近年はクラウドファンディングやベンチャーキャピタルといった新しい形態の資金調達方法が登場し、ますます資金調達の多様性と複雑化が進みました。

しかし、資金調達の種類が増えたからといって、必ずしも資金調達が成功するわけではありません。

まずは「どんなとき、資金調達が失敗するのか」というパターンを理解し、今一度、あなたの会社の事業計画や会社のあり方を見直してみましょう。

そこで今回は、資金調達が失敗する原因を5つのパターンで紹介します。

この記事を読むことで、事前に、資金調達が失敗するパターンがわかり対策が打てるようになります

それでは早速、みていきましょう。

 

資金調達が失敗するパターン①【事業に問題があるケース】

資金調達が失敗する原因はひとつではありません。業績がよい会社でも資金調達に失敗するパターンも多々あるものです。

ここでは、資金調達失敗の理由が「事業」そのものにあるケースについて考察します。

 

1.  返済財源がない

まず最も多い資金調達失敗パターンのひとつが、会社に返済財源がないケースです。返済財源とは、融資を受けたあと銀行に返済に充当するための資金です。

融資面談などでは、必ず「返済財源はどうなっていますか」など尋ねられるので注意しましょう。銀行が最も重視するのは「キャッシュフローで黒字を確保できているか」、つまり「返済能力があるかどうか」という点です。

ここで「返済能力がない」と見なされれば、融資を受けるのは不可能です。

 

2. 自己資金・資本金が少ない

自己資金や資本金が少ない場合も、資金調達が難しくなります。

自己資金を遙かに上回る金額を借り入れた場合、自己資本率の低下は免れません。会社の事業が安定しないため、トラブルがあればすぐに資金繰りが難しくなるのは目に見えています。

また、負債が多くある場合も自己資本率は低下します。この場合見かけ上の自己資金や資本金が多くても、融資を断られる可能性はあるでしょう。

なかでもとくに注意したいのは起業時です。会社のスタートから自己資本率が低いと、金融機関からは敬遠されます。起業時に資金調達が必要な場合は、最低でも起業資金の「30%」は確保しておくことが望ましいでしょう。

 

3. 事業目的があいまい

登記簿に記載された「事業目的」があいまいだと、融資を渋られるケースがあります。

事業目的は外部から「その会社が何をしているか」を明確に分かるようにするものです。株式会社や合同会社を設立するときは、事業目的を定款に記載せねばなりません。

資金調達をしようとするとき、金融機関は当然ながら事業目的をチェックします。このとき事業目的があいまいだったり事業内容が見えにくかったりすると警戒されます。

たとえば、事業目的に「飲食店の経営」「スポーツクラブ経営」など内容がかけ離れたものが併記されていると、会社の経営実態を疑われるかもしれません。

事業の内容と関連性について細かく追求され、うまく答えられない場合は資金調達に失敗する可能性が高まります。

 

資金調達が失敗するパターン② 事業計画に問題があるケース】

資金調達では、各機関から必ず「事業計画書」の提出を求められます。これは会社の事業計画を明らかにし、今後の事業展開の指針となる資料といえます。

融資の審査では非常に重要なものだけに、問題があればすぐに融資を断られてしまうかもしれません。

事業計画や事業計画書が原因で資金調達を失敗するケースについて紹介します。

 

1. 事業計画書のクオリティが低い

金融機関は、提出された事業計画書によって「会社の将来性」「現状、周辺の状況」を測ります。このとき事業計画書のクオリティが低ければ、現状よりも「悪い」という判断をくだされる恐れがあります。

まず、以下のような事業計画書は忌避されるので注意しましょう。

  • 内容が大雑把
  • 全体を通して整合性がとれていない
  • 競合について一切触れない

とくに注意したいのが「競合について」です。

ここに一切触れない会社は、「自社を取り巻くマーケットの状況が理解できていない」とみなされる可能性があります。結果として「融資するには高リスクな会社」と判断され、資金調達は困難になるでしょう。

 

2. 事業内容に堅実性がない・信憑性がない

金融機関は確実に返済してくれる会社に融資したいと考えています。

事業計画書に提示した数字が突拍子もないものだと、計画書そのものの信憑性が低下します。金融機関から警戒され、資金調達は失敗するでしょう。

たとえばよくあるのが、目標達成値などで実現不可能な計画や売上高を提示することです。実態の予測に基づかない「ただの希望」のような事業計画書では、金融機関も納得しません。

