資金調達している経営者であれば、今ある借入を一本化することを検討できます。資金調達と借入の一本化には深い関係があり、大きなメリットがあります。
各銀行から借入した事業融資の、金利や返済額の負担が重くなってきた…
複数銀行から借入をしているため、返済管理や事務作業が煩雑になってきた…
著者プロフィール
- 資金調達コンサル会社「(株)融資代行プロ」創業者
- 財務・資金繰りコンサルティング「御社の社外CFO」創業者
- 経営コンサル会社「(株)Pro-D-use」創業者
- 中小企業の融資・補助金など資金調達支援の実績多数
これまでの支援実績
個人事業主 / 創業後スグの1人法人 / 売上300億の法人 等
資金調達額「100万円」〜「5億円」
あらゆる業界の資金調達 / 財務・資金繰りコンサル実績
こんな疑問や悩みを持つ中小企業やベンチャー企業の経営者の方は、この記事を読むことで、
- 借入を一本化するメリットとデメリット
- 審査に合格するためのポイント
- 借入の一本化には融資のプロの力を借りると良いこと
が理解できるので、通常は難易度の高い借入一本化をスムーズに行えるようになりますよ。
「日本政策金融公庫」や「銀行」、「信用金庫」、「商工中金」からの資金調達は、知識・経験なく「何となく」で進めると必ず失敗します。資金調達の成功には、金融機関の幅広い知見と一定のノウハウが欠かせません。
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資金調達で借入を一本化する4つのメリット
返済額を減らし、さらなる借入を可能にするためにも、資金調達で借入を一本化するメリットを詳しく知っておくべきです。
借入の一本化によるメリット4つを見ていきましょう。
メリット1. 毎月の返済額が減る(資金繰りが楽になる)
資金調達で借入を一本化する最初のメリットは、毎月の返済額を減らせる点です。
金融機関からの融資は、借入金額が大きくなればなるほど金利が低く設定されています。複数の金融機関や消費者金融から少額の融資を受けるよりも、借入を一本化して1社から多額の融資を受けたほうが月々の返済額は減るでしょう。
たとえばある企業がA社から2,000万円、B社から2,000万円、C社から3,000万円、合計7,000万円の借入をしているとしましょう。
月々の返済額はA社が20万円、B社が25万円、C社が40万円の合計85万円であるとします。
A社 | B社 | C社 | 合計 | |
借入額(万円) | 2,000 | 2,000 | 3,000 | 7,000 |
返済額(万円) | 20 | 25 | 40 | 85 |
しかしこれをD社で一本化し7,000万円の借入にすれば、下の表にあるように最初の3社よりも低い金利が適用され、借入総額は変わらなくても毎月の返済額を85万円以下にできるかもしれません。
D社 | |
借入額(万円) | 7,000 |
返済額(万円) | 70 |
これはあくまで例ですが、返済期間を延ばすことができれば、毎月の返済額をさらに減らし資金繰りをより容易にできるでしょう。
業績や返済計画によっては、毎月の返済額は現在と同じ85万円のままで、さらにD社から借入を行うこともできるかもしれません。
資金調達で借入を一本化すれば、返済の負担を減らし、さらなる資金調達への道が開けます。
メリット2. 返済日の管理がしやすくなる
借入先を一本化することで、返済の管理がしやすくなります。
借入先が複数あると返済日を忘れてしまったり、口座に十分な残高を用意できなかったりするかもしれません。資金繰りをしつつ、複数ある返済日に十分な残高を確保しておくのは難しいと感じる経営者の方も少なくないでしょう。
そして万が一、残高の確認を忘れて返済が滞ると、信用情報に支払いの遅延が記録されて、将来予定している借入が難しくなる恐れがあります。円滑な資金調達を行ううえで、複数の借入先があるのはリスクとなり得るのです。
もし資金調達による借入を一本化できれば、毎月1度の返済日に備えるだけで済みます。その日までに十分な残高を用意しておけばよいので、資金繰りが容易になるでしょう。
メリット3. さらなる借入がしやすくなる
資金調達で借入を一本化することで、さらなる借入がしやすくなるというメリットもあります。
金融機関は融資を実行するかどうかを決定する際、申請者の借入先の数をチェックします。もしすでに複数の企業から借入をしている場合、本当に返済可能かを懸念されるため審査に通りにくくなります。
