借入金の返済方法には利益償還と資金繰り償還があると聞いたけど、違いは何だろう?
運転資金を長期借入金で調達し、資金繰り償還で返済している。なにか問題はあるのだろうか?
資金繰りの返済方法には利益償還と資金繰り償還があり、それぞれ、適した借入金の種類が異なります。一般的な返済方法と借入期間の組み合わせは下記になります。
返済方法 | 最適な借入期間 |
---|---|
利益償還 | 長期借入れ |
資金繰り償還 | 短期借入れ |
今回は、借入金の返済方法の違いと、資金繰り償還の懸念事項を解説します。
この記事を読めば、こんなことが実現できます
● 借入れ前から借入れ後まで、滞りなく返済するポイントが理解でき、安心して資金調達を行なえます。
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「利益償還」と「資金繰り償還」2つの返済方法について
「償還」とは、債務の返済を意味する言葉です。一口に借入金を返済するといっても、下記2つの方法が存在しています。
◆ 借入金返済の2つの方法
- 利益償還
事業の利益から返済する方法 - 資金繰り償還
売上など利益以外から返済する方法
それぞれ、詳しく解説します。
方法1. 利益償還
文字通り、会社の事業活動の利益から借入金の返済を行う方法です。通常、利益とは当期純利益を指します。
そのため、粗利益(売上総利益)や営業利益のように、人件費や販売管理費などの諸費用を含む状態ではなく、純粋な会社の儲けから返済できている状態を「利益償還」といいます。
資金繰りが利益償還でまかなえている状態であれば、健全な企業活動が行なえていると判断でき、銀行からも新規や追加の融資を受けやすい状態です。
方法2. 資金繰り償還
以下のように、会社の利益以外から借入金の返済を行なっている状態を「資金繰り償還」といいます。
- 売上から直接返済している
- 新たに資金を借入れて返済に回す
- ファクタリングによる返済
一時的な売上減少時や、短期借入金返済のために資金繰り償還を行うならさほど問題ではありません。しかし、売上の減少が続いているのに資金繰り償還に頼っているなら、資金繰りは先々において悪化をしていきます。
「利益償還」と「資金繰り償還」2つの違い
「利益償還」と「資金繰り償還」は返済方法が異なるだけでなく、どのような借入金の返済に向いているかにも違いがあります。
先に、両者の違いは以下のとおりです。
1. 利益償還 | 2. 資金繰り償還 | |
---|---|---|
返済方法 | 利益から返済する | 売上や追加の借入金から返済する |
適する借入金の種類 | 長期借入金 | 短期借入金 |
借入金の用途 | 設備資金など資産性のあるものに対する長期利用のため | 仕入や給与支払いなど、事業の継続のため(運転資金) |
それぞれの違いを解説します。
1.「利益償還」設備資金など長期借入金の返済
借入金の中でも、事業の発展のために借り入れる資金を設備資金といいます。代表的な設備資金は以下のとおりです。
- 土地、建物、車両運搬具の購入
- 製造機器や社内備品の購入
- 事業所や店舗の内装工事費用
- 賃貸物件の敷金・礼金支払い
- webサイトの作成など、無形資産の設置費用
資産性があるもののために、一時的に必要となる資金が設備資金です。特に、創業時は多額の設備資金が必要となるケースが多いでしょう。
高額の設備投資をする際は、長期で借入金を借入れて購入し、設備が生んだ利益に減価償却費を合わせて返済していくのが一般的です。
2.「資金繰り償還」:運転資金など短期借入金の返済
運転資金とは、事業を続けるにあたって継続して発生する資金のことです。代表的運転資金は以下のとおりです。
- 商品の仕入代金
- 人件費
- 広告宣伝費
- 家賃・光熱費などの維持管理費
- 税金
これらの支払いのために借り入れた資金は、資金繰り償還により返済するのが一般的です。
通常、運転資金は1年以内に期日が到来する短期借入れを指します。高額の運転資金が必要な企業では、満期に返済した後、銀行から同額の借入れを繰り返す結果、長期借入金と変わらない状態となっているケースもあります。
この場合、キャッシャをつなぐための借入れであり、運転資金は仕入商品の販売、売掛金の回収によりまかなえるため、売上の減少などがない限りは問題となりません。
しかし、年々売上が低下しているのに同額の運転資金を借入し続けているなら注意が必要です。この場合は、すでに資金繰りが悪化していると判断できるため、いずれ資金ショートを起こす恐れがあります。
「資金繰り償還」に偏るリスクと避ける方法
一般的に、資金繰り償還も収支のバランスが取れているならさほど問題とはなりません。しかし、長期借入れも資金繰り償還で返済するなど、偏っている状況では多くのリスクが生じます。
リスク1. 事業規模の縮小
売上があるうちはよいものの、業績が悪化した状態で資金繰り償還を続けていれば、資金繰りを圧迫します。縮小したキャッシュフローの一部から借入金の返済を続ければ、事業規模自体が縮小するのも時間の問題です。
短期ではなく、長期借入れを資金繰り償還でまかなっているなら、さらに厳しい状況となるでしょう。
リスク2. 借入金の増加
資金繰り償還を行なっても運転資金や借入金の返済に足りなければ、まずは経費削減や固定資産の売却などの措置が取られます。それでも不足するなら、外部から資金を調達するケースが多いでしょう。
そもそも運転資金が足りない状態で借入金を増やせば債務超過に陥るのは時間の問題です。また、銀行などから融資を受けられなければ、高金利の消費者金融などに頼ってしまうかもしれません。
そうなれば、元本だけでなく金利支払いも負担となります。
リスク3. 倒産の恐れ
手持ち資金が不足し(資金ショート)、借入金の返済額を自己資金でまかなえず、金融機関から借入れもできない状態となれば企業は倒産します。