金融機関に信頼されるには、現実とエビデンスに基づいた丁寧な事業計画書が必要です。

 

3. 資金使途が不適切

資金使途とは、融資を受けたお金の使い道です。これが適切でないとみなされた場合も、資金調達は失敗します。

一般的に金融機関が融資してくれるのは、ポジティブな目的に対してです。例えば、「設備投資のため」などは好意的に受け止められるでしょう。

一方で「赤字補填のため」であれば、融資を受けることかなり厳しくなるでしょう。赤字のための融資は回収が不可能と見込まれるためです。

たとえ黒字を出している会社でも、借り入れが増えている場合は赤字補填を疑われる可能性があります。資金繰り計画表などを提示して積極的に説明しなければ、融資は断られるかもしれません。

ただし、資金調達を成功させたいからといって資金使途で嘘をつくのは厳禁です。ばれれば確実に融資は受けられない上、すでに融資を受けたあとであれば一括返済を求められるケースもあります。

 

資金調達が失敗するパターン③【会社に問題があるケース】

会社そのものに問題があれば、経営状態の如何に関わらず資金調達は失敗しやすくなります。ど

のような会社に対して金融機関は「融資したくない」と判断するのでしょうか。会社の問題によって資金調達が失敗するパターンを紹介します。

 

1.  債務者区分の格付けが低い

金融機関は金融庁から示されている信用格付けに基づいた「債務者区分」を参考に融資先の会社を格付けしています。このとき会社の格付けが高ければ希望通り融資を受けられる可能性は高いでしょう。

しかし格付けが低い場合は、融資を受けられない可能性の方が高くなります。また、融資を受けられたとしても条件が悪かったり、金額を下げられたりなどするでしょう。

金融庁の債務者区分は次の6つに分類されています。

  • 正常先
  • 要注意先
  • 要管理先
  • 破綻懸念先
  • 実質破綻先
  • 破綻先

これで「正常先」に区分されていない場合は、資金調達は厳しくなると考えられます。

 

2. 経理担当者が経理を把握できていない

会社の規模によっては経理専門の社員がおらず、「事務員さん」が庶務から経理まで行っているケースがあります。そして、事務員さんが片手間に経理をやっているような会社は、経理の管理がずさんになりがちです。

経理が分かっていない社員では、金融機関に質問されたり資料の提出を求められたりしたとき、適切に応対するのは困難でしょう。

的外れな返答や資料の不提出が続けば、金融機関も会社の経理・経営に不安を覚えます。これは資金調達を行ううえで、かなり大きなマイナス要因となります。

 

3.  社長が経理に無頓着

こちらも事務員さんのケースと同様に、金融機関からの不信感を買いやすいパターンです。

決算書や資産表の説明を求められても、社長が経理に無頓着であれば返答のしようがありません。融資希望金額も「だいたい○○百万円くらい」などあいまいなことが多く、計画性や必要性がありません。

金融機関は「社長が経営に興味がない」とみなし、融資に不利に働くケースがあります。

 

資金調達が失敗するパターン④【金融機関の判断・事情によるケース】

事業計画や決算書などが適切でも、金融機関の判断や事情によって資金調達が失敗することもあります。どのようなときに融資が受けられなくなるのでしょうか。

金融機関の判断や事情によって資金調達が氏敗するパターンを紹介します。

 

1. 金融機関の与信限度額をオーバーしている

金融機関は、融資先の倒産に備えるため、総融資額に上限を設けていることがほとんどです。これが「与信限度額」といわれるもので、上限を超える金額は融資されません。

すでにたくさんの融資を受けており、追加融資を断られたケースでは与信限度額オーバーが疑われるでしょう。

与信限度額は、金融機関がその会社をどのくらい信用しているかによって異なります。信頼が大きければ与信限度額は高く、信頼されていないなら限度額は低くなるということです。

与信限度額を決めるための「与信評価基準」の主な評価内容は、次の2点と考えられます。

  • 財務評価項目(自己資本比率、負債を整理したときに手元に残る資産、利益状況など)
  • 非財務的評価項目(事業歴、業界の見通し、資金繰りの安定余力、代表者の経営能力、担保保全状況など)