金融機関としては、自社への返済が後回しにされるのを恐れて融資に慎重にならざるを得ないのです。
一方多額の借入であっても、借入先が1社であれば印象はまったく変わります。1社からの借入であれば返済計画も立てやすく、金融機関も安心して融資を実行することができます。
借入を整理したうえで、さらなる資金調達が可能になる場合もあるのです。
メリット4. 返済計画が立てやすくなる
借入を一本化しておけば、返済計画が立てやすいです。
複数の金融機関や貸金業者から借入を行っている場合、今の借入の総額がいくらなのか、今の返済額でいつ返済が終わるのかなどを把握するのが難しくなります。
結果として返済計画を立てられず、返済に窮してしまう企業も少なくありません。
借入を一本化すると、
- 現在の借入額
- 毎月の返済額
- 返済が終わる時期
- 返済総額
などを容易に把握できます。
売り上げが伸びてきたら毎月の返済額を増やして返済を早く終わらせたり、可能であれば繰り上げ返済を利用したりして返済総額を減らすこともできるでしょう。
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資金調達で借入を一本化する4つのデメリット
資金調達で借入を一本化することには多くのメリットがあります。しかし借入の一本化にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。
借入の一本化によるデメリット4つを見ていきましょう。
デメリット1. 借入総額は変わらない
借入を一本化したところで、借入総額が減るわけではありません。
たとえばA社から2,000万円、B社から2,000万円、C社から3,000万円と3社からの借入を一本化しても、7,000万円の借入があるという事実は変わらないのです。
毎月の返済額を調節したり、返済期間を延ばしたりすることは可能ですが、一本化によって借入額が減ることはないので注意しましょう。
デメリット2. 返済総額が増える恐れがある
借入の一本化によって、返済総額が増える危険性もあります。
借入を一本化して、毎月の返済額を変えなければ返済総額は増えません。しかし平成22年の貸金業改正により、 ”「一ヶ月の負担額」について、「借換後」の負担額が、「借換前」の負担 額を上回らないこと ”と定められているため、ほとんどの場合借入を一本化したあとは毎月の返済額が減ります。
[引用元]金融庁:改正貸金業法に関する内閣府令の改正の概要[PDF]
借入額が変わらず、毎月の返済額が減るため、返済期間が延びていく可能性が高くなります。返済期間が延びると支払う利息が増え、その結果、返済総額が増えることになるのです。
デメリット3. 審査に通るとは限らない
資金調達で借入を一本化したいと思っても、金融機関の審査に通らないことも考えられます。もし審査に通らなければ、一本化はできず別の方法での資金調達が必要となるでしょう。
借入の一本化では、1社から受ける融資の金額が大きくなります。金融機関側としても、返済能力に疑問がある場合には審査を厳しくしたり、より低い金額での融資を決定したりせざるを得ません。
資金調達で借入を一本化しようと思ってもうまくいかず、再度資金調達のための計画を練り直さなければならないということもあるでしょう。
デメリット4. 返済期間が長くなることがある
借入を一本化する際の4つ目のデメリットは、返済期間が長くなることです。借入を一本化すると、毎月の返済額を見直して無理のない範囲で返済ができます。
それ自体は大きなメリットですが、毎月の返済額を少なくしすぎると返済期間がかなり延びてしまいます。最初に借入を行ったときの想定よりも返済期間が大幅に延びると、その後の会社の業績に影響を与える恐れもあるでしょう。
借入の一本化を検討する場合には、毎月の返済額と返済期間のバランスが大切です。
借入を一本化するメリット・デメリット | |
メリット | デメリット |
毎月の返済額が減る可能性がある | 借入総額は変わらない |
返済日の管理がしやすくなる | 返済総額が増える恐れがある |
さらなる借入がしやすくなる | 審査に通るとは限らない |
返済計画が立てやすくなる | 返済期間が長くなることがある |
資金調達の借入を一本化する際の審査ポイント
資金調達の借入を一本化するためには、金融機関や貸金業者の審査に合格しなければなりません。借入を一本化する際の審査のポイントを3つ見ていきましょう。
