【エリート集団/商工中金】融資審査が厳しい理由とコツを「資金調達のプロ」が解説

商工中金からの融資を検討している方、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?

商工中金融資って、他の銀行融資と審査基準や金利など、何が違うの?審査は厳しいって聞いたけど、信頼できる金融機関なの?

商工中金から融資を受けるのって、どれくらい厳しいの…?どういう条件があるのか、また、必要な書類はなんだろう?

商工中金融資って、オンラインで申し込みできるの?それとも窓口訪問が必要なの?小規模企業でも大丈夫?

商工中金とは、株式会社商工組合中央金庫の略称で、預金口座取引・融資活動をおこなっている金融機関です。商工中金の融資は、あらゆる金融機関の中でトップクラスの品質です。(筆者が現場で支援している体感値)

商工中金は優秀な担当者が多く、かつ融資は多額(少なくとも5,000万円以上の融資)であることから、中堅以上の法人が融資対象となります。また、審査は厳しい(適正)と言われており、いい加減な会社では融資が通らないことでも有名です。

一方で、そんな審査の難しい商工中金から融資を受けていると、他の金融機関からの融資が引き出しやすくなることはあまり知られてはいません。

なぜなら、他の金融機関からも商工中金は一目置かれており、「商工中金が融資するなら、ウチも融資したい!」という呼水機能が備わるからです。

私は「中小企業の融資代行プロ」という、資金調達・財務コンサルサービスで、これまでたくさんの経営者の資金調達をご支援してきました。

記事の筆者
「岡島光太郎」の写真

著者プロフィール

  • 資金調達コンサル会社「(株)融資代行プロ」創業者
  • 財務・資金繰りコンサルティング「御社の社外CFO」創業者
  • 経営コンサル会社「(株)Pro-D-use」創業者
  • 中小企業の融資・補助金など資金調達支援の実績多数

これまでの支援実績
個人事業主 / 創業後スグの1人法人 / 売上300億の法人
資金調達額「100万円」〜「5億円」
幅広い会社規模で、資金調達 / 財務・資金繰りコンサルを経験

本記事では商工中金の融資制度について解説します。

商工中金には様々な融資が用意されており、幅広い用途で利用できる一般的な融資や、限定された業種や用途に向けたローンがいくつも設けられているので、自社に合った資金調達を見つけるヒントにしてください。

結論、商工中金で融資を受けるには、信用力が重要です。そのため、できるだけ担当者としっかりと話し合って、信頼関係を構築していきましょう。

目次

商工中金の審査の難易度は「高い」

商工中金の審査の難易度については、審査基準が明らかになっていません。

ただし、筆者が資金調達の支援を現場でしている感覚では、商工中金の審査難易度は「高い」です。また、保証協会を使わないプロパー融資が基本となります。

商工中金は、政府関係の金融機関で、中小企業の経営を支援するために設立された経緯がありますが、融資対象としている会社規模が中堅企業以上です。そのため、それなりの財務状態ではないと融資を受けることは難しいでしょう。

取引の目安としては年商が「最低でも5億円前後」、理想的な年商規模は「10億〜50億円前後であれば商工中金の取引先としては適格といえます。

また商工中金は「粉飾決算にとても厳しい」ことで有名です。そのため、いい加減な会社では融資が通らないのです。

そのため、創立直後の法人の、もしくは個人事業主においては、返済能力や収支状況などの把握が難しいため、なおさら審査落ちする可能性が高くなります。

重要トピック

商工中金の融資の特徴は、担当者の権限が大きいことです。そのため、商工中金の審査難易度を理解するためには、他金融機関と商工中金の担当者の違いを理解することがとても重要です。

◆ 商工中金の融資担当者の特徴

  • 担当者「1人当たり」の融資残高200億円前後
    →地銀・信金の「支店」の融資残高に匹敵
  • 支店長より、担当者の決裁権限が大きい
    →地銀・信金は、最終決裁者は支店長
  • 決算書を見る力がダントツ
    →全ての金融機関の中で、決算書に1番精通している
  • 異動は4~5年に1度のため、じっくり向き合ってくれる
    →地銀・信金の異動頻度は、2年ほど