両者をそれぞれ採点し、合計した点数で与信評価が下されます。

 

2. 前回の融資から日が浅い

立て続けの融資は、失敗する可能性が高いといえます。

融資の際に明言されるわけではありませんが、1回目の融資から1カ月もたたずに融資を依頼しても、経営状況云々をいうまでもなく却下されます。

また、融資から日を空けたとしても、「100回払いであと80回返済が残っている」という場合は融資を受けるのは難しいでしょう。

とはいえ、「何カ月空ければOKか」という明確な基準はありません。どうしても「資金調達が必要である」という前向きな理由があるのなら、担当者に相談すると何とかなる可能性はあります。

 

3. 金融機関都合

融資希望者にまったく問題がなくても、銀行の都合で融資を断られることがあります。

たとえば融資を依頼する事業者が不動産事業を営んでいたとします。

このとき金融機関の融資先がすでに不動産事業に偏り過ぎていた場合、金融機関は不動産事業への融資を認めないでしょう。これ以上不動産事業に融資すると、貸出先の比率バランスが悪化するためです。

これは融資を希望する事業者に非はありません。あくまでも金融機関側の問題です。

とくに明確な理由なく資金調達を断られた場合は、金融機関側の問題である可能性は高いでしょう。

 

起業時の創業融資で失敗するパターン⑤【面談時の失態】

日本政策金融公庫などで創業融資を受ける際は、担当者との面談があります。

適切に受け答えできれば資金調達のハードルは高くないといわれますが、なかには失敗してしまう人も散見されます。創業融資の面談で失敗しやすいのはどのようなケースなのでしょうか。

 

1. 「いくらなら借りられますか?」と聞いてしまう

面談のとき、絶対言って(聞いて)はならないのが「いくらなら借りられるか?」という問いです。

これは「借りられるならいくらでも借りたい」「できるだけたくさん借りたい」といった無計画な印象を与えます。

もちろん、そのような意図はなく「借りられる金額を知りたい」という人もいるでしょう。しかし融資を受けようと面談に望むときは、「○○万円借りたいです」と言い切った方が印象はよく、資金調達が成功する可能性は高くなるのです。

 

2.  創業計画書以外のことまで話す

ついついその場のノリで創業計画書に書かれていないことまで口にする人がいます。

このとき、創業計画書と矛盾したことを言うと「その場のノリでいい加減なことを言う人」という印象を持たれます。これは融資を受けるうえで大きなマイナスです。

面談担当者への質問には、わかりやすく簡潔に答えれば問題ありません。場を盛り上げようなどと思わず、不要なことは口にしないのが一番です。

 

3. 卑屈になる・口論する

面談で緊張するあまり、自らマイナスポイントをアピールしてしまう人もいます。

審査に不安があるとしても、聞かれていないこと・創業計画書に記載していないことを口に出す必要はありません。弱気な態度が減点の対象となる可能性もあると心得ましょう。

また、ときに担当者が意地悪な質問をしてくることもあるかもしれません。このようなときはムキにならず穏便に流しましょう。的外れな質問には感情的にならず、冷静に淡々と対応するのがベターです。

 

【まとめ】資金調達で失敗しないコツを理解しよう

資金調達に失敗する理由はさまざまです。すでに失敗を経験した人は、どこが悪かったのか今一度検証してみると、再度申請するときに有益になるでしょう。

基本的に金融機関が重視するのは「返済能力」「返済できなかった場合の回収方法」です。事業計画書や決算書などをきちんと作成して理解しておけば、資金調達が失敗する可能性はグッと抑えることができるでしょう。

今回紹介した失敗原因のほかにも、資金調達が失敗するケースはあります。改めて自社の問題点を洗い出し、改善に乗り出すことをおすすめします。

ただし「確実に資金調達したい」という場合は、専門業者に依頼するのがベターです。専門業者なら事業計画書(経営計画書)、計算書、資金繰り表などを作成代行してくれるほかたくさんの有益なアドバイスを受けられます。

私たち「中小企業の資金調達プロ.com」でも、融資の専門家が無料で相談に乗ってくれますので、まずはお気軽にお問い合わせください。