り計画書などの作成も代行してくれるので、資金調達の負担を大幅に軽減できるでしょう。

 

【まとめ】資金調達の借入審査基準を知って入念な準備を

資金調達の借入審査には基準があり、審査に通りやすくするためのポイントもあります。

中小企業の資金調達プロ.com」では審査に必要な書類の作成代行はもちろん、面談の同席や代行、専門的な情報収集などを行っています。

審査に通るかどうか不安な方は、プロの助けを借りてスムーズに資金調達をしましょう。