上記の通り、他金融機関とは「背負っているノルマ」「権限」「スキル」「支援姿勢」が違うため、商工中金と取引をしたい経営者は普段よりも一層、気を引き締めて資金調達の準備をすることが重要です

多種多様なローンから選択可能

後ほど「商工中金の融資制度の種類は、とても多彩で魅力的(選択肢が多い)」でも解説しますが、商工中金は、一般的な融資の他にも、多種多様なローンから選択できます。

他の金融機関や一般的な融資に申し込むのが難しいケースは、一度担当者に相談して、最適なローンを提案してもらいましょう。

「決算内容」と「経営者の経営能力」が重要

商工中金の融資では、事業計画書決算書の内容、また、経営者の経営能力がとても重視されます

商工中金の担当者は、一人で多額の融資ノルマと決裁権を持っているため、たくさん貸し出しができる会社を好みます。つまり、多額の資金が必要である優秀な会社(経営者)を顧客にしたいと思っているのです

逆に言うと、担当者に大きな融資権限が与えられているため、数億単位の融資案件であれば担当者が即決できますし、経営者の能力が高いと判断されれば、多少財務内容が悪くても「ポンっ」と融資が出ることもあるのです。

そういう意味では、商工中金は他の金融機関とは少し違い、深いお付き合いをしておくことで、急な資金ニーズを支援してもらえる強力なパートナーとなることが期待できます。

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商工中金の融資対象

商工中金の融資対象は、主に「1. 商工中金の株主」「2. 中小〜中堅企業」「3. スタートアップ」の3つに分類されます。

それぞれについて、簡単に解説します。

融資対象1. 商工中金の株主(およびその構成員)

商工中金の融資対象となるのは、商工中金の株主となっている中小企業団体その構成員のみを対象としています。

具体的には、以下の団体に加入する手続きをする必要があります。

  • 中小企業等協同組合
    ▶️ 事業協同組合/事業協同小組合/火災共済協同組合/信用協同組合/協同組合連合会/企業組合
  • 協業組合
  • 商工組合/商工組合連合会
  • 商店街振興組合/商店街振興組合連合会
  • 生活衛生同業組合/生活衛生同業組合連合会/生活衛生同業小組合
  • 酒造組合/酒造組合連合会/酒造組合中央会
  • 酒販組合/酒販組合連合会/酒販組合中央会
  • 内航海運組合/内航海運組合連合会
  • 輸出組合/輸入組合
  • 市街地再開発組合

融資相談の段階では団体の構成員にある必要はありませんが、契約する際は担当者との信頼関係が重要になるため、構成員になる必要があります。

融資対象2. 中小〜中堅企業

商工中金の融資担当者は、多額の融資ノルマを抱えています。そのため、数百〜数千万円の融資ニーズには積極的ではありません。そのため、最小でも5,000万円の融資希望が必要です。

その上で、理想は融資希望1億以上の「中小〜中堅企業」が対象となるでしょう。

1億以上の融資希望の企業とは、年商「最低でも5億円前後」、理想的な年商規模は「10億〜50億円前後となります。

融資対象3. スタートアップ

中堅以上規模の企業に対して融資をおこなっている商工中金ですが、最近は、未来のあるスタートアップへの融資にも積極的です。

従来、商工中金のスタートアップ支援は各支店ごとで担当・審査判断をしていましたが、2024年度から本部に「スタートアップ営業部」という部署を新設するほど力を入れています。

参考 > 商工中金、スタートアップ支援で新部署 支店業務を集約(日経新聞)
参考 > 商工中金のスタートアップ支援の事例(商工中金HP)

ただ、前述の「商工中金担当者の特徴」でも話した通り、商工中金の担当者(営業/渉外)はとても優秀です。

また、筆者が現場で資金調達をご支援している経験からいうと、商工中金の「スタートアップ営業部」に配属される担当者は、スタートアップの財務への目利きが重要なため、かなり鍛え抜かれたスタッフの可能性が非常に高いといえます。

