運転資金や設備投資などの目的で融資を受ける際、企業は貸し手(金融機関)との間で「毎月いくらずつ返済するか」「いつまでに完済するか」を明確に定めます。

無理なく返済できるスケジュールを設定するのが基本ですが、何らかの理由で返済が難しくなった場合、企業は貸し手にリスケ(返済計画の見直し)を申し出る必要があります。

リスケすれば現状に合わせた返済計画を立て直すことが可能です。

しかし、その間に新たな資金調達が必要となった場合、再び融資を受けることはできるのでしょうか。

この記事では、銀行融資のリスケ中に資金調達が可能かどうか、リスケ中にできる資金調達の方法など、リスケに関する気になる情報をまとめました。

 

リスケ中に銀行からの新規融資を受けることはできない

銀行の受付当初の返済計画を完遂できず、リスケを申し出るということは、資金繰りに困っている証拠でもあります。

リスケで当面の返済は可能になったものの、経営を上向かせるために新たな資金調達を必要とする企業も多いでしょう。

ただ、結論からいうと、リスケ中に銀行からの新規融資を受けることはできません。

そもそも貸し手(銀行)は、当初立てた計画通りにお金を返済することを前提条件として、企業に融資をしています。リスケするということは、企業側の都合で当初立てた計画を破棄することに他なりません。

貸し手としては、貸し倒れによる損害を被るくらいなら、多少計画を見直してでもお金を返済してもらいたいというのが本音ですので、最終的にはリスケに応じるところも多いですが、借り手(企業)の信用は当然下がってしまいます。

銀行は返済能力や返済可能性に応じて、借り手を、

  1. 「正常先」
  2. 「要注意先」
  3. 「破綻懸念先」
  4. 「実質破綻先」
  5. 「破綻先」

の5つに分ける債務者区分を行っています。

原則として、銀行は「正常先」にしか融資を行わないため、リスケによって要注意先以下に区分されてしまうと、新規融資を受け付けてもらえなくなります。

金融庁は「貸付条件の変更等の履歴があることをのみを理由に新規融資を拒絶することがないよう、金融機関に対する検査・監督で検証していきます」としており、リスケを行ったことそのものが今後の融資に影響を来す可能性は低いといえます。

ただ、やはりリスケ中は銀行側から新規融資を断られることが多いのも事実ですので、慎重に検討することが大切です。

 

そもそもリスケとは?リスケのメリット・デメリット

チェックとバツリスケ中は新たに銀行融資を受けるのは難しいと説明しましたが、そもそもリスケとはどんな目的で、どのように行うものなのでしょうか。

ここではリスケの概要と、リスケを行うメリット・デメリットについて解説します。

 

リスケとは、銀行融資の返済条件を変更すること

リスケとは、リスケジュール(reschedule)の略称で、直訳すると「予定や計画を見直すこと」を意味する言葉です。

銀行融資の場合は、主に返済条件や返済計画を見直すことで、一般的には返済期限を延ばす方向で調整を行います。

返済期限が延びると、必然的に月々の返済額が少なくなるので、返済の負担を軽減することができます。

金融機関にとっては、リスケに応じることで債権を回収するまでの期間が延びてしまうので、できれば応じたくないというのが本音です。

しかし、前述の通り、銀行にとって最も避けたいのは貸し倒れのリスクですので、現実には企業からリスケの申し出があった場合、前向きに検討するところが多いようです。

実際、金融庁がまとめた「金融機関における貸付条件の変更等の状況」によると、貸付条件の変更等の申込件数に占める実行件数の割合は9割を超える水準で推移しています。

リスケを申し込めばほとんどの確率で応じてもらえている現状が浮き彫りになっているといえるでしょう。

リスケの申込み自体は2010年をピークに減少しており、2018年4月~2019年3月の貸付条件の変更等の申込件数は約74万件です。

日本における中小企業の数は2016年時点で359万ですので、中小企業のおよそ2割がリスケを申し込んでいる計算になります。

リスケは資金繰りが悪化している企業が検討すべき手段のひとつとして広く浸透していますので、返済がどうしても難しくなった場合は銀行にリスケを相談し、経営の立て直しを図ってみましょう。

 

リスケを行うメリット

銀行融資でリスケを行う一番のメリットは、返済の負担が軽減されることです。

リスケの一般的な形は、一定期間(およそ半年~1年程度)、利息分のみ支払うというスタイルです。元金分の返済を行わないぶん、一時的とはいえ、資金繰りが大幅に改善します。