関連記事>>>【ポイント解説】資金調達(借入)の審査基準や審査時の注意点
ポイント1. 融資額を明確にする
借入を一本化する審査に合格するための1つ目のポイントは、融資額を明確にすることです。
借入の際には、今どの金融機関や貸金業者からいくら借りているのかを経営者が明確に理解していなければなりません。金額の根拠となる書類などを提示して融資を申し込まなければ、金融機関を説得することは困難です。
たとえば現在の借入状況を示す書類や、これまでどのような返済を行ってきたかを示す記録が必要でしょう。
もし借入の一本化に必要な金額を経営者が理解していなかったり、なぜそれだけの融資額が必要なのかを明確に説明できなかったりすれば、金融機関の審査に通るのは難しくなります。
ポイント2. 入念な事業計画書や資金繰り計画書を作成する
借入を一本化する審査に合格するためには、事業計画書や資金繰り計画書を作成することは非常に重要なポイントです。
事業計画書で、今後どのように事業を展開していくかを示します。資金繰り計画書では、借入だけでなく今後予想される売り上げや支出を示します。
金融機関は、融資を申し込んだ企業の将来性や実績を評価して融資の可否を決定します。
とくに考慮されるのは以下のような点です。
- 今後事業がどのように成長する見込みがあるのか
- 借入を一本化して多額の融資を受けても返済が滞ることはないか
- 融資を実行したあとの資金繰りの目途は立っているのか
入念に準備された事業計画書や資金繰り計画書は、こうした金融機関の懸念を払拭するのに役立ちます。そして経営者の方が、事業計画書や資金繰り計画書に沿った説明を行えれば、より説得力が増します。
借入を一本化しても滞りなく返済が行えると納得してもらえれば、審査に通りやすくなるでしょう。
ポイント3. 可能なら担保・保証人をつける
借入を一本化したい理由が、会社の経営や資金繰りが厳しいなどの場合、金融機関からよい返事をもらえない恐れがあります。
そんなときには、担保や保証人をつけることで審査に通りやすくなるかもしれません。
現在では無担保・無保証人でも借入が行える金融機関も多くなりましたが、もし価値のある動産・不動産を持っていたり、保証人になってくれる人がいたりする場合には審査で有利になることがあります。
とくに以下のようなマイナス面があっても、価値の高い担保や高い返済能力を持つ保証人がいれば審査に通りやすくなるでしょう。
- 現在赤字経営である
- 売り上げが低い
- 利益がなかなか上がっていない
ただし原則としては借入を一本化する経営者や会社に資金があることが望ましいので、あまり担保や保証人に頼りすぎないことが重要です。
借り入れの一本化は、プロに相談するのがおすすめ
現在複数の金融機関や貸金業者から借入があり、一本化したいと考えている経営者の方は資金調達のプロにアドバイスを求めるのがよいでしょう。借り入れの一本化をプロに相談するのがよい理由を3つ取り上げます。
理由1. 豊富な経験による的確なアドバイス
まず資金調達のプロは、長年蓄積された経験による的確なアドバイスを行えます。
借入を一本化できるのか、別の資金調達方法のほうがより多くの資金を集められるのかといった情報も提供してくれることでしょう。
長年資金調達に携わってきたスペシャリストが在籍している場合もあるので、心強い味方になってくれるはずです。
理由2. 書類の作成代行、面接代行
一般的に経営者の方は、本業をこなしながら資金調達を行います。本業が忙しすぎて資金調達にまで手が回らないということもあるでしょう。
そんなときにプロに相談すれば、以下のような業務などを行ってくれます。
- 事業計画書や資金繰り計画書などの書類作成
- 金融機関との面接の日程調整
- 実際の面接への同伴
- 面接の代行
その結果、資金調達に時間や労力を奪われることなく、本業に集中することができるのです。
理由3. 短期間での融資実行が可能
資金繰りが厳しい経営者の方であれば、できるだけ早く借入を一本化したいと考えていることでしょう。
資金調達のプロに相談すれば、短期間で融資を受けるためのアドバイスを受けられます。
正確な書類作成、融資担当者からの質問に対するふさわしい回答、金融機関を納得させられる経営の改善策などにより、ご自分だけで借入を一本化するよりもかなり短い時間で資金調達が行えるでしょう。
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