そのため金融機関出身の経営者でない限り、スタートアップ経営者が、商工中金担当者からスムーズに融資を引き出すことは難しいです。

スタートアップ企業の経営者で、商工中金から融資を引き出したい場合には、社内で金融機関出身のCFOに支援をしてもらうか、もしくは、弊社のような資金調達の支援事業者に相談すべきでしょう

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商工中金の融資の申込方法

STEP
商工中金の本店・支店の窓口で相談

まずは最寄りの商工中金の本店・支店に足を運び、担当者に相談しましょう。この時に、決算書を3期分(印刷済)を持って相談に行くと具体的なアドバイスがもらえるかもしれません。

最寄りの店舗は、商工中金のホームページ「店舗一覧」からご覧になれます。

STEP
融資申込

具体的に融資を申し込む際には、申込書は必要ありません。会社案内決算書登記簿謄本事業計画書などの提出をおこないます。

また、融資実行前までには追加で資料提供を求められたり、追加ヒアリングもあります。一つ一つ、正確に、早く対応できるようにしましょう。(後回しにしないように注意)

STEP
融資審査

必要書類や情報が揃い次第、審査に入ります。

筆者の体感値では、地方銀行や信用金庫に比べると審査結果が出るのは早い傾向があります。(担当者が決裁権があるため

STEP
融資の実行

無事に審査に通過すると、融資実行のための契約手続きが始まります。

商工中金に口座を開設することから始まり、実際の融資資金の着金までスムーズに実行されるように、商工中金担当者に協力をしましょう。

参考>> 一般的な融資|商工中金

商工中金の融資制度の種類は、とても多彩で魅力的(選択肢が多い)

商工中金の融資制度の種類については、大きく分けて以下の5つがあります。

  • 一般的な融資
  • 国・地方公共団体の施策に基づく融資
  • 業界団体の融資
  • 組織化・組合共同事業支援のための融資
  • その他の融資

一般的な融資

項目内容
使途運転資金・設備資金
融資期間設備資金15年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金10年以内(うち据置期間2年以内)
担保・保証人状況に応じて必要
融資利率要相談
返済方法分割返済または期限一時返済

一般的な融資は、中小企業のさまざまなニーズに答えることができる融資です。長期運転資金や設備資金、短期運転資金などに使用できます。

一般的な金融機関よりも低金利で、1%台で融資を受けられます。

また、措置期間中の返済は、元金分の返済は必要なく利息分だけで良いので、資金繰りが大変な期間でも利用しやすい融資と言えます。

国・地方公共団体の施策に基づく融資

国・地方公共団体の施策に基づく融資とは、下記のような突発的な影響によって資金繰りが厳しい状態になっている中小企業を対象にしている融資です。

主な融資の種類内容
災害復旧資金地震などの災害被害を受けた事業者を対象とした危機対応融資
セーフティネット資金取引企業の倒産や金融機関との取引状況変化などから、資金繰りが悪化した方を対象にしている融資
創業・新事業進出支援
(イノベーション21)
新規に成長が見込める事業や創造に取り組む企業などを対象にしている融資
【例】新事業教育資金・IT活用促進資金・雇用促進資金・企業立地促進資金・再チャレンジ支援貸付
海外展開資金海外進出に必要な現地法人設立出資金や海外工場設立などの融資。
新事業活動促進資金新連携計画・経営革新計画・農商工等連携事業計画・地域産業資源活用事業計画・経営力向上計画・地域産業資源活用支援事業計画の認定を受ける方を対象に、当該事業を行うために必要な資金の融資。
ものづくり支援資金「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」の認定を受けた中小企業や小規模事業者に対して、研究開発や技術の高度化などにかかる資金の融資。

商工中金は全国各地に相談窓口を設置しており、気軽に相談ができます。

その他にも、海外展開資金や新事業活動促進資金ものづくり支援資金などの新事業に関わる融資を受けることも可能です。

業界団体の融資

業界団体の融資は、指定された業界の設備購入や運転資金などの資金調達が可能な融資です。

主な融資の種類内容
トラック近代化基金融資トラック協会から融資の推薦を受けたトラック運送業者が利用できる融資
通運事業近代化基金融資公益社団法人全国通運連盟から融資の推薦を受けた通運事業者が利用できる融資
バス事業に係る融資幹施及び利子補給事業日本バス協会から融資の推薦を受けたバス事業者が利用できる融資
自動車設備業エコ・ローン日本自動車整備商工組合連合会会員組合の自動車整備業者が利用できる融資
造船関係事業資金日本財団が指定する造船関係団体に加入している造船関係事業者が利用できる融資