その間に経営を立て直せば、リスケ期間が終了しても、資金繰りに困る心配がなくなります。

また、リスケを行っている間は銀行側も法的な回収措置をとることはないので、強制回収による破綻・倒産のリスクを回避できるのもメリットのひとつです。

 

リスケを行うデメリット

一方、リスケを行うデメリットとしては、前述の通り、

  1. 新規に融資を申し込めないこと
  2. リスケ期間が短い

ことです。

リスケの期間は金融機関によって異なりますが、最長でも1年程度と短く、企業はその間に何とか財務状況を立て直さなくてはなりません。

1年後、金融機関との間で取り決めた計画の8割程度をクリアしていれば、再度の話し合いのもと、リスケ期間を延長してもらうことも可能です。

しかし、もし一定基準を下回っていた場合は、法的な回収措置をとられてしまう可能性があります。

リスケで一時的に返済負担が軽減されたからといって安心するのではなく、1年後までに確実に財務状況を立て直せるよう、経営を根本から見直し、改善していく手立てを講じることが大切です。

 

リスケ中にできる資金調達の方法

歯車リスケ中には銀行に新たな融資を申し込むことはできないと説明しましたが、最長1年という短い期間で財務状況を回復させるためには、他の方法で必要な資金を調達する必要があります。

ここでは、リスケ中でもできる資金調達の方法を4つご紹介します。

 

1. 不動産担保融資で資金調達する

不動産担保融資とは、企業が所有している土地や建物を担保に入れて融資を申し込む方法のことです。

土地や建物などの不動産は短期間で価値が乱高下することはほとんどないため、不動産の価値に見合った融資を行えば、たとえ返済が滞ったとしても、不動産を競売にかけて売却金を債権の回収に充てることができます。

いわゆる貸し倒れのリスクが少ないため、リスケ中であっても、融資に応じてくれる確率が高くなります。

ただ、担保に入れる不動産には、それなりの価値が求められます。

不動産の種類自体は豊富で、

  • 空き地
  • 自社ビル
  • 経営者の自宅
  • 駐車場
  • 倉庫

などいろいろな不動産が担保の対象となりますが、いざという時に売却できなければ担保の意味がありません。

特に僻地や過疎地にある不動産や、建築基準法のルールに適さず、新たな建物を建てられない土地などは、担保に入れることができないので要注意です。

参考記事>>>不動産担保ローンで資金調達!その仕組みやメリット・デメリット

 

2. 流動資産担保融資(ABL)で資金調達する

流動資産とは、企業が保有しており、現金化することが可能な資産のことです。

具体的には、売掛債権や商品(在庫)、機械設備などが挙げられます。

これらは事業を継続している間、収益を生み出す重要な資産とみなされるため、担保として入れれば銀行から融資を受けることができます。

流動資産担保融資(ABL)には、返済が難しくなったときに融資残高の8割をカバーしてくれる保証制度もありますので、リスケ中でも融資を受けられる可能性が高いといわれています。

特に、担保に入れる土地・建物を所有していない企業にとっては、流動資産担保融資(ABL)は、まとまった金額を借りられる貴重な手段のひとつといえるでしょう。

参考記事>>>流動資産担保融資(ABL)とは?資金調達に活用する方法を解説

 

3. 条件変更改善型借換保証を利用する

条件変更改善型借換保証とは、保証付き既往借入金の残高について、返済条件の緩和(リスケ)を行っている中小企業を対象とする全国統一の保証制度のことです。

同保証制度を金融機関経由で保証協会に申込み、利用が認められれば、既往借入金の返済に充てる資金として、最大2億8,000万円を融資してもらえます。

保証料率として、借り入れ金の年0.3~1.9%を保証料として支払わなければなりませんが、貸付期間が15年以内に延びることや、複数債権を一本化して返済ペースを見直せることなどから、リスケよりも計画的に経営の立て直しを図ることができます。

ただし、リスケ中ならどんな企業でも融資を受けられるわけではなく、金融機関および認定経営革新党支援機関の支援を受けながら、自主的に事業計画の策定・実行を行い、その進捗状況を報告できる企業が対象となります。

条件変更改善型借換保証の申込みにあたっては、通常の申込書類のほかに、状況説明書や事業計画書、金融機関や認定経営革新党支援機関による支援内容を記載した書面などを提出する必要があります。

 