特に、業績が徐々に悪化していると、状況に気付くのが遅れることもあるでしょう。その状態で資金繰り償還を続けていると、気が付けば資金ショートに陥っている恐れもあります。
以上のように、売上の減少と資金繰り償還が一体化すると、資金の枯渇を借入金によりまかなうも、最終的には借入れも困難になるため廃業以外手段がない状態に陥りかねません。
資金繰り表を作成し資金の出入りを管理しよう
上記のように、危機的な資金繰り償還に陥らないためにも、「資金繰り表」を作成し、企業が将来的に必要になる現金の流れを事前に把握することが大切です。
「資金繰り表」とは、過去や現在の資金の動きを元に、将来の一定期間、いくら資金が必要になるか把握するための管理表です。
同じ現金の流れの把握方法に、キャッシュフロー計算書があるものの現時点での現金の出入りを記録するのみのため、将来必要となる資金までは確認できません。
そのため、キャッシュフロー計算書とは別に資金繰り表を作成する必要があります。
資金繰り表に決まった作成方法はないものの、直近の収入と支出の実績を元に、3カ月程度先の収支予定を記載するのが一般的です。これにより、事前に必要となる資金額が把握できるため、資金繰りの悪化を事前に把握できます。
資金繰り表の簡単な作り方を学びたい方は、下記の記事をご参考ください。
また、継続的に資金が不足していると把握できれば、経営立て直しのために「御社の社外CFO」のような財務コンサルティングを受けるなどの対策も可能です。
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返済時に押さえておくべき4つのポイント
設備投資など事業を営む上で資金調達は必須の手続きです。しかし、借入金の返済負担が重いために、事業の継続が困難になってしまうケースも多々あります。
返済に困ることのないよう、事前に確認したいポイントを解説します。
ポイント1. 債務償還年数を把握する
債務償還年数とは、借入金を利益償還で完済するのに何年かかるか把握する方法です。端的にいえば会社の返済能力といってもよいでしょう。
債務償還年数は以下の式により計算できます。
債務償還年数 = 借入金 ÷(当期純利益 + 減価償却費)
業種・業界により異なるものの、上記が5年~10年以内であれば、健全な長期借入れと考えてよいでしょう。
逆に、10年を超えるようだと事業規模に対して過剰に借入れを行なっていると判断できます。
返済期間が長期であっても5年を完済の目安にすると、いざという時も対処しやすいでしょう。
ポイント2. 資金調達の際は据置期間を確認する
据置期間とは、利子のみの支払いでよく、元本返済を据え置いている期間のことです。
特に、日本政策金融公庫の創業融資などで見られる措置で、売上が伸びづらい最初の2年間などは、元本の支払いを猶予してもらえます。
資金調達では据置期間のある借入金を利用すれば、新規創業や経営改善などに資金を集中させる事が可能となります。
ポイント3. 運転資金を確保しておく
可能であれば3~6カ月分の運転資金を確保しておきましょう。ある程度まとまった運転資金があれば、得意先の貸し倒れなどがあった際も、事業を立て直しやすくなります。
大まかな運転資金は以下の方法で計算できます。
運転資金 = 売掛金 + 棚卸資産 − 買掛金
上記をベースに資金繰り表や決済サイトを確認し、どの程度の資金があれば何カ月事業を維持できるか確認しましょう。
ポイント4. リスケジュールの方法を確認しておく
資金繰りが悪化し、返済が困難になった際に取る方法としては、銀行のリスケジュールも有効です。リスケジュールとは、借入金の返済期間や金額など、返済条件の変更を指します。
リスケジュールを行うことで、一時的に資金繰りが改善し、事業の立て直しがしやすくなります。ただし、新規融資を受けづらくなるなどのデメリットがあるだけでなく、審査に必要な書類の準備も必要です。
過去と比べて、今はリスケジュールに対応してくれる金融機関が多く(95%以上は、対応してくれます)なってきましたが、何の戦略もなしにリスケジュールを打診することだけは止めましょう。
参考>> 金融庁「金融機関における貸付条件の変更等の状況について」
本来リスケジュールをする前には、リスケジュールをした後の経営・財務戦略がセットで実施をするべきなのです。
もし、戦略なしにリスケジュールを申し出ると、その後の銀行融資が出なくなるだけでなく、リスケ後も資金繰りが行き詰まり倒産することも大いにあり得ます。
リスケジュールが必要となってから慌てるのではなく、事前にメリット・デメリット・必要書類を確認しておくとよいでしょう。
借入金の種類に応じて利益償還と資金繰り償還を使い分けよう!
利益償還は会社の利益から、資金繰り償還は売上や追加の借入金から、それぞれ返済していく方法です。どちらが良い・悪いというものではなく、借入金の種類に応じて、適した方法で返済することが大切です。
中小企業の中には運転資金を長期借入金で調達し、資金繰り償還で返済するケースも多いでしょう。この方法も間違いではないものの、売上減少時は急激な資金繰りの悪化を招くなど、懸念事項が多い点には注意しましょう。
すでに資金繰りが厳しい方は、以下の記事もご参考ください。
また、もしもあなたが、
「資金繰りが厳しくなる予定だが、どうやって対処していけばいいのかわからない…」
という中小企業の経営者であれば、
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- 銀行など、金融機関の対応
- また、場合によってはリスケジュール支援
など幅広い財務支援をしてくれるので、「あなたは “資金繰り” や “財務不安” から解放」されますよ。
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