一般的な融資に比べて審査が通りやすいため、当てはまる業界がないかどうか、あらかじめ確認をしておきましょう。

組織化・組合共同事業支援のための融資

組織化・組合共同事業支援のための融資は、組合共同事業や中小企業の組織化を支援しています。

主な融資の種類内容
協業化・共同化融資中小企業の組織化をサポートしている融資制度。
例として、商店街の近代化や店舗・工業の集団化などの高度化事業に対しての融資を実行する。
中央会推薦貸付商工中金と都道府県中小企業団体中央会の共通支援テーマに取り組む組合で、都道府県中小企業団体中央会から推薦を受けた方が利用できる融資。
【共通支援テーマ】
新設組合支援・ものづくり支援・地域資源活用支援・農商工連携・女性の社会進出・少子化対策支援・環境対策支援・BCP支援
組合特別貸付組合や組合員を通じて借り入れる中小企業の方に対する融資。
【例】年末・盆対策組合特別貸付年度末対策組合特別貸付

事業内容を問わずに融資を受けられるので、高度化事業や集団化を検討している中小企業におすすめの融資と言えます。

その他の融資

その他の融資は、市街地の再開発事業への融資や地方公共団体の制度融資、貸付の委託業務など幅広く行っています。

主な融資の種類内容
地方公共団体の制度融資経営安定・協業化・中小企業振興・中小企業組織化・地場産業助成・先端技術育成などを目的としている、地域公共団体の公金預託金を原資としている各種預託制度。
市街地再開発への融資市街地再開発事業に参加する中小企業や市街地再開発組合に対する融資。中小企業の店舗の合理化や近代化を目的としている。
受託代理貸付公庫・機構などからの委託による融資。一般の事業資金や高度化事業資金、特定事業者が融資対象。
受託代理貸付全国の信用組合を代理店した融資。事業経営に必要な長期運転資金や設備資金などとして利用が可能。

商工中金のノウハウから得たソフトウェアや計算業務を利用することで、より円滑な貸付を行うことが可能です。

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銀行・信金・商工中金や日本政策金融公庫からの資金調達は、知識・経験もなしに「なんとなく」で進めると必ず失敗します。資金調達には金融機関の幅広い知見が必要で、成功には一定のノウハウが欠かせません。

「中小企業の融資代行プロ」は、成果報酬型で資金調達を支援するコンサルティング(代行)サービスです。これまで500件以上の資金調達のご相談を受けて「100万円〜5億円」「多様な資金調達方法」など、数多くの実績をあげてきました。

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商工中金と「銀行」「日本政策金融公庫」との違い

融資業務だけを切り取れば、商工中金以外にも「銀行」や「日本政策金融公庫」といった選択肢もあるでしょう。

果たして、商工中金と銀行・日本政策金融公庫にはどんな違いがあるのでしょうか?

銀行(メガバンク、地方銀行、信用金庫など)との違いは、「個人融資の取り扱いの有無」

商工中金は、個人向けの融資をしていません。商工中金は、中小・中堅の法人や個人事業主に対して融資をすることが前提となっており、一般消費者である個人向けのサービスはほとんどありません。

一方で、メガバンクや地方銀行・信用金庫は一般消費者である個人向けにも融資商品を有していますし、その他の個人向けサービス(保険や証券など)を保有しています。

以上のことから、商工中金は「中小・中堅企業への融資や経営支援業務に特化した金融機関という側面があります。

また、商工中金は「事業性を評価した融資が強い」のも特徴です。つまり、決算書だけで判断せず、会社のビジネスモデルや経営者の素質などをしっかり評価した上で、融資をおこなってくれるのです。(ほとんどの銀行は、事業性評価ではなく決算書で融資をします)