4.経営改善サポート保証制度を利用する

経営改善サポート保証制度とは、中小企業の経営改善・事業再生の取り組みを後押しするために創設された制度のことです。

経営サポート会議や、中小企業再生支援協議会等の支援のもとに作成した経営改善・再生計画に基づき、経営を立て直すために必要な資金を融資してもらえます。

保証期間は一括返済の場合は1年以内、分割返済なら15年以内で、保証限度額は前述の条件変更改善型借換保証と同じ2億8,000万円です。

こちらも保証料として、借入残高の0.8%~1.0%を毎年支払わなければなりませんが、必要な資金を受け取りつつ、支援機関等の指導・助言を受けながら経営の再建を目指せるところが大きな特徴です。

 

リスケ中に資金調達する場合の注意点

はてなの人リスケ中に資金調達するにあたり、注意しておきたいポイントを3つご紹介します。

 

1. なるべく資金調達しない方向を目指す

前節でリスケ中に実行できる資金調達方法をいくつかご紹介しましたが、本当ならリスケ中はなるべく資金調達を行わないのがベストです。

すでにリスケに応じている金融機関からすると、たとえ経営を立て直すために必要な資金であっても、リスケ中に他の機関から新たな資金を借り入れることに対して、不安や不信を覚えるのは当然のことです。

実際、低金利の融資や保証制度を利用したとしても、無利子無期限の借り入れではない以上、貸し倒れになるリスクは多少なりとも上昇しています。

こっちがだめならあっちから…と自転車操業を繰り返していると、破綻や倒産のリスクが高まる一方ですので、まずは資金調達をせずに現状を打開する術を模索することから始めましょう。

2. 銀行側とよく話し合い、現実的な返済計画を立てる

リスケを申し出ると、銀行と相談のうえ、現在の返済計画の見直しが行われます。

その際、無理なお願いをしているという引け目から、銀行が提示する返済計画を無条件で呑んでしまう企業も多いのですが、定められた期間中に経営をしっかり立て直せなければ、法的措置によって強制的に債権が回収されてしまうおそれがあります。

銀行から提示された計画通りに返済していくことはできないと思ったら、きちんと「無理です」と断り、より現実的かつ無理のない返済計画を提示しましょう。

もちろん、ただ「無理」というだけでは相手も納得しませんので、現在の経営状況や財務状況、今後の見通しなどがわかる資料を提示したうえで、適切な返済計画を提案する必要があります。

銀行も、リスケ中に経営を立て直し、安定して債権を回収できるようになるのがベストだと考えていますので、説得力のある資料を提示すれば、真摯に受け止めて検討してくれるはずです。

 

3. 税金の滞納はNG

中小企業が新たな融資を申し込む場合、信用保証協会の保証を求められることがあります。

これを保証付融資といい、万一返済が滞った場合は、信用保証協会が返済金の立替払いを行う仕組みになっています。

リスケ中の資金調達は、これまで付き合いのない金融機関に融資を申し込むか、信用保証協会が創設した保証制度を利用することになるため、信用保証協会の保証を受けるのは必須です。

信用保証協会の保証を得るためには、税金や社会保険料などをきちんと納めている必要があるため、もしこれらの支払いを滞納していると、融資や保証を利用できなくなってしまいます。

税金や社会保険料の負担は決して軽いものではありません。しかし、将来的な不安材料を取り除くためにも、税金や社会保険料の滞納だけは避けた方が無難です。

 

リスケ中は経営改善に全力で取り組むことが大切

銀行から融資を受けている最中に資金繰りが悪化した中小企業にとって、返済計画を見直して月々の支払い負担を軽減するリスケは、経営再建に効果的な手段のひとつです。

ただ、リスケ中は現在お付き合いのある銀行から新たに融資を受けるのは難しいため、不動産担保や流動資産担保などの有担保融資を活用したり、各種保証制度を利用したりして、資金調達の術を確保しておく必要があります。

もちろん、新たな資金調達を行わずに経営再建できれば、それに越したことはありません。まずは現時点でできることはないか、経営で見直しや改善の余地はないかどうかをしっかり検討するところから始めましょう。

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<外部参考サイト>
金融庁:「中小企業の事業主の皆さんへ!
金融庁:「金融機関(1,326社)における貸付条件の変更等の状況(中小企業者向け)
中小企業庁:「第1部 令和元年度(2019年度)の中小企業の動向
中小企業庁:「条件変更改善型借換保証の創設
中小企業庁:「経営改善サポート保証(コロナ対応)制度について