例えば、過去の慣習に捉われない金融の仕組み構築を目指している「イネーブラー事業」を”実際に”大きく推進していることも、他の金融機関との差別化ポイントです。

参考>> 商工中金イネーブラー事業

商工中金の銀行員はかなり優秀な方が多く、かつ組織としてもかなり融資審査が難しいことで有名ですが、メイン銀行とできた場合の会社へのインパクトはそれを凌駕します。(極端な話、商工中金と取引があるだけで信用されたりします

そのため、融資業務や経営支援が強く磨き込まれており、他金融機関を寄せ付けないほどの質の高い人材・サービスを提供しているといえるでしょう。

また、地銀や信用金庫との大きな違いは、「商工中金は全国・世界に支店があること」です。全国展開をしているため、遠隔地の融資支援や全国展開や海外進出にも大きな力を発揮します。そのため「全国に拠点がある」、「全国・海外展開をする野望がある」経営者にとっては非常に心強い金融機関となり得ます。

日本政策金融公庫のとの違いは、「融資対象者」「融資限度額」「預金口座の有無」

日本政策金融公庫は、政府が100%出資の金融機関です。そのため、民間の金融機関が手を出しにくい「開業資金」「財務の傷んだ法人・個人事業主」などへの融資を行うことで、国内の創業・起業者を増やす目的があります。

商工中金は、既存の中小企業の短期・長期的な運転資金や設備投資のための資金を提供していますが、新規企業への融資は対象外です。

しかし、日本政策金融公庫の国民生活事業であれば、新規起業を含めた幅広い融資に対応しています。また、融資を受けるための要件を満たせば、保証人や担保不要の融資の取り扱いがあるので、比較的融資が受けやすいと言えます。

このように、開業資金や新規事業の起業、小規模事業者で運転資金を調達したいという場合には、日本政策金融公庫の利用がおすすめです。

ただし、日本政策金融公庫の国民生活事業では、規模の大きい融資は見込めません。その点、商工中金の融資上限は大きいため、事業規模が大きくなった中小・中堅企業は商工中金に頼ることになるでしょう。(商工中金の平均貸出額は1.2億円

参考> 商工中金 中期経営計画

機関名対象者融資上限
商工中金中小~中堅企業〜3億円
日本政策金融公庫
(国民生活事業)
創業・起業者
個人事業主
小規模企業者
〜3,000万円

また、商工中金と公庫で大きく違うのは「預金口座が持てるか否か」です(公庫は預金口座を持つことができません)。預金口座を持てることで、商工中金はあなたの会社の資金の流れを把握できるため、メイン銀行になることができ、かつ、スピーディーな融資、正確な融資が可能になるのです。

なお、日本政策金融公庫の「中小企業事業」という部署は、商工中金と同じく、中堅企業向けの融資を実施しています。商工中金と同じく、エリートが融資業務を担当するため審査は難しいですが、1億以上の融資を実行してくれることから、月商規模が数億円の会社にとっては頼れる存在になるでしょう。

商工中金は「融資をおこなう金融機関」で、正式名称は「(株)商工組合中央金庫」

商工中金とは、株式会社商工組合中央金庫の略称で預金業務や資金運用/融資/経営支援/海外進出支援を行っている金融機関です。

1936年に民間の中小企業団体と政府が共同出資を行い設立した「半官半民の金融機関」であり、2008年には協同組織金融機関により株式会社に転換されました。

正式名称株式会社商工組合中央金庫
(略称/商工中金)
パーパス企業の未来を支えていく。
日本を変化につよくする。
ミッション安心と豊かさを生みだすパートナーとして、
ともに考え、ともに創り、ともに変わりつづける。
金融機関コード0004
設立1936年10月8日
本店東京都中央区八重洲二丁目10番17号
資本金2,186億円(内政府保有株式1,016億円)
資金量預金:5兆6,434億円
譲渡性預金:7,141億円
債券:3兆5,127億円
貸出金9兆6,747億円
店舗数国内102/海外4
従業員数3,547人

設立から90年と歴史があるため、株式会社になってからはサービスの幅が広がり、資金調達や資金運用、経営サポートなど、経営者に嬉しいサービスを幅広く提供しています。

なお、2025年までには「完全民営化の金融機関」となる予定であり、ますますサービスの多様化が期待されています。

参考
商工中金改革について」:財務省
商工中金株、政府保有分2年で売却 民営化へ改正法成立」:日本経済新聞

商工中金の主な業務内容については、以下の4つが挙げられます。

  • 業務1. 預金業務や資金運用
  • 業務2. 資金調達(融資)
  • 業務3. 経営・事業の支援
  • 業務4. 海外進出の支援

それぞれの業務内容を紹介します。

業務1. 預金業務や資金運用

商工中金は、普通預金や当座預金、定期預金など一般的な金融機関と同様に各種預金を取り扱っています。

具体的な資金運用のサービスについては、以下があります。

  • 当座預金
  • 普通預金
  • 通知預金
  • 納税準備預金
  • 大口定期
  • 新型定期預金マイハーベスト
  • 譲渡性預金(NCD)
  • 外貨預金

インターネットバンキングにも対応しており、パソコンやスマホがあれば送金することが可能です。

また、あらかじめ指定した個人の預金口座から、各種代金など自動的に支払するサービスも行っているので、少しでも気になる方は窓口に相談するのをおすすめします。

業務2. 資金調達(融資)

あんしんワイド 個人事業主

商工中金は、中小企業の運転資金や設備資金などの資金調達を行っています。資金が必要な中小企業に対しても、手形割引など短期運転資金にも対応が可能です。

対応している資金調達サービスは下記の通りです。

  • 中小企業向け融資
  • シンジケートローン
  • ABL(動産・債権担保融資)
  • 私募債
  • 売掛債権の流動化

商工中金の株主である中小企業の組合やその組合員が対象となり、法人や個人事業主が対象です。そのため、個人への融資はおこなっていません。

業務3. 経営・事業のサポート

商工中金は、経営や事業に対して、多様なソリューションで総合的にサポートを行っています。

下記のような、資金の流れや商流などの流れに着目して、資金調達構造の改善をサポートしたり、コンサルティングや各種情報提供を行ったりしています。

  • 財務改善
  • 事業承継
  • ビジネスマッチング
  • 事業再生・経営改善

また、e-taxデータ受付サービスや電子記録債権などの事務効率化が可能です。

業務4. 海外進出のサポート

商工中金は、中小企業の事業活動を支援する総合金融金で、国際的なビジネスサポートも実施しています。

海外進出資金の融資や現地での資金調達の手伝い、海外の情報提供などの幅広いサポートを行っています。主なサポートは下記の通りです。

  • 外国為替業務
    輸出入の貿易決済・海外送金・先物為替予約等
  • 外国企業とのお取引に伴う入札保証、契約保証、前受金返還保証等
  • 海外進出資金の融資、現地法人の資金調達の支援
  • 海外の投資環境等の情報提供
  • 海外セミナー、海外中金会、海外交流会など

中国の上海やニューヨーク、ASEAN地域のバンコク、ジャカルタ、ホーチミン、マニラなどにも店舗を展開しており、現地で直接サポートを受けることも可能です。

商工中金の融資制度に関するよくある質問

商工中金の融資を受けられるのは、どんな人(会社)ですか?

商工中金の株主となっている中小企業団体と、その構成員が融資対象となります。詳しくは本記事の「商工中金の融資対象」を参照ください。

融資の申込窓口はどこですか?

全国に商工中金の支店があるため、そこで融資の申込が可能です。訪問時には、決算書(3期分)や会社説明資料などがあると、話が具体的に進めやすいでしょう。

その他、融資に必要な書類は下記の通りです。

  • 会社案内
  • 決算書3期分
  • 商業登記簿謄本
  • 見積書(設備資金の場合)
  • 事業計画書

なお、事業計画書については下記2点の注意点があります。

  • 銀行から事業計画書の提出求められたら「即提出
  • 提出を求められなければ、ギリギリまで出さない

銀行から事業計画書の提出を求められたら、すぐに提出できるようにしておきましょう

銀行は「会社経営するなら、事業計画書くらい作って当然」という考えです。そのため、事業計画書の提出を求められてから計画書を作り始めるのはNGです。銀行は、いつまで経っても計画書が出てこない会社を杜撰(ずさん)な会社」「いい加減な会社と認識し、融資審査のハードルが高くなります。

また逆に、事業計画書は求められない限りは提出しなくて構いません

そもそも、業績の良い会社ほど事業計画書の提出は求められません。しかし、良かれと思って先んじて事業計画書を提出してしまうと審査のスピードを遅らせる原因になります

なぜなら、提出されたら銀行も慎重に事業計画書を吟味する必要がありますし、吟味した結果、気になる箇所が大量に出てきた場合は、その説明や不安解消に時間がかかってしまうからです。

銀行融資の審査においては、資料1つの提出の仕方でも融資審査のスピードに雲泥の差が生まれます。もし事業計画書やその他資料の作成が不安であれば、ぜひ一度、財務コンサルティングサービス「御社の社外CFOの無料相談をご活用ください。

融資調査・検討はどのようなものですか?

申込資金の使途や事業見通しなどから融資の可否を判断しています。調査・検討にあたっては、会社案内、決算書類、商業登記簿謄本、事業計画の他、必要に応じ補足資料が必要になります。

書類や情報を求められたら、とにかく「早く」「正確に」情報提供することが融資審査を通るコツです。

融資を申し込める資金使途は、どんなものがありますか?

会社や事業運営に必要な資金を、融資対象としています。具体的には「運転資金」「設備資金」がメインターゲットです。

貸付期間(融資期間)は、どのくらいですか?

設備資金と運転資金で、貸付期間は変わります。商工中金のWebサイトでは下記の記述がございます。

  • 設備資金:15年以内(うち据置期間2年以内)
  • 運転資金:10年以内(うち据置期間2年以内)

なお、筆者が商工中金の融資支援をしている体感値では、設備資金は10年〜15年運転資金は7年以内が多い印象があります。

商工中金の融資には、担保や保証人は必要ですか?

結論、ケースバイケースで担保や保証人は要望されます

一般的に、融資金額や融資期間が大きくなればなるほど担保が要求されますし、保証人についてはに沿って要望されることがあります。

ただ、筆者が商工中金の融資支援をしていると感じるのは、地方銀行や信用金庫のように「担保・保証人ありきで融資する」という姿勢ではないので、財務内容や信頼関係によっては、通常の銀行よりも、無担保・無保証で融資を受けられる可能性は高いと感じます。(もちろん、優良顧客である必要がありますが)

商工中金の融資金利は、どれくらいですか?

商工中金の融資金利は、対外的には開示されておりません。

ただ、筆者がご支援をしている感覚ですと、商工中金の金利は地銀クラスのことが多いと感じます。(もちろん、会社の財務状態や、経営者のレベル、事業性など多方面が絡むので一概には言えませんが)

金利のイメージ

金利金融機関
低い

↕︎

高い
メガバンク
地方銀行
商工中金
日本政策金融公庫
信用金庫・信用組合
ビジネスローン

一方で、金利で商工中金とのお付き合いするしないを考えるのはあまり得策ではなく、商工中金から支援をしてもらえるコンサルティングや、その他財務支援を勘案した上で、お付き合いを決定されるのが良いかと思います。

商工中金は、金利以上の支援や気付き、サポートをしてくれることが多いので、金利は気にせずにお付き合いを始めるのが得策かと思います。

商工中金の融資制度について理解を深めよう!

今回は、商工中金の融資制度について知りたい方に向けて、商工中金の融資対象や商工中金の審査の難易度を紹介しました。

商工中金の融資制度の種類については、大きく分けて以下の5つがあります。

  • 一般的な融資
  • 国・地方公共団体の施策に基づく融資
  • 業界団体の融資
  • 組織化・組合共同事業支援のための融資
  • その他の融資

商工中金は、中中堅以上の会社が融資対象となるため、財務基盤がしっかりしている会社である必要があります。また、経営者の経営能力も吟味するため、一般的な金融機関よりも審査は難しいと言えます。

商工中金からの融資を検討しているが、1人では不安がある…

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